夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『グランツーリスモ』

2023年09月20日 | 映画(か行)
『グランツーリスモ』(原題:Gran Turismo)
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:デヴィッド・ハーバー,オーランド・ブルーム,アーチー・マデクウィ,
   ダレン・バーネット,ジェリ・ハリウェル・ホーナー,平岳大,ジャイモン・フンスー他
 
連休中日、夙川でひとりランチした後、TOHOシネマズ梅田にて2本。
 
私もプレイステーションを持ってはいましたが、RPG専門。
“グランツーリスモ”が世界的人気を誇るドライビングゲームだとは知らず、
そのゲーマーからプロのレーシングドライバーを発掘して育成するプロジェクト、
“GTアカデミー”なんてものがあったとも知りませんでした。
 
ゆえに、その話に惹かれたというよりは、ニール・ブロムカンプ監督作品だということに惹かれて。
南アフリカ出身、『第9地区』(2009)や『エリジウム』(2013)の監督がまさかこれに手を出すとは。
 
“グランツーリスモ”にのめり込んでいる青年ヤン・マーデンボローは、
父親に呆れられながらも本物のレーサーになる夢を諦めきれず、
ゲームで好タイムを叩き出して“GTアカデミー”の予選会に参加するチャンスを得る。
 
“GTアカデミー”とは、SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)と日産自動車が主催する、
優秀なゲームプレイヤーたちプロレーサーとして育成するための選抜プログラム。
 
アカデミー参加者の指導に当たるのは、元レーサーのジャック・ソルター。
ゲーマーがリアルなレースで通用するはずがないと内心では思っていたジャックだが……。
 
失礼ながら主人公ヤン役のアーチー・マデクウィにイマイチ花がない。
それよりもジャック役のデヴィッド・ハーバーがかっけーオッサン。
『バイオレント・ナイト』を観て以来、私は完全にこのオッサンの虜です。
久々に見るオーランド・ブルームは“GTアカデミー”の設立者ダニー・ムーア役。
“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズで美しきエルフを演じていた頃が懐かしいですね。
 
アカデミーを勝ち抜いた者をひとりレーサーとしてデビューさせるに当たり、
インタビューの受け答えが上手かどうかなんてこともダニーは考慮したがる。
ヤンのタイムは1位だったけど、僅差で2位につけた者のほうがメディア受けが良い。
ダニーはヤンの採用に反対したものの、ジャックはタイムが示す通りにヤンを採用します。
この辺、花がない人じゃないと話としてダメなわけですね。(^^;
 
ゲーマーからプロレーサーになるのは確かに凄いことだけど、そんなゲームが凄くないですか。
タイヤの状態までゲーマーはちゃんとわかっている。びっくりしました。
 
ヤンがレース前に気分を高めるために聴く勝負曲に笑ってしまいました。
ケニー・Gとエンヤですって。イケイケの曲じゃないんだわ。
対するジャックの勝負曲はブラック・サバスらしい。
どの時代のブラック・サバスが彼のお気に入りかは知りませんが、
劇中ではオジー・オズボーンの歌声が何度か流れていました。
 
皆さんの勝負曲って何ですか。

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『ダンサー イン Paris』

2023年09月19日 | 映画(た行)
『ダンサーインParis』(原題:En Corps)
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:マリオン・バルボー,ホフェッシュ・シェクター,ドゥニ・ポダリデス,ミュリエル・ロバン,
   ピオ・マルマイ,フランソワ・シヴィル,メディ・バキ,スエイラ・ヤクーブ他
 
前述の『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』でくじけた後、本作を観る。
同じくシネ・リーブル梅田にて。
 
フランス/ベルギー作品。
セドリック・クラピッシュ監督のことがとても好きです。
なんというのか、観るといつも清々しい気持ちになれる。
この監督の奥さんが誰かとか知らなかったのですが、いま調べてみたらローラ・ドワイヨン
「知らなかったのですが」って書いたけど、前にめっちゃ書いてるやん、私。(^o^;
そうでしたか、クラピッシュ監督の義父はあのジャック・ドワイヨンでしたか。
奥さんよりもお義父さんよりも、私はクラピッシュ監督の作品が断然好きだ。
 
パリ・オペラ座
エトワール(=最高位)を目指すバレリーナのエリーズは、その夢が今まさに叶うというとき、
舞台袖で恋人が別の女性を追いかけるのを目撃してしまう。
動揺したままステージに上がった結果、転倒して足首を負傷する。
 
捻挫ではあったものの、古傷も完治していないことを医師に指摘され、
数ヶ月様子を見てよくならないようであれば手術必至であること、
手術すれば2年は踊れないであろうことを告げられる。
 
ショックから立ち直れないエリーズは、以前一緒にバレエをしていたサブリナに偶然会う。
すでにバレエを諦めて今は女優を目指しているサブリナは、
それだけでは食べていけないからとモデルの仕事などをしているらしい。
サブリナから仕事を紹介してもらったエリーズは、彼女とはウマが合うと感じる。
 
サブリナの恋人は出張料理人のロイック。
今度の出張先ブルターニュへアシスタントとして同行することになったエリーズは、
そこでコンテンポラリーダンスのメンバーと出会い……。
 
ロイックが出張するのは、スタジオ併設の宿泊施設。
弦楽器の演奏家や歌手などの音楽家やダンサーなどが数日間だか数週間だか滞在します。
オーナーは脚に障害のある女性ジョジアーヌ。彼女のさりげない励ましが○。
ロイックの料理も美味しそうだし、サブリナとの痴話喧嘩も笑えます。
 
物語としては、一流のバレリーナになれそうだったところ怪我をして挫折しかけ、
ジャンルは違えども踊ることを再開する女性が主人公だから、『裸足になって』とそっくり。
でも国が違うからこっちのほうが軽め。どちらもよかった。
 
クラピッシュ監督がダンスを取り上げるとは意外。
ホフェッシュ・シェクターという本物のダンサー率いる実在のダンスカンパニーが登場し、
シェクターと何名かのダンサーが本人役で出演しています。
そして主演のマリオン・バルボーも本物のオペラ座のダンサー。
 
コンテンポラリーダンスは私にはわからない世界ですが、興味は湧きました。
エリーズが「クラシックバレエに出てくる女性は必ず悲劇に見舞われる。
死んでしまったり、亡霊になって出てきたり」とぼやくシーンにホントだわと思いました。
 
エリーズを担当する療法士のヤンもエリーズと同時期に恋人の裏切りに遭い、
お互いを慰め合ううちに恋に進展すると思い込んでいました。
その様子がかなり可笑しくて、劇場内に笑いが溢れたのも嬉しいこと。
 
エリーズに無関心を装ってきた父親が、バレエのレッスンに我が子を連れて行っていた頃を思い出すシーンには、
こちらももらい泣き。
ちょっと笑ってちょっと泣く。このバランスが良い作品でした。

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『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』

2023年09月18日 | 映画(わ行)
『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』(原題:Frere et Sœur)
監督:アルノー・デプレシャン
出演:マリオン・コティヤール,メルヴィル・プポー,ゴルシフテ・ファラハニ,パトリック・ティムシット他
 
TOHOシネマズ梅田別館で『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』を観た後、
いったいいつになったら涼しくなるのか、厳しい日差しの下、てくてく歩いてシネ・リーブル梅田へ。
 
アルノー・デプレシャン監督は著名ですが、私は監督作を1本も観たことがないと気づく。
出演作の『ヒッチコック/トリュフォー』(2015)を観たことがあるだけ。
無意識に避けてきたのだろうか、なぜだろうと思ったけれど、本作を観てなんとなく納得。
 
この日のハシゴ2本目でした。1本目のTOHOシネマズ梅田別館ではビールを飲みました。
生ビールのつもりで注文したら、「缶ビールを紙コップにうつすんですが、それでもよろしいですか」と聞かれました。
「いいですよ」と答えたけれど、あのビールで800円って、ぼったくりやないですか。
甲子園の生ビールより高いっちゅうの。生である必要はないけれど、値段高すぎ。
 
で、それに憤って飲んだ気がせず、本作の鑑賞中にハイボール缶を飲みました。
これは冷え冷えで美味しかったけど、おかげで眠気に襲われてしまいました。
しかし、飲んでいなくても寝てしまったと思うのですよね。この監督とはたぶん合わない。
 
昨年がんで亡くなった私の弟。弟と私は本作のタイトルのような関係ではありません。
でも、姉弟の話ならば観たくなるじゃないですか。なのに、この関係性はまったく理解できず。
 
人気舞台女優のアリスには2人の弟がいるが、長弟で詩人のルイとは絶縁状態。
ルイがまだ幼い息子を亡くした折にアリス夫婦が弔問に訪れるも、ルイは追い返す。
アリスの夫ボルクマンはもともとルイの友人だったにもかかわらず、いまやボルクマンのことすら憎んでいる。
 
ある日、両親が交通事故に遭って入院。
次弟のフィデルから連絡を受けたルイも病院へと向かうが、アリスには絶対に会いたくない。
しかしお互いを避けたままでいられずはずもなく、姉弟は久々に再会するのだが……。
 
憎み合う関係になった理由すら思い出せないって、どういうことですか。
アリスのことを自分の著作でルイが悪く書いたから?
でもルイがそんなことを書くような感情を抱きはじめたのはなぜ?
 
序盤で睡魔に襲われたため、どういう流れだったのかおぼろげにしかわかりません。(^^;
だけど、理由もわからずに憎み合う様子は不愉快にしか感じられなくて。
スーパーで偶然会ってしまったときの姉弟の会話も私の理解を通り越し、
完全にルイの味方である妻フォニアの態度もよろしくなくて、すべてが不可解。
 
アリス役のマリオン・コティヤールもルイ役のメルヴィル・プポーも好きな俳優です。
でも彼女たちの出演作の中でいちばん意味不明でした。
最初から最後まで起きていたら共感できるところもあったのでしょうか。
何の脈絡もなく面と向かって「大嫌い」と言うところからしてワケわからん。

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『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』

2023年09月17日 | 映画(ま行)
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(原題:A Haunting in Venice)
監督:ケネス・ブラナー
出演:カイル・アレン,ケネス・ブラナー,カミーユ・コッタン,ジェイミー・ドーナン,ティナ・フェイ,ジュード・ヒル,
   アリ・カーン,エマ・レアード,ケリー・ライリー,リッカルド・スカマルチョ,ミシェル・ヨー他
 
映画を観ている場合ではない日々が続いていましたが、一応落ち着いたので劇場通い復活。
連休初日だった昨日、まずはTOHOシネマズ梅田別館にて。
 
アガサ・クリスティの“名探偵ポアロ”シリーズをケネス・ブラナーが自ら主演で撮る。
ケネス・ブラナーはもともとシェイクスピア役者として名を馳せているで、知的すぎるところが少し鼻につきます(笑)。
私は役者としての彼よりも、監督に専念しているときの作品のほうが好きかもしれません。
近年の監督作では特に『ベルファスト』(2021)が大好きでした。
 
さて、本作はやはり鼻につくポアロ役なのですが、鼻につくからこそ似合っている。
同シリーズの前作2つにしても、すごく好きだったわけではないけれど、飽きずに最後まで観られます。
ということはやっぱり面白いのかしらん。
 
1947年。探偵を引退してイタリア・ベネチアで隠遁生活を送るエルキュール・ポアロ。
ハロウィンの日、旧友で人気推理小説作家のアリアドニ・オリヴァが訪ねてきて、
ある屋敷でおこなわれる降霊会に参加しようと誘われる。
 
超常現象を完全否定するポアロは断ろうとするが、オリヴァが言うには、この霊媒師は本物だと。
霊媒師なんて詐欺師に決まっていると、トリックを見破るためにポアロは参加することに。
 
オリヴァが絶賛する霊媒師ジョイス・レイノルズが到着し、降霊会の準備が整う。
屋敷の主人はオペラ歌手のロウィーナ・ドレイクで、彼女の一人娘アリシアが過日自殺、その霊を呼び出すのだ。
 
参加者は女主人とオリヴァ、ポアロのほか、家政婦のオルガ・セミノフ、
帰還兵で心に傷を持つ家庭医のレスリー・フェリエ、その息子でまだ幼いながら舌を巻く賢さのレオポルド。
元警察官で今はポアロの護衛を務めるヴィターレ・ポルトフォリオと、レイノルズの助手も同席。
さらに、アリシアを振ったとされる元恋人マキシム・ジェラードが匿名の手紙によって招待されてやってくる。
 
レイノルズの詐欺を序盤で見抜いて指摘したポアロだったが、その後も説明のつかないことが起きてお開きに。
直後、レイノルズの衣装を身につけてみたポアロが襲われたかと思うと、レイノルズが殺害される。
通報しようとするポルトフォリオに、ポアロは屋敷から誰も出られないように施錠することを指示。
オリヴァを助手としてひとりずつに聴取しはじめるのだが……。
 
最近、映画も亡霊が登場するものに関わることが多く、また亡霊かよと思いました。
本作はホラーではないけれど、それでも亡霊かと思うようなシーンは怖い。
でもいろいろと観ていると、「出てきそうなシーン」が予測できるのですよね。
だから、「来る」と思ったときには上手く目線を逸らすことができました(笑)。
 
ケネス・ブラナーとレイノルズ役のミシェル・ヨーを除けば日本ではさほど知名度の高くない役者ばかりですが、
どこかで見たことのある演技派が多い。
セミノフ役のカミーユ・コッタン、フェリエ役のジェイミー・ドーナン、オリヴァ役のティナ・フェイ
子役のジュード・ヒルは上記のジェイミー・ドーナンと共に『ベルファスト』に出演しています。
女主人のケリー・ライリーも見た顔だし、ポルトフォリオ役のリッカルド・スカマルチョといえば、
私の中ではなんといっても『あしたのパスタはアルデンテ』(2010)。
 
ポアロにまで亡霊が見えることにどんな説明をつけるのかと思っていたら、ちゃんと解明されていました。
でも、霊が何かを訴えたがっているということはあるのかもしれません。
 
ベネチアの風景も楽しい。
明るい作品ではありませんが、それなり以上に面白いと思います。

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『罠 THE TRAP』【4Kデジタルリマスター版】

2023年09月16日 | 映画(わ行)
『罠 THE TRAP』
監督:林海象
出演:永瀬正敏,大嶺美香,南原清隆,杉本哲太,山口智子,夏川結衣,麿赤兒,
   梶原善,阿南健治,近藤芳正,佐野史郎,千石規子,馬渕晴子,宍戸錠他
 
林海象監督による“私立探偵 濱マイク”シリーズの4Kデジタルリマスター版が公開中。
第2作『遙かな時代の階段を』(1995)を観たときに、第1作『我が人生最悪の時』(1994)をスルーしたことを後悔。
第3作である本作は見逃さないようにしようと心に誓いました。って、んな大げさなもんやない。(^^;
ま、とにかく109シネマズ箕面へ。1週間限定公開ですからね。1996年の作品で、これが完結編。

横浜・黄金町に事務所を構える私立探偵濱マイク(永瀬正敏)。
交際中の百合子(夏川結衣)にぞっこんで、毎日会うのが楽しくて仕方ない。
その日もデート前のイソイソを隠せずにいるのを妹の茜(大嶺美香)に見破られ、
百合子のためにプレゼントぐらい用意するようにと、香水を手渡される。
 
このところ、横浜では同じ手口の殺人事件が起きている。
いずれも黒髪の美女で花柄ワンピース姿、綺麗に化粧をほどこした顔で、同じ香水をつけていた。
彼女たちは注射器で毒を打たれた後に殺害場所から人目につく場所へ移動されたらしく、
公園のベンチや遊園地観覧車の中などで目を見開いたまま死亡していた。
 
事件にまるで興味はないものの、百合子に危険が及ぶかもしれないと考えるマイク。
そして心配したとおり、百合子が襲われかけたところ、間一髪でマイクが救う。
マイクは、犯人が現場に落とした注射器を伊勢佐木署の刑事・中山(麿赤兒)に見せるが、
中山はマイクのことをまるで信用せず、調べようとしない。
見かねてマイクに声をかけたのは、本件のために神奈川県警からやってきた若手刑事・神津(杉本哲太)。
 
やがて、現場からなぜかマイクの指紋が発見され、中山がマイク逮捕に向かおうというとき、
神津はマイクにこっそり連絡すると逃げるように言う。
後にマイクとマイクの仲間たちに神津は合流し、真犯人を挙げるために協力し合い……。
 
なるほど、第1作を観ていないので気づきませんでしたが、
第2作と第3作にも同じ俳優がまったく違う役で出演しているのですね。
杉本哲太なんて、前作ではヤクザの役でしたから、刑事役で驚いた。
それにしても腹が立つ、麿赤兒演じる中山はマジで悪徳刑事です(笑)。
 
話自体も面白いけれど、やはり著名な役者の若かりし頃を見られるのが楽しい。
聴覚障害者の百合子役、夏川結衣が可愛いのなんのって。マイクがぞっこんなのもわかる。
そして山口智子演じるみづきのサイコパスぶりが怖すぎる。可愛いけど。
彼女と同じ施設で育ち、彼女が溺愛する弟分で知的障害者の役を永瀬正敏が一人二役。
また、殺害される美女役も知った顔ばかりで、喜多嶋舞、杉本彩、黒沢あすか
いや~、もうビックリしました。こんな役で彼女たちが出演していたなんて。
 
山口智子と永瀬正敏の役柄のせいで、夢か現かわかりません。
本当の自分はどっちだったのかなどと考えさせられ、第2作より少し難解。
そこがまた林海象っぽいです。
 
ところで劇場には私ひとりでした。今年5度目の“おひとりさま”

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