めいすいの写真日記

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METオベラ マスネ作曲マノン

2021-10-16 | オペラ・バレエ

                                                                                                                                       WOWOW 2011/10/9

  美貌と官能で男を操る小悪魔マノン。一方、自由奔放なマノンに魅入られ、翻弄される青年デ・グリュー。
 マノン役には才能溢れる美貌のL・オロペーサ。若手としてMETで育ちヨーロッパに進出し
数々の名歌劇場で大活躍、今回はMETに凱旋し歌姫(ディーヴァ)の大役で魅せてくれます。
  騎士デ・グリュー役のM・ファビアーノとの共演も充実し、ゴージャスな衣装も見事。
  L・ペリーの演出は華やかでありながら退廃的でもあります。

【原作】アベ・プレヴォ-
【作曲】マスネ
【演出】ロラン・ペリー
【指揮】マウリツィオ・ベニーニ
【出演】
   マノン・・・リセット・オロペーサ
   騎士デ・グリュー・・・マイケル・ファビアーノ
   従兄レスコー・・・アルトゥール・ルチンスキー
   貴族プレティニ・・・ブレット・ポレガート
   伯爵デ・グリュー・・・クワンチュル・ユン
   ギョー・・・カルロ・ボージ
【上演】MET上演日:2019年10月26日
    上映時間:4時間10分(休憩2回)
【言語】フランス語

【あらすじ】 
第1幕 アミアンの宿屋の中庭  
   男を夢中にさせる美貌を持つ少女マノンは、享楽的な性格を懸念した家族に修道院に
送られることになる。
アミアンの宿屋に従兄弟のレスコーと共にマノンが来る。好色な貴族ギョーが彼女に
言い寄って来る。レスコーは身持ちを固くしなさいと説教する。
  しかし、その後、騎士デグリューが現れ、マノンの美しさに魅せられて恋に落ち
彼女とパリに駆け落ちする。

 第2幕 パリのアパート

  パリでデ・グリューは、二人の結婚の許しを得るために、父親に手紙を書いている。
  居所を突き止めたレスコーと貴族プレティニがやって来る。プレティニはマノンに享楽的な生活の素晴らしさを歌い、マノンの気持ちを揺さぶる。

 皆がいなくなり、マノンは別れる決心をしてアリア「 さようなら、私たちの小さなテーブルよ」を歌う。
   戻ってきたデ・グリューは父親の寄越した人々に連れ去られる。

第3幕 
第1場ラ・レーヌ通りの祭日
   人々はラ・レーヌ通りで 祭りを楽しんでいる。
 

 ギョーは今マノンと暮らすブレティニにマノンの要求通り自宅にオペラ座を呼べないようでは、いずれマノンに
捨てられると嫌味をいっている。

 そんな中、贅沢と人々の称賛によって一層磨きあげられ輝くばかりのマノンが
アリア「私はどんな道も女王のように歩くの」を歌いながら登場する。
   そこへデ・グリューの父親が通りかかりブレティニと挨拶をかわす。
息子はすっかり失恋の傷も癒え、サン・シュルピス神学校で信仰生活を送っていると話す。
その話を聞いたマノンにたちまちデ・グリューへの熱い想いが蘇る。

 そうとは知らないギョーは、ブレニティの鼻をあかしてマノンの気を惹こうと祭りにオペラ座を呼んでくる。
いよいよオペラ座のバレエが繰り広げられるがマノンの心はすでにデ・グリューのことで一杯である。
ギョーのもくろみは見事に外れてしまう。

第2場サン・シュルピス神学校

 デ・グリューは神父になった。尼僧や信者たちがデ・グリューの説教をほめたたえている。

デ・グリューはマノンとの辛い思い出を忘れるために聖職に救いを求めていた。

   デ・グリューはマノンの姿をみて驚き「お帰りください!」と何度も叫ぶが、マノンは諦めない。
心から自分の行いを悔い、許しを乞う。マノンの激しい情熱に揺れるデ・グリュー。
マノンは彼の手を握り甘く歌う「この手を握っているのは、もう私の手ではないの?」と。

マノンの愛に打たれてデ・グリューは彼女の愛を受け入れる。

 第4幕 パリのオテル・ド・トランシルヴィア賭博場

  賭博に興じる人々の中に老貴族ギョーとレスコーたちとマノンとデグリューは出会う。
ギョーはデ・グリューに勝負を挑むが大負けする。それをインチキ賭博だと怒って出ていき警察に告発する。 

第5幕 ル・アーブル港への街道

  デ・グリューは父親である伯爵のとりなしで釈放されるがマノンは植民地に流刑されることが決まる。
マノンを奪回するためにデ・グリューは仲間を集めるがうまくいかず、レスコーにわいろを渡してマノンと出会う。

 投獄生活で衰弱しきっていたマノンは彼の腕の中で息絶える。

 

【感想】マノンはファム・ファタル(運命の女・男を滅ぼす悪女)といわれることがある。
 しかし、このオペラでは、それだけでは言い尽くせない部分がある。
 まずは、家族によりマノンが修道院に送られる場面で、デ・グリューが夢中になり駆け落ちし、
バリで二人だけの生活を送り始めるところはお互い様。貴族プレティニに享楽的な生活の素晴らしさを話されて、
愛人になる。この辺のところは本人の意志というよりも、”男の方が悪”と言えなくもない。
 デ・グリューが神父になったと知った時、迷いもせず、愛人プレティニを捨て神学校に駆けつけ、
よりを戻そうとする。神父としての説教が素晴らしいと称えられるデ・グリューである。
プレティニより人間的な男の下で暮らしたい。というのは”再び誘惑”とはならないのでは?
 いずれにしても男を”夢中にさせる小悪魔”という形容も私には適切でないように思えてしまうのだが・・・。
 そういった意味ではマノンとで・グリューの二重唱こそが、お互いの愛情の表現として
緊迫感があり見どころであることは間違いない。
 そしてこのシーンはマノンの若さと強い情熱こそが悲劇を起こしたと考えたくなる。 
 3時間を超える大作であるが,それぞれの人物描写が細やかで、見栄えのする場面も多く、
一つの恋愛の形が表現された、優れたオベラであると思う。

(了)