『川っぺりムコリッタ』
監督:荻上直子
出演:松山ケンイチ,ムロツヨシ,満島ひかり,吉岡秀隆,江口のりこ,黒田大輔,
知久寿焼,北村光授,松島羽那,柄本佑,田中美佐子,笹野高史,緒形直人他
声の出演:薬師丸ひろ子
TOHOシネマズ西宮にて4本ハシゴの3本目。
原作者の荻上直子が自ら監督と脚本を担当。
キャストを見てずいぶん前からとても楽しみにしていた作品です。
もっとふわふわした話かと思っていたら、意外とヘヴィーでした。
すべてを知ったうえで雇ってくれた社長(緒形直人)は、
毎日まじめに働けば更生できない人間はいないと山田を励ます。
(ウザイ。←私の個人的感想です(笑))。
社長の紹介で“ハイツムコリッタ”に入居することになった山田。
大家の南(満島ひかり)は未亡人で、カヨという小学生の娘をひとりで育てている。
ムコリッタは築50年だが、山田の入る部屋で死んだ人はいないから安心するようにと南は言う。
できるだけ人を避けて生きていくつもりだったのに、
入居したその日から隣の部屋に住む島田(ムロツヨシ)が風呂を貸せと押しかける。
なんとか追い返したものの、翌日からごはんが炊けると同時にやってくる島田。
時折見かけるスーツ姿の男は溝口(吉岡秀隆)といい、
息子の洋一(北村光授)を連れて墓石の訪問販売をしているらしい。
途端に騒がしくなった周囲に戸惑う山田に、市役所の堤下(柄本佑)から連絡が入り、
行方知れずだった山田の父親が孤独死しているのが見つかったと聞き……。
能天気に見える人にもさまざまな過去がある。
ずうずうしい人だと思っていた島田の存在が、いつしかありがたいものになります。
実際にはこんなふうにはならないと思うんですよ。
ずうずうしい人、無神経な人。できれば関わりたくないと感じる人がいっぱいいる。
だけど生きている限り、少なからず、人づきあいはしなければならない。
渋々でもつきあってみた結果、島田みたいな人ならばどれだけいいことでしょう。
そういえば何年か前まではムロツヨシをうっとうしいと思っていたのですけれど、
この頃どんどん好きになっています(笑)。
まさに山田から見た島田と、私から見たムロツヨシは同じかもしれません。
人を騙した罪で服役していた山田。
人を傷つけた自分が、幸せなど感じてはいけないと思っています。
それを吐露したとき、南が山田を抱きしめるシーンがとてもよかった。
みんなですき焼きを食べるシーンは笑ったなぁ。
出番は少ないけれど、塩辛工場の社員役の江口のりこ、
島田の幼なじみで寺の住職役の黒田大輔もよかったです。
こんなお葬式、したい。
優しい物語です。