夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

20回目&21回目の『トップガン マーヴェリック』と、弟のこと。

2022年09月10日 | ほぼ非映画(その他)
今週初め、家庭裁判所遺言書の検認手続きに。
私ひとりで行ってもよかったのですが、60年前にその界隈に勤めていた母が懐かしかろうと、一緒に。
弟の遺言書を前にして「字を見ているだけで涙出るね」と話していたら、
事務の方が「ここで喧嘩が始まるケースも少なくないので、
そうして涙ぐむ家族の姿にはホッとします」と言ってくださいました。
 
思い返すと、弟が遺言書を書くと言ったのが5月26日のことでした。
その前週に緊急入院しましたが、24日頃まではなんなと私に連絡が来ていた。
 
26日、遺言書を書くための紙を3枚持って行ったら、
ペンを握る力もあまりなくなっていた弟は3枚とも書き損じ。
「ピッピッて線引いて訂正印押してもいいよ」と言ったけど、
「いや、ちゃんと書き直すわ」と看護師さんを呼ぶ。
「すみません、何でもいいんで、白い紙5枚くらいください」と弟。
「そろそろ遺言書書いとこ思って姉貴に紙持ってきてもろたんですが、失敗して」と弟が言うと、
遺言書という言葉にギョッとしたのか、看護師さんが反応に困っている。
やっと「緊張しますか」と尋ねる看護師さんに、弟は「いや、もう頭ちゃんと回ってないんで」。
ここ、笑うとこですよ~、看護師さん(笑)。弟と私は笑ったけど、看護師さんドン引き。
 
その翌日の27日は『トップガン マーヴェリック』の封切り日でした。
鑑賞回数を忘れないように18回目までちょこちょこ書いてきました。
19回目は109シネマズ箕面でIMAX版を鑑賞。
20回目は昨日9月9日、ちょうど弟の百箇日、109シネマズ大阪エキスポシティにて4DX吹替版を。
4DXはもうええわと思っていた私ですが、昨日はなんだかよかった。
吹替版がやはりとてもいいのと、真夏が過ぎ去ったからか、冷房が緩めで寒くない(笑)。
その後つづけて同劇場でレイトショー、21回目に最強のIMAXレーザーGT版を。
 
マーヴェリックがケイン少将を無視してダークスターで飛び立った後、
マッハ9を記録した辺りで映る空を見ると、いつも泣きそうになります。
こんな空を弟も見ているのかなと思うから。
 
30回観た『ボヘミアン・ラプソディ』をどうでもいいと思うぐらいになっているのは、
おそらく『トップガン マーヴェリック』の公開時期のせいかおかげか
弟のことを思い出させるからなのだと思います。
おまけに百箇日の9日がデジタル先行配信スタートの日なのですから。
11月2日にはDVD等も発売。当然予約済みです。
また『ボラプ』のときみたいに、鑑賞用と未開封のまま置いておく用を(笑)。

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『この子は邪悪』

2022年09月09日 | 映画(か行)
『この子は邪悪』
監督:片岡翔
出演:南沙良,大西流星,桜井ユキ,渡辺さくら,桜木梨奈,稲川実代子,二ノ宮隆太郎,玉木宏他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『DC がんばれ!スーパーペット』の次に。
 
片岡翔監督は『町田くんの世界』(2018)や『ノイズ』(2022)の脚本家でもあります。
幸せ溢れる話をお書きになることもあれば、途轍もなく嫌な話もお書きになる。
これは後者でした(笑)。ホラーじゃないのにすべてがホラー。
“TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2017”の準グランプリ受賞作品なのだそうです。
 
窪家は両親と娘ふたりの4人家族。
5年前、一家で遊園地に行った帰りに交通事故に遭い、母親は昏睡状態に陥って入院中。
退行催眠による心理療法の診療所を開く父親の司朗(玉木宏)は脚に障害が残り、
次女の月(るな)(渡辺さくら)は顔に火傷を負って仮面を被ったまま生活している。
長女の花(南沙良)のみ無傷であったことを花自身は申し訳なく思い、
学校にも行かずに家事を一手に引き受け、家族の面倒を見ている。
 
ある日、司朗が「奇跡的に目を覚ました」と言って母親の繭子(桜井ユキ)を連れ帰る。
月は大喜びで繭子に駆け寄るが、花はどこか違和感をおぼえ、素直に喜ぶことができない。
事故に遭う前同様に繭子はピアノが上手く、料理も花が知っている母親の味。
しかし母親と別人のような気がして仕方がない。
 
そんなとき、花に近づいてきたのは四井純(大西流星)。
純はかねてから抜け殻になったかのような大人を近所で見つけてはフィルムに収めていた。
いずれもかつて司朗の患者だったことがわかり、
花と純は司朗が連れ帰った「繭子」の正体を調べはじめるのだが……。
 
ネタバレしちゃってもいいですか。
 
行動不審な大人はみんな自分の子どもを虐待していた人。
司朗はそんな非道な親を見つけては、治療という名のもとに抜け殻状態にしていたんですね。
もっとしっかりネタバレすると、そういう大人とウサギの魂を入れ替えていたという。
ポカーン、でしょ。
 
ウソかホントか、ウサギって無垢だから、魂を入れ替えやすいんですって。
司朗の診療所にはウサギがいっぱいいて、実はウサギたちの中身は人間たち。
逆に見た目は人間だけど中身はウサちゃんになってしまった人たちは、
ウサギみたいなポーズでちんまり座り、時にはベランダの柵をカリカリかじり、目は真っ赤。
もう怖いのなんのって。
 
虐待をする大人は許せません。こんな目に遭っても気の毒だとも思わない。
ただ、司朗の場合は、自分の家族を取り戻すべく、妻も次女も別人をさらってきて催眠術をかけている。
死んだ人は還って来ないし、誰もその代わりなんてできないのに。
 
さて、タイトルの「この子は邪悪」の「この子」は誰を指しているでしょう。
これもネタバレしますと、司朗と繭子の身代わりとの間に生まれた赤ちゃん!
司朗を思い起こさせる赤ちゃんの笑顔としぐさにゾワーッ。(^^;

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『DC がんばれ!スーパーペット』

2022年09月08日 | 映画(た行)
『DC がんばれ!スーパーペット』(原題:DC League of Super-Pets)
監督:ジャレッド・スターン
声の出演:楠大典,高木渉,松岡茉優,松尾駿,梶裕貴,市川ぼたん,魏涼子,中村悠一,鈴村健一他
 
上映終了間近。
公開直後は字幕版を上映している劇場をちらほら見かけましたが、今は無し。
109シネマズ大阪エキスポシティにて吹替版で妥協して。
 
DCコミックスのヒーロー勢揃いといえば“ジャスティス・リーグ”
そこに登場するスーパーヒーローたちのペットが活躍するアニメです。
 
スーパーマンのペットで空飛ぶ犬のクリプトは、スーパーマンと自分の絆を信じて疑わないが、
最近、スーパーマンは恋人のロイスに首ったけで、よくクリプトを邪魔者扱いする。
その日も一緒にテレビを観るのを楽しみにしていたクリプトを残し、
スーパーマンはロイスと共に出かけてしまう。
 
ところが、出先でスーパーマンがさらわれる。犯人は世界征服を企むレックス・ルーサー。
かつてレックスのパートナーとして研究を進めていたモルモットのルルも
収容されていた保護動物の施設から脱走し、スーパーマンを追う。
 
スーパーマンの一大事に立ち上がったクリプトだったが、
ジャスティス・リーグの面々までいとも簡単にルルに捕らえられ、困った状態に。
保護施設にいた動物たちの協力を得て敵に体当たりするのだが……。
 
スーパーヒーローについて詳しくもなければ、彼らのペットについても知りません。
本作に登場するペットたちがもともとスーパーヒーローのペットなのだと思っていたら、
もともとそうなのはクリプトだけで、この騒動をきっかけにスーパーヒーローのペットになったらしい。
 
ワンダーウーマンアクアマンフラッシュ、グリーン・ランタン、バットマンらのペットたち。
せっかくスーパーパワーを手に入れたのに、上手く使いこなせないところが可愛い。
パワーに振り回されているときに「デカくなるハンマーぐらいでよかったのに」などと、
ソーを思わせるぼやきがあるところなども面白かったです。
 
字幕版ならばクリプトの声をドウェイン・ジョンソン、バットマンの声をキアヌ・リーヴスが担当。
やっぱり彼らの声で観たかったかな。

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『デリシュ!』

2022年09月07日 | 映画(た行)
『デリシュ!』(原題:Delicieux)
監督:エリック・ベナール
出演:グレゴリー・ガドゥボワ,イザベル・カレ,バンジャマン・ラヴェルネ,
   ギヨーム・ドゥ・トンケデック,クリスティアン・ブイェット,ロレンツォ・ルフェーブル他
 
大阪ステーションシティシネマにて、前述の『地下室のヘンな穴』とハシゴ。
奇しくもフランス/ベルギー作品を2本続けて鑑賞することになりました。
 
舞台は1789年、革命前夜のフランス。
世界で初めて庶民のために開かれたレストランのお話です。
 
マンスロンはシャンフォール公爵お抱えの料理人
ある日、公爵がいずれ王になるかどうかもかかるような大事な晩餐会が開かれる。
 
公爵が指定した料理以外は出さないように指示されていたマンスロンだが、
スライスしたジャガイモにトリュフを挟んでパイ包みにした創作料理を出したところ、
ひとりの客が味をこきおろしたうえに、これはいったい何かと尋ねる。
マンスロンが答えると、ジャガイモとトリュフを使うとは何事か、
それは豚の餌ではないか、我々のことを豚だと思っているのかと全員が怒る。
 
詫びるように強要されたマンスロンだがそれを拒否。
専属料理人の職を解かれて屋敷を追い出されてしまう。
 
息子のバンジャマンを連れて故郷の田舎に戻ったマンスロン。
もう料理はしないと決めていたが、弟子入りを望む女性ルイーズが現れる。
その熱意にほだされて、次第に料理への情熱を取り戻したマンスロンは……。
 
当時の料理というものは貴族のもので、金のない民衆には味などわかるはずもないと思われいたそうな。
何を気取っているのだか。
 
冒頭の晩餐会のシーンでは、その場のほとんど全員が美味しいと思っていたでしょうに、
たったひとりが難癖をつけただけでいきなり態度が180度変わる。
豚の餌だ、ドイツ人が食べるものを我らに食べさせるのか。そう言って料理を放り投げる。
挙げ句、豚の真似をしてみんなでブヒブヒ鼻を鳴らしはじめるのですから、貴族こそ下品。
おまえらみんな豚になってしまえと言いたくなります。
 
マンスロンがルイーズに欲情するシーンは不要だと思いましたし、
そもそも恋愛の要素は要らないように思います。
でもまぁ、ふたりが恋に落ちるのは仕方のないことですかねぇ。
 
貴族が連夜贅を尽くした食事をしているのに、田舎では人びとが飢えている。
マンスロンが焼いたパンを近所の子どもたちが盗みに来たとき、
黙って見逃そうとするマンスロンに、ルイーズが「タダで持って帰らせるつもりか」と問うと、
「タダじゃない。平和を買っている」と答えるのが印象的でした。
 
まともな食事ができずに貧困にあえいでいる人びとをどやせば、ますますギスギスする。
小麦粉を持ってきてくれればパンを焼くよと言い、子どもたちをレストランの給仕として雇い入れる。
何もない旅籠だったのが、旨い食事も出してくれる場に変わる。
 
ルイーズの嘘が判明したときはガッカリしましたが、ハッピーエンド。
味もわかっちゃいないのに体裁だけ気にする貴族の鼻を明かしてくれてスッキリです。
シャンフォール公爵はちゃんとマンスロンの料理が凄いことをわかっていただろうに。馬鹿だねぇ。

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『地下室のヘンな穴』

2022年09月06日 | 映画(た行)
『地下室のヘンな穴』(原題:Incroyable Mais Vrai)
監督:カンタン・デュピュー
出演:アラン・シャバ,レア・ドリュッケール,ブノワ・マジメル,
   アナイス・ドゥムースティエ,ステファン・ペーゼラ他
 
ちょっとご無沙汰した感ありの大阪ステーションシティシネマへ。
どうやら今年に入ってから初めてだったようで、直近はこのときでした。
っちゅうことは、貯めたポイント消滅してるやん。ショック。(T_T)
といってもここは8ポイントでドリンクSサイズ1杯。
それ以上貯めたところで大小ポップコーンしかもらえないから、
劇場でポップコーンを食べることはない私はドリンク一択。
だったらショックを受けるほどでもないか。
 
フランス/ベルギー作品。
監督はフランス出身のカンタン・デュピューで、まだ50歳にもなっていないのに、
すでに奇才と呼ばれているようです。確かに奇才ですね、鬼才というよりも。
 
アランとマリーはすでに子どもをあきらめた中年夫婦。
新居の購入を考え、緑豊かな郊外に建つ屋敷の下見に訪れる。
 
良い物件だとは思うが、ふたりで暮らすには広すぎるのでは。
ためらう夫婦に不動産屋がこの物件最大のウリである秘密を教えてくれる。
 
地下室に降りると、そこにはマンホールのような穴が。
不動産屋のあとについて夫婦が穴に入ると、出てきたのはなんと2階。
しかも穴に入ったときから12時間が経過している。
秘密はそれだけではなく、なんと3日若返るというのだ。
 
屋敷の購入を決めた夫婦だったが、その後、マリーは若さを取り戻そうと、
毎日何度も穴に降りてダクトを通っては出てくるという行動を繰り返す。
そんなことにつきあっていられないアランは、マリーとろくに会うこともできず、
彼女の置き手紙を見ても「また明日」の明日がいつを指しているのかもわからない。
 
一方、アランが勤める会社の社長ジェラールは、
同棲中の恋人ジャンヌを喜ばせようと、日本で電子ペニスを移植する手術を受けたらしい。
自前のペニスを切って、リモコンで電子制御できるペニスを付けたというのだ。
 
顧客の対応に難儀していたアランは、ジェラールが交代してくれると聞いてホッとするが、
そのときジェラールの電子ペニスに不具合が発生。
ジャンヌに内緒でジェラールはペニス修理のために日本に行くと言い……。
 
どんな感想を書けばよいのやら困ります。
 
12時間進んで3日若返る。そんなことを聞いたら、確かにダクトを通りたくなるかもしれません。
だけど鏡を見たところで3日前に若返っているかどうかなんてわかりませんよね。
 
以下、ネタバレです。
 
真偽のほどを確かめるためにマリーが思いついたのは、腐りかけのリンゴを持って穴に入ること。
出てきたときには見た目ツヤツヤのリンゴに変わっていますが、
かじってビックリ、中からは無数の蟻が這い出してきます。おぞましい。
ありえない処置をして外見だけ変えたところで、中身は腐ったままですよということか。
ペニスにしても、自分で制御できるように機械仕掛けにしたところで思いのままにはならないと。
 
ヨルゴス・ランティモス監督の作品のような印象をちょっと受けます。
でもそれほど暗くはないんですよね。かといって明るくもない。
観る人を選びます。ふだん娯楽大作しか観ないという人は間違ってもこれを選択なさいませんように。

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