2021/10/1 NHK BSシネマ
ジョン・ウェインと巨匠ジョン・フォード監督、名コンビの原点となった傑作西部劇。
モニュメント・バレーを疾走する駅馬車に乗り合わせた乗客の様々な人間模様、
アパッチの襲撃、無法者との決闘を描く。ダイナミックなアクションと映像美、
繊細な人間描写・・・。
映画を知り尽くした演出は、今なお世界中の映画作家に影響を与えている。
【製作・監督】ジョン・フォード
【出演】ジョン・ウェイン ・・・リンゴ・キッド
トーマス・ミッチェル・・・ 医者ブーン
クレア・トレパー ・・・ 娼婦ダラス
ルイーズ・プラット ・・・貴婦人 ルーシー
ジョン・キャラダイン・・・賭博師ハット・フィールド
バートン・チャーチル・・・銀行頭取ヘンリー
ドナルド・ミーク・・・酒商人ピーコック
ジョージ・バンクロフト ・・・保安官カーリー
アンディ・ディバイン・・・御者バック
【製作】アメリカ、1939年 白黒1時間37分
【原題】STAGECOACH
モニュメント・バレーを疾走する駅馬車と騎兵隊
美しい景色と駅馬車の疾走感が素晴らしい。
ステーション・・・ドライフォーク に到着した駅馬車
ここにいた夫のマロリー騎兵隊中尉が傷つきローズバークに運ばれたと聞いた
ルーシーがショックで産気づいたため、ここで一行は足止めを余儀なくされ、急遽
飲んだくれの医者、ブーンがコーヒーをがぶ飲みし正気となり、ダラスが看護婦
として女児の出産を成功させる。
ダラス(右)が抱く女児をみて、乗客仲間は喜ぶ。
この夜、リンゴはダラスにプロポーズする。リンゴは敵討ちを止めて、メキシコに逃げようとするが山の
向こうにアパッチの狼煙を発見し、川を渡ってローズバーグを目指ざるを得なかった。
しかし、ローズバーグへの川の渡し場は全体が焼き討ちに遭っていた。
なんとか筏を作って駅馬車を載せ川を渡ってローズバーグを目指そうとした。
現場でのアパッチの襲撃はなかった。ただ、ハットフィールドだけは光信号のようなきらめきを見ていた。
目的地のローズバーグが近づき、無事を乾杯しようとブーンが声をかけた途端、
アパッチの矢がピーコックの胸に突き刺さる。
駅馬車は、大群のアパッチの襲撃を逃れ、乾燥湖(カルフォルニア州)を疾走していく。
乾燥湖でアパッチとの熾烈な戦闘となり、御者バックが右腕を負傷したため、
リンゴは駅馬車を引く先頭の馬に乗り移って行き、先頭馬の手綱を引く。
アパッチ族も打たれて落馬し引きずれて死んでいく。リアルな戦闘場面である。
やがて駅馬車のメンバーの弾も尽き、ハットフィールドの銃もあと一発で終わりとなった時、
ハートフィールドは貴婦人に辱めを与えまいとルーシーを撃とうとする。
しかし、アパッチに自分が撃たれる。
その時、ちょうど騎兵隊の救助隊が到着する。 危機一髪で駅馬車は難を逃れた。結局一人の犠牲者と
二人の負傷者とだけでローズバーグに向かう。
駅馬車の一行はローズバーグに到着する。
リンゴは父と弟の敵討ち・・・ローズバーグ無法者(ルークを筆頭とするプラマー三兄弟)との決闘との場に臨む
奥に3兄妹、手前はリンゴ
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【駅馬車に乗り合わせた乗客の人間模様客】
前半部分は意外に長く、立場も目的も違う9人の前には、皆が恐れるインディアンも現れない。
それぞれに異なるキャラクターがあり、興味と親しみも持てるようになって来る。
【戦闘シーン】
後半部は急に激しい戦闘シーンが現れる。これは恐ろしくリアルで迫力がある。
当時は実写であることを考えるとスタントマンは命がけであったろう。
現代ではCGで済まされてしまうところだ。当時は映画技術を駆使して完成させたものであろう。
この実写であることが、現代まで長く名画として評価され続けてきた。
また、一瞬の決闘シーンも名場面となっている。
【西部劇】
巨匠ジョン・フォード監督の映画史に残る不世出の名作西部劇で
「駅馬車」は徹底したエンターティンメント、もう一つ「荒野の決闘」は芸術作品として並び称されている。
【アカデミー賞】
1939年、7部門にノミネートされ、酔いどれ医師に扮したT・ミッチェルはアカデミー助演男優賞、
また音楽賞を受けた。
しかし、この年には『風と共に去りぬ』があり、作品賞は13もの賞にノミネートされ、8つの賞を獲得した
『風と共に去りぬ』が受賞した。
(了)