夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『夏へのトンネル、さよならの出口』

2022年09月15日 | 映画(な行)
『夏へのトンネル、さよならの出口』
監督:田口智久
声の出演:鈴鹿央士,飯豊まりえ,畠中祐,小宮有紗,照井春佳,小山力也,小林星蘭他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
2018年度の第13回小学館ライトノベル大賞で、
大賞に当たる“ガガガ賞”と“審査員特別賞”のW受賞を果たした作品なのだそうです。
応募時のタイトルは『僕がウラシマトンネルを抜ける時』。
うん、確かに新たに付けられたタイトルのほうがいいですね。
 
列車と鹿が衝突してしょっちゅう遅延が出るような田舎町。
高校生男子の塔野カオルの家庭では、家族の太陽だった妹カレンが事故で亡くなった後、
母親は家を出て、父は酒を飲めばカオルに暴力をふるう日々。
 
ある日、この辺では見かけたことがない女子に傘を貸したカオルは、
翌日同じクラスに彼女が転入してきてビックリ。
彼女の名前は花城あんずといい、東京から引っ越してきたらしいが、
同級生たちから声をかけられても無視し、女王的立場の女子生徒と喧嘩まで起こす。
 
その日の晩も父親から殴られたカオルは家を飛び出す。
たどり着いた場所には不思議なトンネルがあった。
そういえば、通り抜ると千年経つ代わりに欲しいものが手に入るというトンネルの噂を聞いたことがある。
ここがまさにそれなのではないかと入ったカオルが数分で出てくると、なんと1週間経っていた。
 
カレンを取り戻したい。そう考えるカオル。
一方、カオルにこっそりついてきたあんずもトンネルの存在を知り、
自分にも欲しいものがあるからこのトンネルについて調べるべく共同戦線を張ろうと言い出して……。
 
カオルとあんずがトンネルの外と内に分かれ、どこまで電話が繋がるか、メールが届くか、
そして連絡が取れなくなった位置から猛スピードで外に戻ってきた場合、
内で過ごしたはずの時間の何倍の時間が外で過ぎているのかを調べます。
面白いと思いましたが、ロジックとしてこれは合っているのですかね?
 
内と外では時間の経過が違うのに、浦島太郎のように歳を取ったりはしないのかなって。
どちらも見た目変わらず、老けないまんまって、絵面としてはよいけれど、
なんか都合よすぎないだろうかなどと考えてしまいました。
届かないはずのメールがバンバン届いたりもしますし、どうなってるねん!とか(笑)。
 
でもおそらくそこはツッコミどころではないのでしょうね。
取り戻したかった妹。しかしそれは妹が本当に望むことではない。
妹がいい子すぎて泣けてくる。
お兄ちゃん、幸せになって。好きな人と一緒にいて。
 
亡くなった人は帰ってこないのだから、さよならの出口をちゃんと見つけないと。

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『百花』

2022年09月14日 | 映画(は行)
『百花』
監督:川村元気
出演:菅田将暉,原田美枝子,長澤まさみ,北村有起哉,岡山天音,神野三鈴,永瀬正敏他
 
109シネマズ箕面にて、貯まったポイントを使って鑑賞しました。
 
原作者は川村元気。やり手のプロデューサーというイメージしかありません。
この人の手にかかればヒットまちがいなしでしょう。
 
川村元気が関わった作品をちょっと挙げてみましょうか。
『世界から猫が消えたなら』(2016)と『億男』(2018)の原作者であり、
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018)では企画とプロデュースを担当。
何よりもあの大ヒット作『君の名は。』(2016)のプロデューサーです。
さらに、“ドラえもん”シリーズには脚本を執筆した作品もある。
まったく、どんだけ金儲けるねんとやっかみたくもなる(笑)。
 
そんな彼がついに映画監督としてデビューを飾る。凄すぎるでしょう。
とても素直に称賛する気にはなれません。すんません。(^^;
 
音楽関連の会社に勤務する葛西泉(菅田将暉)。
同僚で妻の香織(長澤まさみ)は妊娠中で出産間近。もうすぐ親になる。
 
ピアノ教室を開く母親の百合子(原田美枝子)を訪ねると、どうも様子がおかしい。
息子に接する態度とは思えず、気味悪さを感じてその日はとっとと帰るが、
後日、百合子がアルツハイマー型認知症を発症していることがわかる。
 
百合子を引き取ってもよいという香織に断り、海辺の施設に入居させる。
泉に会うたびに「半分の花火が見たいの」と口走る百合子。
その意味がわからずに戸惑う泉だったが……。
 
いろいろとお金をつぎ込んで映画を製作できる身分でしょうに、
主な役者は菅田将暉と原田美枝子、長澤まさみ、そして永瀬正敏くらいです。
ほかには泉の上司役の北村有起哉、その上司とデキているという噂の社員に河合優実
泉の同僚に岡山天音、百合子の主治医に長塚圭史、産婦人科医に板谷由夏
これらの人はみんなほんとにちょっと出ているだけ。横顔程度の人もいる。
百合子の旧友役で出演している神野三鈴ぐらいでしょうか、ちゃんと顔が写るのは。
 
泉と百合子の間には過去の出来事が原因で溝があります。
その出来事とは、百合子が泉を置き去りにして男のもとへ走ったこと。
相手の男である浅葉を演じているのが永瀬正敏です。
 
ネタバレになりますが、浅葉は百合子のピアノ教室の生徒で既婚者。
神戸方面に単身赴任になった折に、百合子を連れて行って一緒に暮らします。
それまでの百合子はネグレクト気味でもないし、良い母親。
なのに泉を誰に預けることもなく、突然出て行ってしまう。その間1年。
 
子どもとして許せますか。いきなり女になった母親のことを。
そんなときもあると共感できるかどうか。
 
若かりし頃の百合子も原田美枝子が演じていて、
老けメイクに頼るよりはいいような気もするけれど、とにかく化粧が濃い。
そりゃ美しいですよ。化粧が濃かろうが薄かろうが原田美枝子は綺麗です。
でもその濃い化粧に目が行くと、うーん、きついなぁと思ってしまう(笑)。
 
阪神・淡路大震災のことも絡められていて、震災をきっかけに百合子は泉のもとへ戻った模様。
本や映画で震災を絡められると少し冷めた目で見てしまいます。
 
忘れているのは母親のほうだと思っていたら、自分だって大事なことを忘れていた。
そういうことなのかもしれませんが、どうも偽善臭を感じてあまり好きじゃない。
それもこれも、川村元気に対するやっかみかもしれませんけど。(^^;

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『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』

2022年09月13日 | 映画(ら行)
『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』(原題:Rocky IV: Rocky vs. Drago)
監督:シルヴェスター・スタローン
出演:シルヴェスター・スタローン,ドルフ・ラングレン,タリア・シャイア,カール・ウェザース,
   ブリジット・ニールセン,バート・ヤング,マイケル・パタキ,トニー・バートン,ジェームズ・ブラウン他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『靴ひものロンド』とハシゴ。
 
“ロッキー”シリーズのファンは多いですよねぇ。
でも私、たぶんちゃんと観たことがないんです。シルヴェスター・スタローンがタイプじゃないからでしょうか。
本作も観るかどうか迷いましたが、この機会に観なければ一生観ないだろうと思って。
 
シリーズ4作目の『ロッキー4/炎の友情』(1985)のアルティメット・ディレクターズカット版だとか。
なんすか、そのアルティメット・ディレクターズカット版って。(^^;
「42分間の未使用素材を採用して新たな作品に生まれ変わらせた」とのことですが、
もとの作品になじみのない私が観ても、どう生まれ変わったのかさっぱりわからない。
 
伏線もわからんまま観ましたが、前作までのライバルはアポロ・クリードだったのですよね。
それはアポロの息子アドニスを主人公に据えた“クリード”シリーズを観ているから知ってます。
アドニス役のマイケル・B・ジョーダンはスタローンよりずっとタイプですから(笑)。
 
ロッキー・バルボアとは長年のライバルで今は親友のアポロ。
チャンピオンとして国民的ヒーローとなっているロッキーを心身共に支えている。
そんな彼らの前に現れたのが、ソ連のボクサー、イワン・ドラゴ。
アマチュアからプロに転向するドラゴを派手に宣伝しようと、
ソ連側はロッキーとのエキシビションマッチを希望するが、ロッキーは無視。
すると、アポロがドラゴの対戦相手になりたいと言い出す。
 
陽の当たるところへ出ることはなくなっていたアポロは、この対戦で再び有名になりたいと願う。
ロッキーは彼のセコンドを務めて試合を見守るが、アポロはドラゴにボコボコにされて死んでしまう。
まるで殺人マシーンのようなドラゴ相手に、アポロの無念を晴らそうと、今度はロッキーが対戦する。
 
てな感じでしょうか。
 
未公開映像の部分がどこだかわからないうえ、さして興味も持てないまま観はじめたので、
ところどころ寝ました(笑)。
でも、ロッキーとドラゴの試合がはじまると覚醒。寝るひまなんて無し。
 
35年以上前の作品で見るドルフ・ラングレン
今はシワシワのお爺さんになっている彼が、殺人マシーンなのにカワイイ。
ドラゴの妻役で登場しているブリジット・ニールセンは、この時期うまいことスタローンをひっかけて(?)、
彼と結婚するに至ったのでしたよねぇ。映画と同じくしたたかな印象。
 
驚いたのは、エキシビションマッチを盛り上げるイベントでジェームズ・ブラウン本人が歌っていたこと。
へ~、“ロッキー”にも出ていたのですか。
 
いがみ合うアメリカとソ連。リング上で死闘を繰り広げたとしても、リング外で千人が殺し合うより良い。
ちょっと反戦も入っています。

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『靴ひものロンド』

2022年09月12日 | 映画(か行)
『靴ひものロンド』(原題:Lacci)
監督:ダニエーレ・ルケッティ
出演:アルバ・ロルヴァケル,ルイジ・ロ・カーショ,ラウラ・モランテ,シルヴィオ・オルランド,
   ジョヴァンナ・メッツォジョルノ,アドリアーノ・ジャンニーニ,リンダ・カリーディ他
 
シネ・リーブル梅田にて。
 
原作はイタリア・ナポリ出身の作家ドメニコ・スタルノーネの小説。
インド系アメリカ人のジュンパ・ラヒリが翻訳して出版、全米でも大きな話題に。
それを名匠といわれるダニエーレ・ルケッティ監督が映画化。
めっちゃいい話を想定して観に行くと、苦笑いしながら帰るはめに陥ります。(^^;
 
1980年のナポリ。
夫アルドと妻ヴァンダ、長女アンナと長男サンドロは、平穏な日々を送っている。
ところがある日、アルドが突然ほかの女性と関係を持ったことを告白。
激昂したヴァンダはアルドを家から追い出す。
 
アルドは勤務地のローマで浮気相手のリディアと同棲している様子。
待っていても帰ってこない夫に業を煮やし、ヴァンダはローマを訪れる。
子どもをダシにしてやり直すことを求めるヴァンダだったが、
どう振る舞おうが駄目出しされるアルドは、妻との暮らしに限界を感じ……。
 
このころの映像と、途中の映像、現在の映像が行ったり来たり。
老けメイクがないのはいいけれど、昔の夫妻と今の夫妻を別の俳優が演じていて、
あまりにも印象が違うため、ちょっと戸惑います。
 
家庭を壊すつもりがないのなら、浮気がバレないようにすればいい。
なのに、バレてもいないのに、アルドは突然浮気を告白します。
夫がどういうつもりでそんな告白をしたのかわからないヴァンダは夫を問い詰める。
そりゃまぁそうだ。離婚したいのか。離婚する気がないならなぜ告白するのか。
なんやねん夫、と思ってしまう。
どうしたいのかわからないんだよと言う夫、アホかと思う。
 
けれどその後のヴァンダの言動には賛成できません。
夫を呼び戻しに行ったくせに、子どもと過ごすアルドに嫌味の嵐。
そりゃもう夫はどうすればいいのかわからなくなるでしょう。
寛容なリディアと一緒に居たくなる。
 
でもどっちつかずだから、アルドはリディアにも愛想を尽かされて、結局元サヤに。
いきなり何十年か飛んで、まだこの夫婦が一緒に居たことがわかるとき、
幸せのかけらも感じられなくて、何のために結婚生活を続けているのかと問いたくなります。
 
たぶん、子どものために別れなかったのでしょうが、本当にそれが正解か。
子どもたちがどう思っていたのかを私たちは知ることになり、どうにもやるせない気持ちです。
 
辛辣なことこのうえない。
ほどけた靴ひもは結び直せても、へんてこな結び方の靴ひもはそのまんま。

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20回目の『トップガン マーヴェリック』についてもう少し詳しく。

2022年09月11日 | 映画(た行)
20回目は当初IMAXレーザーGT版になる予定でした。
109シネマズ大阪エキスポシティの上映スケジュールは、
一昨日からレイトショー20:55の回にIMAX上映があるから、
実家に寄ってからそれを観に行くことが可能だと思って。

しかし、が亡くなってから3カ月が経ち、「大丈夫になるもんやねぇ」と言う母。
「大丈夫って何が? 体が? 気持ちが?」と尋ねたら、「両方」。
「振り返ってみると、あのときは頭がおかしくなってた」。そうだね、私も同感。
私の場合は、頭がおかしくなりながらも、やらなきゃいけないことがいっぱいで、
泣きながらいろいろ片付けている状態でした。
弟の部屋を片付けて、あっちこっちに連絡して、実家の両親の様子を見る。
毎日そんな感じでしたが、今は悲しみは消えないながらも、日常を取り戻しつつある。
さすがに実家に毎日寄らなくても大丈夫になりました。

そんなわけで、一昨日は母と相談して実家に寄らないことに。
そうしたら、レイトショーまでの時間、空くやん?
公開になったばかりの他作品を観ようと思ったら、ちょうどいい時間に4DX版の上映があるじゃあないか。

正直なところ、4DX版は金輪際観るつもりはなかったのです。
だって、9回目の鑑賞時、寒すぎて風邪を引くかと思ったから。
それでもやっぱり観ることにしたのは、本作の吹替版がとても好きだからです。

水しぶきが飛んでくるヤツは最初からスイッチをオフにしました。
でも、自分に直で飛んでくるミストがオフになるだけだから、
前方や隣から飛んできたミストで鞄はまぁまぁ濡れます。
やっぱり寒かったけれど、冷房は真夏よりは穏やかだから、耐えられなくはない。

困ったことにというのか嬉しいことにというのか、
今週はこの4DX版とIMAXレーザーGT版がハシゴに最適な時間帯に上映されます。
またこのハシゴをやってしまうかもしれません。

そうそう、劇場インフォメーションで両回のチケットを見せて「駐車券、2本分お願いします」と言ったら、
最初、「すみません、1本につき1サービスしか受けられないんです」と言われたよ。
「これ別の回の2本なんですけど」と言ったら、チケットを注視され、
「あ、すみません」と言って6時間分つけてくれました(笑)。

このハシゴは楽しすぎる。

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