めいすいの写真日記

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ヴェルディ作曲「ファルスタッフ」

2021-02-25 | オペラ・バレエ

 シェークスピアの喜劇を題材にしたヴェルディ80歳の晩年のオペラ「ファルスタッフ」。最後の傑作、喜歌劇。
  貧乏だが食いしん坊で女に目がない 太っちょの騎士ファルスタッフが 金と女の一石二鳥作戦を思いついた。
  しかし 作戦はあっさり見破られ、そこに相思相愛の恋人とフランス人医師との三角関係がからむ。 

【時と場所】 
ヘンリー4世治下(1399-1413)、ウィンザー
【登場人物】
サー・ジョン・ファルスタッフ(Br):老騎士でも気は若く、太った無頼漢
アリーチェ(S):フォードの妻
フォード(Br):お金持ちの市民
ナンネッタ(S):フォードの娘
フェントン(T):青年紳士、ナンネッタの恋人
メグ(Ms):アリーチェの友達
ドクター・カイウス(T):テノール
バルドルフォ(T):(ファルスタッフの従者) 
ピストーラ(Bs):(ファルスタッフの従者) 
ほか

 【第1幕】

「名誉など」とファルスタッフは厳正哲学を披露する

 居酒屋ガーター亭で酒を飲んでいた老騎士ファルスタッフは勘定を払うお金に困る。そこで、裕福な二人の夫人アリーチェとメグに恋文を送り、どちらかをうまく誘ってお金に困らない生活をしようと企てる。

 アリーチェ(左から2人目」)、メグ(同4人目)

 しかし、アリーチェとメグは、恋文を手にして喜んだのも束の間、二人が出会ったときに恋文を読み比べると、全く同じ文章であるのがわかり、二人はファルスタッフを懲らしめようと意気投合する。
 またアリーチェの夫フォードは、自分の妻にファルスタッフの恋文が届けられたことをひそかに知って、憤慨していた。

【第2幕】
アリーチェは、夫の留守中の家にファルスタッフを呼び寄せる。

ファルスタッフはアリーチェを口説く。

夫フォードが戻ってきたのを知り ファルスタッフは洗濯かごに入れられる。

そしてそこにメグが現る。ここまでは作戦どおりで、二人でいざファルスタッフを懲らしめようとしたところ、メグはアリーチェに「本当にアリーチェの夫フォードが帰ってきた」と伝える。フォードは妻とファルスタッフが逢引しているらしいと聞いて、怒って帰ってきたのである。
 驚いたのはファルスタッフ。彼は、アリーチェに促されるまま洗濯かごの中に隠れる。しかしそのアリーチェ、今度は「その洗濯かごを窓から川に放り投げて」と召使いに命じる。川に落ちてずぶぬれになったファルスタッフを見て、ご婦人たちも満足、フォードも満足する。

【第3幕】
 ここで実はもう一つ問題があった。フォードは自分の娘ナンネッタを、医者のカイウスと強引に結婚させようとしていた。ナンネッタにはフェントンという恋人がいた。
さて、アリーチェとメグは、もう一度、ファルスタッフを懲らしめるため、アリーチェが真夜中のウィンザー公園で逢引しようと彼に持ちかける。

懲りないファルスタッフが喜んで真夜中の公園に行くと、妖精に仮装した村人に囲まれまる。
妖精を見ると命がないという迷信を信じていた彼はその場に身を伏したのだが、妖精たちにさんざん突っつかれた。

ナンネッタとフェントンはついに結婚を認められる

 このときどさくさに紛れてフォードは、娘のナンネッタと医師カイウスを結婚させようと村人に認知させようと画策していたのだが、それを察知したフォードの妻アリーチェの機転で、逆にナンネッタは恋人のフェントンと結婚することを皆に示すことができた。フォードも仕方なくこの結婚を承諾した。

小突かれてさんざんな目にあったファルスタッフも事の次第をすべて理解し、「この世はすべて冗談、最後に笑う者こそが本当に笑う者なのだ」と皆といっしょに歌って、そして笑うのだつた。

【感想】
 (1)タイトルロールであるファルスタッフはアンブロージュ・マエストロでほぼ決まりと言っていいくらい世界の歌劇場で演技していて、その上演数は202回だそうな。太っちょでバリトンとして声が良く。演技が上手ということで当代随一のはまり役になっているようだ。
 そして、ヴェルデイは晩年になって人生を達観したが、そのキャラクターがヴェルディ自身、ファルスタッフで、まさに最重要な役柄といえるわけである。
 メトロポリタンオペラのアディーナ役をアンナ・ネトレプコが演じた「愛の妙薬」での薬売りのドゥルカマーラ役をした時も彼の雰囲気はとても素晴らしかった。
 (2)「ファルスタッフ」は晩年の作品とはいえ、ヴェルディは精密なアンサンブルを主体として作曲しており、フィナーレの合唱はフーガ (17世紀バロック音楽で重要視された楽曲形式複数の旋律を積み重ね繰り返す)アンサンブルとされ、イタリアオベラに大きな影響を与え、その遺産となっている。
 (3)このオペラは2月15日にNHKBSのプレミアム・シアターで放映された「ハンブルグ国立歌劇場公演」(上演日2020年1月19日)を取り上げるつもりでいた。
  しかし、ダークで暴力的な作品解釈で知られるカリスト・ビエイトの演出が、私には肌に合わなかった。
 このため、2013-14シーズンのメトロポリタンオペラ版が録画してあったので、才気あふれるロバート・カーセンの演出の舞台を取り上げることにした。こちらの方が明るく、清潔、ロマンに溢れていて見やすい。指揮はジェームス・レヴァイン MET上演日:2013年12月14日
 共に、ファルスタッフを歌うのはアンブロージュ・マエストリである。



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