めいすいの写真日記

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R・シュトラウス歌劇「影のない女」

2020-07-22 | オペラ・バレエ

                        2020/7/13 NHK BSシアター

 リヒャルト・シュトラウス作曲の歌劇「影のない女」は、霊界の娘(皇后)が篤い人間愛に触れて真実の愛を知る、規模が大きくファンタジーにあふれたメルヘンオベラです。

 皇帝…ステファン・グールド(テノール)
 皇后…カミラ・ニールンド(ソプラノ)
 乳母…エヴェリン・ヘルリツィウス(メゾ・ソプラノ)
 染物師バラク…ヴォルフガング・コッホ(バリトン)
 染物師の妻…ニーナ・ステンメ(ソプラノ)
 
 指揮 クリスティアーン・ティーレマン
    ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団・児童合唱団
 演出 ヴァンサン・ユゲ
        2019年5月25日 ウィーン国立歌劇場
    全3幕 約3時間20分

舞台は架空の神話世界
  皇帝はガゼルに化身した美女を妻としている。彼女の正体は霊界の王カイコバートの娘。彼女には「影がない」
 神話の世界では「影を持つ」ということは人間の子を宿す能力を持つということ。


第1幕第1場 皇帝の庭園を望むテラス
  王カイコバートの使者が娘の乳母にメッセージを伝えにくる。3日以内に彼女の影が出現しない場合、皇帝は石にされ、娘は霊界に戻されると。
 影を手に入れようと彼女は乳母に従い人間界へと降りていく。
第1幕第2場 染め物師の家
  彼女と乳母が向かった先は貧しい染め物師夫婦の家。不具の兄弟達も同居している。
 妻は内心、夫に失望している。乳母は魔力で彼女を幻惑し、3日間の奉公と引き替えに 影を譲るよう説得する。
第2幕第1場 染め物師の家
 皇后の乳母は,バラックの留守中に魔法で美しい若者を呼び出し妻を誘惑しようとする。
 豊富な食べ物と浮浪児たちを連れて夫が帰ってくるが妻は相手にしようとしない。
第2幕第2場 鷹狩りの小屋の前に広がる森 
 皇帝は捜していたいた鷹に出会ったことを喜ぶが「小屋に籠もる」と置き手紙を残した はずの妻が密かに人間と会っていたことに気づくと・・・。
第2幕第3場 染め物師の家
  乳母は薬でバラックを眠らせ、再び魔術で男を呼び出す。またしても幻惑された妻は・・・。


第2幕第4場 皇后の寝室

 皇后は自分の過ちで人間達が苦しんでいると、夢の中で罪の意識にさいなまれる。

第2幕第5場 染め物師の家

       バラックは激怒する。

  約束の3日目が来た。
  バラックの妻は夫に「私は不貞を働き、影を売った。だから子供は産めない」と宣言する。激怒し、妻を殺そうとする夫に彼女は・・・

第3幕第1場    霊界の地下牢

バラックとと妻は霊界の地下牢で壁を隔ててお互いを思いやっている。
そこへ声がかかり、二人は別れ別れのまま上方へと登っていく。

第3幕第2場    霊界の宮殿の入り口
   皇后と乳母は霊界の入口にたどり着く。皇后は父親の裁きを受けるため,霊界に向かうが,乳母は皇后を危機にさらした罪で嫌いなはずの人間界へ追放される。
第3幕第3場  霊界の宮殿の内部
   皇后に対し「生命の泉」の水を飲むことでバラックの妻の影を奪えとお達しがあるが, 彼女は拒絶し、石となった皇帝と一緒に死にたいと言うと,その瞬間・・・。

第3幕第4場  霊界に広がる風景

 ハイライトの皇帝と皇后、バラック夫妻の四重奏
「影を生むために、二人は選ばれ、火の試練で強められた」と愛の喜びを歌う。

【この作品の演奏】
ドイツオペラの大作で、1919年にウィーン国立歌劇場で初演されて以来、この歌劇場の大きな節目に上演されることが多い。
1955年、第2次世界大戦で破壊された歌劇場が再建された際の記念公演(カール・ベーム演奏)
1964年 ヘルベルト・フォン・カラヤンがウィーン国立歌劇場を退任する時の演奏
2019年 ウィーン国立歌劇場創建150年記念の公演(今回、クリスティアーン・ティーレマン演奏)

【魔笛】との類似性
  モーツァルトの「魔笛」。ジングシュピール(ドイツ語による歌芝居)
  との類似性も指摘されている。2つのカップルが困難を乗り越えて愛を成就するのが主題てある。
 【物語性】
   霊界と人間界、
 狩りの際に射止めたガゼルの化身、霊界の娘を妻にした皇帝。
 そして影とは何か。どのようにして影を盗むのか。影を奪えなかった時には、夫は石になるとは?
 不毛の愛に悩む染め物師の妻から影をどうやって盗むのか?  こうした物語はオベラを見ていく上では、難解で音楽がお留守になってしまうこともある。
 皇帝と皇后、バラック夫妻が本当の愛を確認するのだが、「子供達が手を伸ばし目を輝かせている」と歌うのだが、今後生まれてくる子供達の声が聞こえてくるというのが愛の賛歌なのも、珍しいのではないかと思う。

 時間もかかるオベラの大作で内容も豊富である。キャストも揃っていて熱演している。音楽も美しく手応えのあるオペラといえる。



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