『三姉妹』(英題:Three Sisters)
監督:イ・スンウォン
出演:ムン・ソリ、キム・ソニョン、チャン・ユンジュ,チョ・ハンチョル,
ヒョン・ボンシク,キム・カヒ,イム・ヘヨン,チャン・デウン他
毎週水曜日が亡弟の七日毎の供養に当たるため、
このところ水曜日は全休、半休、あるいは時間休のどれかを取っています。
ちょうど両親の介護保険認定更新審査も水曜日になった先週、全日休みを取りました。
朝から実家と弟の部屋にいたので、いつものように晩まで滞在せずに夕方退散することに。
思いきってシネ・リーブル梅田まで行きました。
とても観たかった韓国作品。
誰にも感情移入できないまま終盤に至ったのは『ベイビー・ブローカー』と同じですが、
最後の20分ぐらいがすごくよかった。やはり韓国で撮るなら韓国人キャストで。
三女役のチャン・ユンジュが安藤サクラを思い出させるから、
なおのこと是枝裕和監督作品と比較してしまいます。
ソウルに暮らす三姉妹。
反抗期まっただ中の一人娘ボミの世話に手を焼いている。
そのうえ癌を宣告されたというのに、誰にも相談できない。
気の利く夫とふたりの子どもに恵まれ、理想の家庭を築いているかに見えるが、
ミヨンが指導する教会の合唱団のメンバーと夫が浮気していることに気づく。
三女ミオク(チャン・ユンジュ)は劇作家で、食品卸業を営む夫とその連れ子と暮らしている。
スランプに陥って思うように筆が進まず暴飲暴食、アルコールが手放せない。
夫と息子に八つ当たりするから、夫は困り果て、継子はミオクに寄りつこうとしない。
こんな3人それぞれの生活と、酒に酔ったミオクがミヨンにかける電話のシーンが大半。
時折会話に登場する父親の誕生祝いの話から、もうじき家族が集まる予定であることがわかります。
3人ともイタくて、気の毒とすら思えない。
見かけと内情が違うのは『明日の食卓』(2021)を思い出させます。
あと20分ほどで終わりかなという段になって、姉妹にはもうひとり弟がいることがわかる。
長女と末っ子の弟が幼い頃にどんな目に遭っていたのかがわかってからが山場。
最も優等生に見えたミオクがキレるところからは見入ってしまいました。
虐待を許してはいけない。こんな親はいなくていい。
こんな親を子どもは許さなくていい。許してはいけない。そう思う。
ラストシーンにホッとする。
人生を半分以上過ぎていたとしても、この姉妹と弟に幸せな人生が訪れんことを祈ります。