夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈な行〉

2013年12月26日 | 映画(な行)
《な》
『悩ましき男たちの肖像』(英題:Intimate Headshot)
未公開の2009年のハンガリー作品。
ハンガリー映画界の新鋭監督のデビュー作だそうな。
さまざまな性の悩みを抱く4人の男たちを描いたオムニバス風。
乳癌に冒された妻が乳房を切除してからというもの、どうしても妻を抱けない男は、
出会い系サイトでチャット、若い女性との会話にいそしむ。
実際に会うところまでこぎつけるが、押し倒そうとして失敗。
アソコが短小であることに悩む若者は、新築マンションにいの一番に入居、
次に越してきた女子大生を押し倒そうとしてこれも失敗、などなど。
女性にひっかかれた傷について「鳩に襲われた」なんて言い訳。
そんな話を信じられるはずもなく、アホちゃうかと言いたくなります。(^^;

《に》
『任侠ヘルパー』
足を洗って堅気となった元極道者の彦一(草彅剛)は、現在コンビニ勤務。
ところが、コンビニ強盗に入った雄三という老人(堺正章)を一喝したうえで見逃したことから、
逃げた雄三とともに逮捕されてしまう。
獄中で先行きが長くはなさそうな雄三と再会、なんと雄三も元極道者らしく、
もしも出所後に困ったら、彼がかつて属していた“極鵬会”を頼れと言われる。
出所後、まともに生きようにも生きづらく、極鵬会を訪ねる彦一。
そこで任された仕事は、老人に破産するまで闇金から金を借りさせ、
介護施設とは名ばかりの劣悪施設に放り込み、生活保護や年金をせしめることだった。
施設を立て直すまでの展開は結構おもしろい。
線の細いイメージだった草彅くん、意外に骨太のヤクザが似合っていました。
また、今回は善人を演じる香川照之が圧巻。

《ぬ》
『温もりが恋しくて』
2001年の韓国作品で、いまさらのDVD化。
目を皿のようにして探しても毎年めったに見つけられない《ぬ》で始まる作品。
今年も無理っぽいなと思っていたらこんなのが。
なんだかAVっぽいのですが、一応TSUTAYA DISCASの一般作品のコーナーにある。
ならば観てみようじゃないかということで。……AVやがな。(^^;
保険会社に勤務する30歳のミンホは、契約が上手く取れないうえに、
タクシーに会社の金を置き忘れる。
部長から怒られた腹いせに灰皿を投げ返して退職、しばらくブラジルへ行くことに。
留守にする間、自宅マンションを賃貸に出そうとしたところ、
内覧にやってきたのが21歳のミナで……。
ミナがいきなり洗面所で水をかぶり、速攻でアヤシイ展開に。
後日ミナが連れてきた友人のヒョンジンと3Pあり、
ミンホの友人チョルスも混じったりして無茶苦茶。
画質も悪ければルックスもイマイチ、演技も駄目、いったいどうすれば!?
唯一おもしろかったのは、男性陣の下着。
白ではないブリーフ型で、黒地にゴールドの模様が入っていたり、透ける素材が使われていたり、
男性の勝負パンツってこんな感じ?キモッ!
TSUTAYAさん、これはアダルトコーナーへ移動をお願いします。

《ね》
『ネイビーシールズ』(原題:Act of Valor)
南米の麻薬王クリストと東南アジアの国際テロリスト、アブ・ジャバール。
2人の関係を探るべくコスタリカに潜入したCIAの女性エージェントは、
その正体がバレてしまったのか、何者かに拉致される。
テロに立ち向かう米海軍特殊部隊“ネイビーシールズ”は、彼女を救うために現地へ。
任務はみごとに完遂されたものの、彼女の調査により、
アメリカを標的にした大規模テロが計画されていることが判明。
それを阻止しようと再び行動を開始するネイビーシールズ。
主要キャストは現役のネイビーシールズ隊員だそうで、
道理で演技が素人くさい気がしなくもないですが、迫力はあります。
手榴弾が投げ込まれるのを目撃した大尉が、咄嗟にその手榴弾の上に突っ伏します。
冒頭のナレーションは誰のことで誰宛てなのかなと思っていたら、
この殉死した大尉のことで、当時はまだおなかの中にいた息子に宛てられたものでした。(T_T)

《の》
『ノーベル殺人事件』(英題:Nobel's Last Will)
未公開のスウェーデン作品。
「あの“ミレニアム”シリーズのスタッフが放つサスペンスミステリー」という触れ込みで、
全世界で900万部を売り上げた“アニカ・ベングッソン”シリーズなのだそうな。
12月10日、アルフレッド・ノーベルの命日におこなわれるノーベル賞晩餐会。
取材のため、ドレスを着て会場入りしていたクヴェルスプレッセン紙の報道部記者アニカは、
舞踏会の途中、殺人事件に巻き込まれる。
撃たれたノーベル医学賞を受賞したアーロン・ヴィーゼル博士は負傷、
ノーベル賞選考委員長のキャロリン・フォン・ベーリング博士は死亡。
ヴィーゼル博士を狙ったものと思われていたが、どうやら標的はベーリング博士のよう。
犯人らしき人物を目撃したアニカは取り調べを受け、箝口令を敷かれてしまう。
記事は書けないものの、なんとか調査を進めたい。
そう考えたアニカは、独自の調査を開始するのだが……。
事件の真相よりも、それを追うアニカと新聞社内のあれこれが面白い。
優秀な記者であり、かつ妻であり母親でもある彼女は、
忙しい仕事のなか、保育園で息子がいじめられているのを知り、
世間体を気にする夫は頼りにならんと、保育園のいじめっ子にお仕置き。
女性の支持を集めそうなキャラで、思わず応援したくなります。
映像のほうもシリーズ化は決まっているのですかね。次も観たいです。

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今年観た映画50音順〈た行〉

2013年12月25日 | 映画(た行)
《た》
『ダーケストアワー 消滅』(原題:The Darkest Hour)
2011年のアメリカ作品。
『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007)がとてもよかったエミール・ハーシュ。
B級の香りがする本作に主演とのことで気になっていたものの、
シネマート心斎橋で観逃して、DVDにて鑑賞。
自作のソフトウェアを売り込みにモスクワへやってきたショーンとベン。
これで大儲けするはずが、機会を設けてくれたはずのスカイラーに
まんまとオイシイとこ取りされてガクッ。
ヤケクソ気味でナイトクラブへ、アメリカ人女性のナタリーとアンと知り合う。
ところが、突然の停電後、透明のエイリアンが地球侵略を開始する。
ナイトクラブに居合わせたスカイラーを含む5人は、
生き残りと人類存亡を賭けた戦いに身を投じることになるのだが……。
エイリアンの進入を封じる要塞を発明したオッサンは、
焦ったアンによって死に追いやられ、
残った3人(スカイラーは早々に死亡)を助けた軍人は、
「そりゃここまで助けてもらったけれども、
最後まで助けないなら助けたことにはならない」とショーンから言われる始末。
とってもB級、DVDで十分な1本でした。
エミール・ハーシュもロマン・デュリスみたいに、こきたなくなってもたなぁ。

《ち》
『チョコレート・ガール バッド・アス!!』(英題:This Girl Is Bad Ass!!)
2011年のタイ作品。
叔父と二人暮らしの少女ジャッカレンは、華麗な運転テクを持つバイク・メッセンジャー
報酬次第でどんな危険なブツの配送も引き受けるのがウリ。
ところがある日、消え失せたすべてのブツを1週間以内に回収せよと
ギャングのボスであるピアックから言い渡される。
メッセンジャー仲間のネーウの協力を得て回収に乗り出すジャッカレンだったが……。
クリーニング屋の色っぽい未亡人に恋をするワン、
ワンの旧友でハクション大魔王風のヒゲならぬ眉が自慢、奇天烈な格好のルン、
ジャッカレンに片想い中の幼なじみでブサメンのドゥアン、この3人がワラける。
まったく理解不能なギャグも多数ですが、アクションは楽し。
主演のジージャー・ヤーニンって、井上真央と池脇千鶴を足して3ぐらいで割った感じ……
てなことありません?

《つ》
『次の朝は他人』(英題:The Day He Arrives)
2011年の韓国作品。
映画監督のソンジュンは、先輩のヨンホに会うためにソウルへ。
ところがヨンホがなかなかつかまらず、
駄目だとわかっていながら元カノのキョンジンを訪ねてしまう。
思いのほかいい感じで迎えられるが、もう会わないと決意。
その後ようやく会えたヨンホとともに、ヨンホの馴染みのバーへ。
そのバーの女性オーナーがキョンジンにあまりにも似ていて……。
今年は同監督の『よく知りもしないくせに』(2009)と『ハハハ』(2010)もDVD化され、
すべて観ましたが、どれもモノクロ、ちょっとレトロな雰囲気。
バーや食堂の名前が“小説”だったり“多情”だったりして興味深い。
淡々と交わされる会話を含め、独特の面白さはありますが、
ともすれば睡魔に襲われてしまう作品です。この3本でもうええかな。

《て》
『テイク・ディス・ワルツ』(原題:Take This Waltz)
2011年のカナダ作品。サラ・ポーリーの監督2作目。
チキンの料理研究家で本を執筆中のルーと、その妻でフリーライターのマーゴ。
優しく愉快なルーに守られて幸せに見えるが、
マーゴの心にはいつも漠然とした不安や物足りなさがある。
ある日、マーゴは取材先で青年ダニエルと知り合い、激しく惹かれてしまう。
偶然にも彼は彼女の斜向かいの住人であることが判明し、
マーゴは感情を抑えきれなくなるのだが……。
「不安になることが怖い」というマーゴの気持ちはなんとなくわかりますが、
全体に漂う洒落たイメージのみが残り、心には響きませんでした。
ただ、ルー役のセス・ローゲンが『50/50 フィフティ・フィフティ』(2011)に続いて泣かせます。
マーゴのシャワー使用中、毎回いきなり水が出ることがあり、
マーゴはシャワーの故障で修理が必要だとルーに叫びます。
彼女がダニエルのもとへ行く決意をした日、
ルーは毎回シャワーカーテンの上から水をかけていたことを明かします。
「80歳になったら話すつもりだった。君が笑ってくれると思って。気の長い冗談さ」。

《と》
『トールマン』(原題:The Tallman)
アメリカ/カナダ/フランスの作品。
監督はホラーファンの期待を集めるフランス出身の新鋭ですが、
ミステリー色が濃くて、ホラー苦手な私でもOK。
ワシントン州の炭鉱町コールド・ロックは、鉱山の閉鎖によりすっかり寂れている。
この町で、幼い子どもばかりが忽然と姿を消す事件が発生。
住民たちは犯人とおぼしき背の高い男を“トールマン”と呼んで怯える。
看護師のジュリアは、医師だった夫を失ってからも住民の面倒を見つづけていたが、
ある日、ジュリアの息子デヴィッドがトールマンに連れ去られ……。
さて、ここから完全ネタバレです。
誘拐の犯人は実はジュリアで、先行き真っ暗の町に生まれた子どもたちの将来を悲観し、
貧困に喘ぐことなく恵まれた人生を歩めるようにと考えてのことでした。
死んだと思われていた夫も本当は生きていて、夫こそがトールマン。
で、どうなるかと言うと、逮捕されたジュリアはその事実を黙秘し、
トールマンはまた別の不幸な町と協力者を求めて旅立つ(推測)……てな感じ。
結構おもしろかったですが、ちょっと反則気味ではないかと。

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今年観た映画50音順〈さ行〉

2013年12月24日 | 映画(さ行)
《さ》
『最高の人生のはじめ方』(原題:The Magic of Belle Isle)
監督ロブ・ライナー、主演モーガン・フリーマンながら、日本では未公開。
どうりで二番煎じのような凡庸な邦題ですが、原題は“The Magic of Belle Isle”。
著名な西部劇作家のモンテは、妻を亡くして以来、書く気なし。
そんな彼になんとか意欲を取り戻させるべく、
甥っ子はなかば強引に彼を避暑地“ベルアイル”へと連れて行く。
隣家には夫と別居中のシャーロットと3人の娘、ウィロー、フィン、フローラ。
気むずかしそうなモンテが作家だと知り、
次女のフィンは「想像力」を身につける授業をしてほしいと言い出し……。
オッサンの妄想、いや、ジジイの妄想が入っていますが、
このくらいのラブシーンならまぁ許容範囲かと。
ふれあいがあったかい、ちょっといいお話でした。

《し》
『思秋期』(原題:Tyrannosaur)
2010年のイギリス作品。
『ボーン・アルティメイタム』(2007)や『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007)などにも出演していた、
俳優のパディ・コンシダインの長編監督デビュー作。
妻に先立たれた失業中の中年男ジョセフは、衝動的な怒りを抑えられない。
酒を飲んでは大暴れ、自暴自棄な毎日を送る。
ある日、やはり大暴れした後に飛び込んだのがチャリティショップ。
経営者とおぼしき女性ハンナは、ジョセフのために祈ってくれると言う。
神の存在など信じないジョセフだったが、ハンナと過ごすうちに心がほぐれて……。
怒ってばかりの酒浸り男と、夫からのDVに遭っている女と。
これに近所のシングルマザー、そのヒモのようなバカ男。
かなりしんどくてツライ話ですが、ラストには希望の光。
原題は“Tyrannosaur(=ティラノサウルス)”なんですけど、
この邦題で同年代の人なら、思い出すのはやっぱり岩崎宏美ですよね?

《す》
『ストーム・インパクト』(原題:Stonados)
アメリカのTVM(テレビ放映用の映画)。
マサチューセッツ州のプリマスは、イギリスの清教徒たちの最初の入植地。
その記念公園近くで水上竜巻が起こり、展示されていたプリマスストーンと、
ツアーガイドの女性が竜巻に呑み込まれてしまう。
それから30分後、数十キロ離れた同州のケンブリッジに石が落下。
理科教師火山学の第一人者ジョーは、妹で警察官のマディの依頼で現場へ。
そこへやってきたのがジョーの旧友である気象予報士リー。
かつては一緒に気象研究を重ねたがなんとなく疎遠になっていた2人。
リーはまた共に研究しようじゃないかと言う。
そうこうしているうちに、今度は同州のボストンを水上竜巻が襲う。
岩を伴った竜巻は、そのうち上陸するのではとジョーとリーは予測。
海上局に危険を報せに行くが、証拠がなければ警報は発令できないと言われ……。
台詞と台詞の間(ま)が悪いですが、妻を亡くして年頃の娘と息子を育てることに苦闘する父親がいい感じ。
海上局の女性幹部まであっという間に岩に直撃されてご臨終というのはアンマリだ~。

《せ》
『セブン・デイズ・イン・ハバナ』(原題:7 Dias en La Habana)
フランス/スペインのオムニバス作品。
これが監督デビューとなるベニチオ・デル・トロを含む世界各国の映画監督7人が、
キューバの首都ハバナを舞台に、月曜から日曜日までの各1日を描いています。
『ユマ/月曜日』、『ジャムセッション/火曜日』、『セシリアの誘惑/水曜日』、
『初心者の日記/木曜日』、『儀式/金曜日』、『甘くて苦い/土曜日』、『泉/日曜日』。
どれも20分を切る程度の長さで、中には苦手な作品やワケのわからない作品も。
私が特に好きだったのは「火曜日」で、主演はエミール・クストリッツァ
ユーゴスラビアの名監督でありながら、本作ではメガホンを取らず、本人役で出演。
ぐでんぐでんに酔っぱらって映画祭の授賞式に出席する姿はあながち芝居でもないのか。
監督が異なるにもかかわらず、「水曜日」と「土曜日」に繋がりがあるのもおもしろいところ。

《そ》
『ソハの地下水道』(原題:W Ciemności)
2011年のドイツ/ポーランド作品。
「ソハ」とは地名かと思っていたら、主人公の名前でした。
1943年のナチス占領下のポーランド。
下水修理屋のソハは、若い相棒と共に、時には空き巣などをしながら暮らしている。
ある日、ナチスの迫害を恐れて地下水道に逃げ込んだユダヤ人と遭遇。
ナチスに突き出されたくなければ金を渡せとソハは要求。
地下水道を知り尽くしているソハは、彼らに隠れ場所を指示、食糧も調達する。
終戦後にイスラエルから表彰された実在の人物だそうですが、
最初から善人だったわけではありません。むしろ嫌な男。
良心に従って行動しようということ。それを思い起こさせる作品でした。

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今年観た映画50音順〈か行〉

2013年12月23日 | 映画(か行)
《か》
『籠の中の乙女』(原題:Kynodontas)
2009年のギリシャ作品。
郊外のプール付きの豪邸に暮らす両親と息子1人に娘2人。
外は汚らわしく危険だという妄執に取り憑かれている父親は、
子どもたちが邸外に出ることを決して許さない。
生まれてからずっとそう育てられてきた子どもたちはそれに疑問を抱くことなく過ごす。
しかし、息子の性欲を処理するために父親が雇った女性の出現により、
外の世界に好奇心を刺激された長女は……。
冒頭シーンから何もかも変。覚えさせたくない言葉はすべて異なる意味に変えて教える両親。
「遠足」なんて言葉を覚えると困るから、「床は遠足でできています」なんて感じ。
ここから完全ネタバレです。英題は“Dogtooth(=犬歯)”。
両親は、子どもたちが家を出て行ってもいいのは犬歯が抜けたときと教えています。
両親の就寝後、洗面所で自らの犬歯を鉄アレイで砕く長女の恐ろしい笑顔。
血だらけの口で邸を抜け出すと、父親の車のトランクへ。
家族は長女を探すもトランクの中にいるとは思わず。
翌朝、父親は車に乗って出かけますが、下車後に映し出されるトランク。
トランクはピクリとも動かず閉まったままエンドロールへ。
予告編やポスターを観てミヒャエル・ハネケ監督の新作かと思った人は多いはず。
確かに作風は似ていますが、残酷な描写はこっちのほうが多く、不快感も残ります。
し、しかし、困ったことにおもしろい。
いったいこんな作品を撮る人の頭の中ってどうなっているんでしょ。(^^;

《き》
『キリマンジャロの雪』(原題:Les Neiges du Kilimandjaro)
2011年のフランス作品。
マルセイユに暮らす仲睦まじい熟年夫婦ミシェルとマリ=クレール。
ミシェルの勤務先で人員削減のためにクジ引きで20名を解雇することに。
組合の委員長を務めるミシェルは公平が信条。
解雇対象者から自分を外すこともできたのにそうはせず、解雇を引き当ててしまう。
しかし、マリ=クレールはそんな夫を誇りに思う。
ある日、夫婦の結婚30周年を祝うパーティーが盛大におこなわれる。
長年の夢だったアフリカ・キリマンジャロへの旅を子どもたちから贈られて大喜び。
ところが数日後、家に強盗が押し入り、旅行券や現金、カードを奪われる。
ふとしたことから犯人を知ったミシェルはショックを受け……。
犯人の幼い弟たちを放っておかずにいられない夫婦。
自己満足に過ぎないとも言えましょうが、ちょっといいお話です。

《く》
『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』(原題:Crazy Horse)
2011年のフランス/アメリカ作品。
パリを代表するナイトクラブのひとつ“クレイジーホース”の舞台裏に密着取材。
最高のヌードショーをつくりあげたいという振付師や演出家にはじまり、
照明の当て方によってお尻の丸みが綺麗に見えないと、
お尻の見せ方にこだわる衣装デザイナーの話がおもしろい。
控え室にて、バレエの珍プレー好プレーみたいな番組に
ダンサーたちがおなかを抱えて笑う姿は、束の間の安らぎの時間を感じます。
オーディション風景も興味深く、一度見てみたくなりました。

《け》
『ケイト・レディが完璧(パーフェクト)な理由(ワケ)』(原題:I Don't Know How She Does It)
2011年のアメリカ作品。
英国のベストセラー『ケイト・レディは負け犬じゃない』の映画化だそうで。
大手投資会社のボストン支社でファンド・マネージャーとして働くケイトは、
理解ある優しい夫と2児に囲まれ、忙しくも幸せな日々を送っている。
あるとき、彼女の投資ファンドの新提案が評価され、
ニューヨーク本社の責任者ジャックとプロジェクトを進めることになるのだが……。
主演のサラ・ジェシカ・パーカーは特に好きでもありませんが、
別に嫌いなわけじゃなし、出演作はほぼ観ています。
けれどもいつでもキャリア志向のイイ女、モテモテという彼女の位置づけには疑問。
容姿を含めて世の男性陣はどう思っているのか聞いてみたいところ。
それとも、彼女はワーキングマザーの憧れとして同性から支持されているのか。
仕事が忙しいから毎度保育園に連れて行くのが遅れるとか、
お迎えの時間を忘れて仕事に没頭した挙げ句、
緊急事態で致し方なしと夫が乳母を雇ったことに怒るとか、
なんだかこれでイイ女でしょって言われても~みたいな印象は否めません。

《こ》
『恋に至る病』
ぴあフィルムフェスティバルで2009年に審査員特別賞を受賞した木村承子監督。
彼女がPFFスカラシップ(16ミリ映画制作援助)を得て2011年に撮ったのが本作。
昨秋公開され、今年DVD化されました。
女子高生のツブラは、生物担当の冴えない男性教師マドカに熱烈な片想い。
マドカのどんな仕草もツブラにとっては可愛くて仕方がない。
ある日、教室にひとりでいたマドカを、ツブラはついに押し倒してしまう。
事をなし終えると、なんとツブラとマドカの性器が入れ替わっていて……。
なんとも奇抜なアイデアで、ツブラとマドカよりもむしろ、
脇役に回った友人役の佐津川愛美染谷将太がいい味。
下ネタながら後味は爽やかで、監督には次からも期待。
ただ、無駄なシーンが多いため、2時間弱は長く感じます。
もう少し短くすっきりまとめてくれたら、より良かったかも。

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今年観た映画50音順〈あ行〉

2013年12月22日 | 映画(あ行)
12回目となりました恒例におつきあいください。

今年観た合計本数はまだざっくりとしか数えていません。
それは31日にしっかり数えることにして。

昨年同様、20日までに劇場で観た作品についてはすべてUP済みなので、
ここに挙げるのはそれ以外のDVDで観たものばかり。
あくまで書きそびれていた作品を挙げているだけなので、
好きだったとか嫌いだったとかは関係なし。
どれも今年レンタルが開始されました。
製作年が2011年以前の作品についてはそれを明記しています。
これらは去年もしくは今年公開され、今年DVD化された作品です。
ネタバレ御免。

《あ》
『アシュラ』
1970年に連載されたジョージ秋山の衝撃的な漫画を映画化。
15世紀中頃の京都では、飢饉に重なるように応仁の乱が起こり、
世の中は飢えに苦しむ人びとと死体だらけ。
そんな時代に産み落とされたアシュラは、本能の赴くまま、
人をも喰らってケダモノとして生き延びる。
地頭の息子を食いちぎったアシュラは追われる身となるが、
傷だらけで倒れていた彼を風車小屋に匿ったのが美しい女性、若狭。
若狭と過ごすうちに言葉を覚え、人間らしい感情も芽生えていくのだが……。
75分の中編アニメながら、内容が内容だけにヘヴィー級。
人は、心を持っている。僧侶の言葉が印象深く残ります。

《い》
『偽りなき者』(英題:The Hunt)
『光のほうへ』(2010)のトマス・ヴィンターベア監督によるデンマーク作品。
デンマークの小さな町に暮らすバツ1、42歳の男性ルーカス。
閉校により教師の職を失ったが、幼稚園に再就職。
優しく穏やかな人柄が園児たちにも大人気、誰しもが彼にかまってほしがる。
ルーカスの親友テオの娘であるクララもそのうちのひとり。
想いを伝えようと手作りの品を彼に贈るが、受け取ってもらえない。
ルーカスから拒絶されたと感じたクララは、校長に思わず嘘をついてしまう。
年頃の兄が友だちと交わす猥談を小耳に挟んだ直後だったこともあり、
想像力豊かなクララの話はルーカスから性的虐待を受けた話へと変化。
ルーカスが懸命に潔白を訴えようとも、大人たちはクララの話のみを信じ……。
残酷なシーンはないのにただただ辛く、観ていられないほどでした。
けれども、ルーカスの息子マルクスと、マルクスの名付け親であるブルーン一家だけは、
町中から迫害を受けるルーカスに味方し、守ろうとします。
ルーカスの表情に彼の無実を悟ったテオが、妻の反対を押し切ってルーカスのもとを訪れ、
料理と酒を差し入れるシーンもとてもいい。
再び町の人に受け入れられてエンディングと思いきや、
彼を疑い、恨みを持ちつづける人物がまだいるのだというエンディングに、やるせない気持ちが。
いろいろ考えさせられる、辛くても観ておくべき一作だと思いました。

《う》
『ウェイバック 脱出6500km』(原題:The Way Back)
2010年のアメリカ/アラブ/ポーランド作品。
1940年、スターリン体制下のソ連。
無実のスパイ容疑で逮捕されたポーランド兵士ヤヌシュは、
シベリアの強制労働収容所へ送られる。
過酷な労働条件下で次々と命を落とす囚人たち。
猛吹雪の日、ヤヌシュは収容所で出会った6人と脱走を図り、辛くも成功。
食糧も装備も乏しいまま、ひたすら南へ向かって歩く。
実在のポーランド兵士による回顧録の映画化ですが、真偽のほどはわからず、
監督もフィクションであると話していました。
が、ノンフィクションかと思うほどのリアルさで、見応えあり。
6,500kmを歩きつづけてインドへたどり着いたときにはグッと来ました。

《え》
『エイリアンバスターズ』(原題:The Watch)
結構豪華な顔ぶれなのに、日本では未公開だったアメリカ作品。
オハイオ州の田舎町で“コストコ”の店長を務めるエヴァン。
ある夜、警備員のアントニオが何者かに惨殺されたことから、
町の安全を守ろうと、エヴァンは自警団の結成を住民に呼びかける。
それに応じたのがボブ、フランクリン、ジャマルカスの3人。
4人が“ご近所ウォッチャー”として活動を開始したところ、
見るもおぞましい姿のエイリアンが地球(というのかコストコ)を狙っていることがわかり……。
ベン・スティラー、ヴィンス・ヴォーンというコメディの鉄板に、
『マネーボール』(2011)のピーター役だったジョナ・ヒルと、楽しげでしょ。
なんだかコストコに行きたくなってしまう作品です。

《お》
『オレンジと太陽』(原題:Orange and Sunshine)
2010年のイギリス作品。
社会派の名匠ケン・ローチ監督の息子、ジム・ローチの長編デビュー作品。
1986年、イギリスのノッテインガム。
社会福祉士のマーガレットは、オーストラリアの孤児院で育った女性シャーロットから相談を受ける。
やがて、イギリスとオーストラリアの間で、
1970年まで非合法な“児童移民”が国策としておこなわれていたことが判明。
イギリスの貧困家庭の児童を養子縁組もせずに船に乗せ、
オーストラリアへ送り込んでいたという事実に衝撃を受けるマーガレット。
彼らの家族を捜し出そうと、マーガレットは調査を開始するのだが……。
政府や教会を敵に回しながらもマーガレットがやり遂げたことに拍手。
見つけてほしい人ばかりだとは思いませんが、
どんな形で別れたとしても、親は子どものことを忘れてはいないと思いたい。

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