マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

加守倭文神社御田祭

2009年06月12日 07時09分34秒 | 葛城市へ
葛城市當麻の加守に鎮座する倭文(しとり)神社の正式な名は葛城倭文坐天羽雷命(かつらぎしとりにいますあめのはいかづちみこと)神社と称する。

二上山への登山口にあたり、ハイカーは拝んでから登る人も少なくない。

加守の里道を桃色に染める八重の桜が満開で夏日の様相を迎えた。

境内に四方竹を張って稲作の五穀豊穣を祈る春祭りの祈年祭(としごいのまつり)が行われる。

本殿に登った氏子役員や御田祭神事で所作する田男と牛を演じる少年たちは神妙な顔つきで神事を見守っている。

牛の面は二つ置かれている。

ひとつは親牛でもうひとつは神事の際に誕生する子牛だ。

松苗や60kgもの御供モチを供えて修祓が始まった。

祓えの儀、献饌、祝詞奏上、玉串奉奠など神事を終えると一同は急な階段を降りてくる。

おもむろに始まった御田祭。

スキを使って丹念に神田を鋤いていく。

次はクワで田んぼの畦塗り。

もっとしっかり押さえないと畦が崩れるでと叱咤が入る。

スキ、クワともに時計回りに二周する。

何をしてるんだろうかと子どもは不思議の目線だ。

次は牛が登場してカラスキを引っ張っていく。

カラスキが浮いてたら田んぼが耕せへんでとこれまたチャチャが入る。

カラスキからマンガンへ農具を替えて田作りの牛耕が続き、そのあとは田男が並んで模擬苗の松苗を植えていく。

そして四方竹が取り払われた。

再び牛が登場するのだが図体が大きくなっている。

どうやら子牛を孕んでいるようだ。

お腹をさすっていれば、モオー、モオーと牛は叫ばなかったがポロリと子牛が現れた。

珍しい牛の出産シーンがみられる倭文神社の御田祭所作は類をみない。

誕生した子牛は親牛とともに境内を走り回る。

かっては境内下道までころげ落ちるぐらいに暴れ回ったというが田んぼの牛なぞ見たことない小学六年生の少年演者はのっそのっそと歩むおとなしい牛を演じている。

もっと牛の面を突きだすように持たんと牛らしく見えへんがなとまたまた叱咤。

来年は年初から練習しておきたいと宮司は仰った。

御田祭を終えると里人が楽しみにしていた御供のモチ撒きが始まった。

(H21. 4.18 Kiss Digtal N撮影)