夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『海街diary』

2015年06月18日 | 映画(あ行)
『海街diary』
監督:是枝裕和
出演:綾瀬はるか,長澤まさみ,夏帆,広瀬すず,加瀬亮,鈴木亮平,前田旺志郎,
   樹木希林,リリー・フランキー,風吹ジュン,堤真一,大竹しのぶ他

この間の日曜日、14日といえばTOHOシネマズデー
早く観たい『トゥモローランド』はムビチケを確保しているために見送り、
本作も確保済みの「東宝11番組共通前売券」に含まれているけれど、
その共通前売券で別の作品を観ればいいやと考え直し、1,100円で本作を観に。

子ども時分に漫画の「大人買い」も許される家庭で育ちましたが、
そのころ買った漫画はほとんど処分済み。
これはというお気に入り漫画だけを今も所持しています。
今も所持する数少ない漫画のうちのひとつが吉田秋生の『BANANA FISH』と『ラヴァーズ・キス』。
最近はめったに漫画を読まないので、本作が後者とのクロスオーバー作品だということをちっとも知らず。

鎌倉の古い家に暮らす香田三姉妹、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。
父は不倫の末15年前に家を出て行き、その後、母(大竹しのぶ)も出て行ったため、
当時高校生だった長女の幸が妹たちの世話をしながらこの家で過ごしてきた。
祖母の妹に当たる大叔母(樹木希林)がたまに様子を見に来てくれるが、いつもひと言多い。

ある日、父の訃報が3人のもとへ届く。
出て行った父といっさいの音信がなかった三姉妹は、あのときの父の不倫相手はすでに他界し、
3人目の結婚相手と山形で暮らしていたと知る。
葬儀には、父とあの不倫相手との間に生まれた腹違いの妹すず(広瀬すず)が。
3人目の結婚相手・陽子(中村優子)は泣いてばかり、その幼い連れ子をすずが守る。
大人の事情をすずに押しつけようとする陽子にいい印象を持てない幸。

三姉妹を駅まで見送りに来てくれたすずに、幸が声をかける。
「鎌倉に来ない?私たちと4人で暮らさない?」と。

こうして四姉妹の暮らしがはじまるのだが……。

近所の食堂のおばちゃんに風吹ジュン
すずの父親もかよっていたらしい喫茶店のマスターにリリー・フランキー
地元の少年少女サッカーチームの監督に鈴木亮平
佳乃が勤める地方銀行の上司に加瀬亮
看護師である幸が交際中(しかも既婚者)の医師に堤真一、同僚にはキムラ緑子
豪華キャストにもかかわらず、商業的に走り過ぎな印象がないのは是枝裕和監督ゆえでしょう。

ろくでなしの男ばかり掴まえてしまう佳乃役の長澤まさみがすごく○。
清純派のイメージしかなかった頃と顔自体は変わらずかわいいけれど、
ちょっぴりすれた雰囲気が綾瀬はるかと対照的でハマリ役。

特に波乱が起きるでもなく、基本的に善人ばかり。
悪意がちらりと見えたのは冒頭に登場した陽子だけで、
周囲の人の善意と愛情に触れたすずの笑顔がすばらしい。
そんな笑顔を見せつつも、自分の母親が姉たちの父親を奪ってしまったのだと、
家では両親の話をできない姿がいじましく。

しらす丼はお醤油よりも胡麻油と生卵で食べるのが好きだ~。
しらすトーストはビミョーだけど一度やってみましょかね。

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隣は何を読む人ぞ。〈追記〉

2015年06月16日 | 映画(番外編:映画と読み物)
昨日、「隣は何を読む人ぞ」と書いたら、
UPして1時間と経たないうちにうちにひとりから、
夕方にもうひとりからわざわざメールをいただきました。
どちらも、その気持ち、わからいでかと。

読んでいてニヤケてしまうような楽しいメールだったので、
本人の許可なくご紹介します。
おふたりさま、勝手に貼り付けてすみません。
事後承諾いただきたく、よろしくお願いします。

まずは朝のUP後まもなくいただいたメール。

> 私も気になる!!となりの人が何を読んでるか!
> 電車の中で紙もので読書してる人って希少なんやもん。
> それだけで友達になれそうな気がする。
> わたしも突撃したい衝動を、どうにか抑えています。
> でも、本を読んでいる人を見かけたら、ぜったいにニタニタしてるわ。
>
> 昨日は、いわゆるイケメンが単行本を…
> カバーはしていなかったのに何かまではわからずやったけど、
> 本を読んでるってだけで惚れるわ。
>
> 本とのミスマッチにも惹かれるよね。
> 本屋でも、この人がこのコーナー???ってのに興味津々!!
> ここでも、何を選ぶか尾行したい衝動を抑えるのが大変です。

めちゃめちゃ同意。
そういえば、先週京都まで出かけた先輩が、いわゆるクロスシートで空席を探していた折り、
本を読んでいる男性を見つけ、その人の隣なら大丈夫だろうと思って座ったと話していました。

そして夕方届いたもうひとりからのメール。

> ドイツに行った時、ダン・ブラウンの『天使と悪魔』の上だけ持ってって、
> 帰りの飛行機で一気読み。
> 気にいるかどうかわからんから、一冊だけにしたのに、めっちゃはまって、
> 次が読みたいのにないし‥
> 斜め前の男の人が、下を読んでて、中ないか聞きそうになりました。

ウケました。その気持ち、め~っちゃわかります。
「中」を持っていないか聞いたらドン引きされますかね。
持っていなくても乗り物内で本を読んでいる者同士、
聞いてみたくなった気持ちはわかってくれそうだったりして。

もしも本を持つ人を見て不審にニヤケている奴がいたら、
それはきっと私、もしくは上記のふたりのいずれかかも。
いやいや、同類はきっともっとおるやろ~。

私の場合、かなり老眼が進んでいるので、本を読むときは近眼用の眼鏡を外さなければ読めません。
だけど、付近の人が読んでいる本のタイトルは裸眼では見えない。
だから、本を読んでいたと思ったらおもむろに眼鏡を取り出してどこかをじっと見ている……、
そんな怪しい動きの奴がいたら、それは他人の読む本のタイトルを確かめる私だと思われます。

「何読んではるんですか」って聞いてみてもいいでしょか!?

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隣は何を読むひとぞ。

2015年06月15日 | 映画(番外編:映画と読み物)
電車の中では100%、本を読んでいます。「ほぼほぼ」100%ではなく。(^^;

ケータイが普及しはじめたころ、知人と出かけた帰り、同じ電車で途中まで。
先に電車を降りた私がホームから見送ろうと振り返ったら、
すでに知人の目は彼女の手元のケータイに釘付け。ホームの私になんて目もくれず。
別れを惜しむ間柄でもないのでかまいませんが(笑)、
ひょえ~、ケータイを持つとこんなふうになるんだわと思いました。

あれから十数年経ち、そして世間はスマホの時代に。
空いた電車だったりすると、車内の全員がスマホを見ていることもザラ。
本を読んでいる人を見かけることが激減したものですから、
同じ車両で読書中の人あるいは本を携えている人を見ると、
何を読んでいるんですかと思わず尋ねたくなります。

さすがに見ず知らずの人にいきなりそんな質問をするわけにもいかず、
だけど可能であれば何を読んでいるのか知りたい。
で、チャンスがあれば怪しい動きをしてしまう私を許してください。

私が車内で『王妃の館』を読んでいた日、
前にいた男性が読んでいたのは『蒼穹の昴』でした。
おおっ、同じ浅田次郎じゃないですか、と嬉しくなり。
文庫本にカバーをかけずにお読みになっていたので、タイトルもろ見え。
このとき、私の隣に座っていた男性は単行本を読書中。
ちらりと覗いてみると、「第3章 鳥」と見えたような。
帰宅してから調べてみたけれど、なんという本だかわからずじまいで残念。

別の日、阪急電車の宝塚線にて、石橋から梅田まで座れず、
立ったまま重松清の『あの歌が聞こえる』を読んでいた私。
ふと窓に目をやると、何メートルか先の窓に、本を読む人の姿が映っているではないですか。
十三でいったん降り、ガラス越しにタイトルを確認しに行ってしまいましたがな。
辻井喬の『終りなき祝祭』でした。この著者の本は一冊も読んだことがありません。
これも何かの縁、一度読んでみなければ。

つい先日、箕面から石橋へ向かう電車の中では、
有川浩の『明日の子供たち』を読んでいる男性発見。
なぜか四国某市の市立図書館の印字があり、これはどういうことなのかと想像いろいろ。

思わずニッコリしてしまったのは、いまどきの男子高校生が読書する姿を見たとき。
どこから見てもスポーツ少年で、見た目はおよそ本など読みそうにもないのに、
部活用のバッグを掛けた手で吊り革を握り、もう片方の手に東野圭吾の『時生』。
カノジョに読んでみてとでも言われたのかと、またしてもいろんな想像が楽しく。

昨日見かけた中学生ぐらいの女の子。
隣に立っていたので、タイトルは不明でしたが、章のタイトルは見えました。
「さやかちゃんを導いた心理学テクニックと教育メソッド」。
なんちゅう難しそうな本を読んでるねんと思い、帰宅してから調べたら、
これは『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の第4章でした。なるほど。

男性はブックカバーを使用しない人が多いのでしょうか。
それとも私が見かける人がたまたまそうなのか。
タイトルもろ見えだとウキウキわくわく。

何を読んでいますかと毎度突撃取材したい気持ちに駆られています。

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『関ジャム』も楽しい。

2015年06月13日 | 映画(番外編:映画と音楽)
『The Covers』を観はじめてからほぼ1年。
最近、それとはちとちがう趣だけどやはり楽しみな音楽番組が増えました。
毎週日曜日の23:15からテレビ朝日にて放映中の『関ジャム 完全燃SHOW』です。

なにしろついこの間までは関ジャニ∞のメンバーをほとんど知らなかった私。
マツコデラックスやハイヒールモモコと共演していた村上くんはともかく、
ほかのメンバーについては『エイトレンジャー2』(2014)で漠然と知り、
錦戸くんは『ちょんまげぷりん』(2010)や『県庁おもてなし課』(2013)や『抱きしめたい 真実の物語』(2013)で。
大倉くんは『100回泣くこと』(2013)や『クローバー』(2014)で。
安田くんは『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(2013)で。
丸山くんは『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(2014)で。
そして『味園ユニバース』(2015)で渋谷くんに首ったけに。

メンバー全員で歌っているところなんて見たこともないし、
第一、歌えるのかどうかすら知りませんでした(失礼)。
しかし、彼らが毎回ゲストミュージシャンを招いてジャムセッションするのですと。
歌はともかく、すばるくんがしゃべるところを見てみたいじゃないですか(笑)。

関ジャニ∞は人気ありそうなのに、視聴率クラッシャーと呼ばれているのだとか。
この番組もたいして視聴率を取れているわけではなさそうで、
どうなるのかわかりませんが、個人的にはめっちゃ好き。

関ジャニ∞のメンバー以外にレギュラー出演しているのが古田新太杉本哲太
このふたりがめちゃめちゃワラかしてくれるんです。
かなり緊張気味の杉本哲太がカンペ丸読みのくせしてつっかえまくり。
即座に「かみすぎやろ」とツッコミを入れる古田新太。

初回のゲストは奥居香と西野カナでした。
前者はよ~くわかるけど、後者のことはほとんど知らなかった私。
しかし、曲をつくるときには企画書づくりから始めるという話など、
へ~と思える内容で楽しく聞きました。

2回目のゲストはゆずとmiwa
ゆずの北川悠仁が小田和正の『クリスマスの約束』(これまた毎年楽しみにしている番組)に出演したとき、
小田さんの音楽に対する姿勢に衝撃を受け、
基礎から勉強しなおそうとヤマハの音楽教室にかよった話が楽しかった。

miwaがデビュー後にもかかわらず、アイドルのオーディションを受けにきたのだと誤解されて、
オーディション会場に連れて行かれたという話がありました。
そういう経験はないかと話をふられた古田新太は、
自分が座長を務める公演が梅田コマ劇場であったとき、職務質問を受けたのだそうな。
自らの顔が大写しになったポスターの前で。
後ろを通りすぎる劇団員がくすくす笑う笑う……という状況だったとか。

本題のジャムセッションもなかなかのもの。
おおっ、関ジャニ∞ってみんな楽器演奏できるんやと驚きました。

どうか打ち切りにならんといて。

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『予告犯』

2015年06月11日 | 映画(や行)
『予告犯』
監督:中村義洋
出演:生田斗真,戸田恵梨香,鈴木亮平,濱田岳,荒川良々,宅間孝行,坂口健太郎,
   窪田正孝,小松菜奈,田中圭,滝藤賢一,本田博太郎,小日向文世他

前述の『チャッピー』とハシゴ。同じくTOHOシネマズ梅田にて。

この間の週末もいろんな話題作が公開になり、観たいものだらけだったのですが、
からだはひとつしかないし、時間もかぎられているから選択肢はほとんどなく。
結局、時間がちょうどいいのは『予告犯』かよと思いつつ、
中村義洋監督ならばさほど裏切られることはないだろうと信じて。

あるとき、新聞紙をかぶった男がネット上で犯罪を予告。
その内容は、事件を起こしておきながら開き直りの会見をおこなった食品加工会社に対する制裁だった。
翌日、予告どおりにその会社が放火される。

警視庁サイバー犯罪対策課の吉野絵里香(戸田恵梨香)らが調べたところ、
“シンブンシ”を名乗る男が同様の犯罪を次々と起こしていることがわかる。
シンブンシは、法律では裁かれない不正義に対する制裁を予告、
失敗することなくそれを実行し、しかも現場をネット中継していたのだ。
マスコミを通じてシンブンシは広く知られることとなり、社会現象化する。

サイバー犯罪対策課が被害者に聞き込み調査をした結果、
どうやらシンブンシは単独犯ではないらしい。
世間から最初は敵視されていたシンブンシだが、
次第に共感を集めるようになり、支持者がぐんぐんと増えてゆく。

貧困な家庭に生まれ育ち、それでも屈することなくここまで進んできた絵里香は、
自分の不幸を社会のせいにしているとおぼしきシンブンシを許せない。
シンブンシを追いつめるべく懸命の捜査を続けるのだが……。

シンブンシの4人は、ゲイツこと奥田宏明(生田斗真)、
カンサイこと葛西智彦(鈴木亮平)、ノビタこと木村浩一(濱田岳)、メタボこと寺原慎一(荒川良々)。
まぁこの4人を見ているだけでも楽しいですねぇ。
さらには、シンブンシに共感を抱くネットカフェ店員役に窪田正孝
絵里香の同期生で公安課のいけすかない捜査員に田中圭
絵里香の部下に宅間孝行が出演していい味を出しています。
マニアックなところでは、カンサイと職安仲間だった男に村松利史など。

さまざまな事情から履歴書の職歴欄に空白ができ、
それゆえ仕事に就くことができなかった4人。
日雇い労働で共同生活を送るようになって親しくなり、
ある目的を完遂するためにシンブンシとしての犯行を繰り返すようになります。

中村義洋監督の作品は商業的に過ぎると思うこともままありますが、
たまに映画を観に行く人も楽しめる作品をということであれば、
こういう作品のほうがいいんじゃないかなぁと思います。

商業的に過ぎるけれども、ひかえめな音楽の使い方とか、
売れっ子俳優たちの熱ある演技にやっぱり泣かされてしまうのでした。

それが誰かにとっていいことだと思えば、どんな小さなことでも人は動く。

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