夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ただ、君を愛してる』

2006年11月05日 | 映画(た行)
『ただ、君を愛してる』
監督:新城毅彦
出演:玉木宏,宮崎あおい,黒木メイサ他

ロードショーにて。

物語はクリスマスの近づいたニューヨークに
誠人(玉木宏)が到着したシーンからスタート。
大学4回生のとき、自分の前から突然姿を消してしまった、
静流(宮崎あおい)に会うため、誠人はここへやってきた。

舞台は6年前の学生時代にさかのぼる。
幼い頃から皮膚炎を患っている誠人は、
塗り薬の匂いを周囲の人に気づかれているのではないかという心配から、
人づきあいを意識的に避けてきた。
入学式の日も、そのコンプレックスゆえに会場へは足を踏み入れられず、
趣味のカメラを携えて、大学近辺をうろつく。

ふと見やると、車の往来の激しい信号のない横断歩道で、
風変わりな女の子が手を挙げていた。
誠人は声をかける。「ここは渡れないから、もう少し向こうの、
押しボタン式の信号のある横断歩道へ行ったほうがいいよ」と。
それが静流だった。誠人の話を嬉しそうに聞きつつ、
それでもそこで手を挙げ続ける彼女の姿に
誠人は思わずカメラのシャッターを切る。

以来、誠人と静流は友だちになる。
大学生活には溶け込めそうにもないふたりは、
立ち入り禁止のキャンパス裏の森へ写真撮影に通うようになる。
静流はすでに誠人のことを好きになっていたが、
誠人のほうは恋愛の対象として静流を見ることができない。

ある日、誠人が密かに想いを寄せるみゆき(黒木メイサ)が
学食で一緒のテーブルへ誠人を誘う。
みゆきの友人たちは静流のことを変人扱いするが、
静流との仲を疑われたくないあまり、弁護しない誠人。
誠人の様子に静流はひどく傷つくが、
いつか誠人を驚かせるような素敵な女性になると決意。
やがてみゆきとも友だちになり、3人で過ごすようになる。
しかし、静流は遺伝性の病にかかっていて……。

実は玉木宏も黒木メイサもあまりタイプではありません。
どちらも美形だとは思いますが、
私は「涙をこらえている表情」にグッとくるので、
このふたりの涙ぼろぼろの顔が画面に大写しになると、
こちらの気持ちはスーッと冷めてしまいます。

本作でいちばんグッときたのは、静流の台詞。
「私はただ、好きな人が好きな人を、好きになりたかっただけ」。

好きな人のそばにいたい、そんな気持ちを表して、
わりとあっさり、一瞬の間に放たれるこの台詞は
チクリと胸に突き刺さり、私の心を打ちました。
女心は切ない。いや、男心も?

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野球の映画、ふたつめ。

2006年11月02日 | 映画(番外編:映画とスポーツ)
『逆境ナイン』(2005)は同名コミックの実写版。
スポーツ関連の映画は、CGの多用によって
本来の姿とはかけ離れてしまうことがあるので、
そのスポーツを好きであればあるほど、観るのをためらいます。
でも、これはぶっ飛びすぎで最高。

主人公はその名も不屈闘志。
彼がキャプテンを務める全力学園野球部は
超弱小チームで、勝ったためしがありません。
ある日、校長室に呼び出された不屈は
突然廃部を言い渡されます。
野球部の存続を望むなら、甲子園への出場を果たせ。
到底無理だと思われる条件ですが、
逆境に立たされると燃える男、不屈は、
無謀にも校長に甲子園出場を宣言します。

不屈がまず始めたのは、部員たちを不運や誘惑から遠ざけて
練習に参加させること。
冷房の効きすぎる部屋で寝る部員を風邪から守り、
成績不良の部員に猛勉強を誓わせ、
女からの誘いによろめきかける部員を一喝します。
しかし、当の不屈がマネージャーの月田に恋してしまったうえ、
彼だけが追試を受けるはめになり、ますます逆境に。
さて、全力学園野球部は甲子園出場を果たせるか?というお話。

前述の『ピーナッツ』はお笑い芸人オンパレードでしたが、
本作で楽しませてくれるのはココリコの田中。
怪しい覆面を着用し、バットの上下も走塁すべき方向も知らない彼は
藤岡弘演じる校長に野球部を任される教師、榊原役。
野球をまったく知らない者に監督なんてできるわけがないと
部員たちは反対しますが、榊原は一言、「知らぬが仏」。

ほかにも榊原の掲げる数々の標語とともに、
それが刻印された石碑が出没するのが笑えます。
特に、「それはそれ、これはこれ」には参りました。
人生、何でもこう考えられたら、とても前向き。

最後は112点を追っての試合。
殺人的破壊力を持つ相手投手のボールに部員が次々倒され、
残った不屈がひとりで立ち向かいます。
このとき採用されるのが、子どもの頃、
草野球でしか聞いたことのない「透明ランナー制」。
これも笑いのツボにハマりました。
そして、ヨレヨレになりながら打って走って守る不屈の姿には
笑わされつつ感動すら覚えてしまいます。

全力でない者は死すべし。
男は3つの条件が揃ったとき、無茶を承知で闘うそうな。
ひとつ、男はイザというときにはやらなければならない。
ふたつ、今がイザというときである。
そしてみっつ、俺は……俺たちは男なんだ!

男だったら闘わねばならぬ?

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