天理市長滝町は山の上。集落は山々に囲まれている。
その山の一つに鎮座する稲荷社に参る人たち。
長靴を履いている。
前日に降った霙(みぞれ)雨がたっぷりと山に染み込んでいる。
急な山道はドロドロで泥濘状態。
昨年は大雪やったから登りも下りもたいへんやったと口々にいう村人たち。
山の上の稲荷社に参る。
お稲荷さんは初午に参るのが本来だが寒い日は厳しいからと3月の初午にしているという「コンコンサン」。
村の人はそう称している。
そんな山道を予め道造りをしていた厄の人。
初老と云う42歳の男性二人は、登りやすくするため、山道を階段状にしてロープを張っておいた。
これは決まりでもなく自主的な行動だとAさんは話す息子さんがこしらえたありがたい道造りだったのだ。
ありがいのはもう一つある。
運動靴でやってきた私は山に登ると聞いて諦めようとした。
そこへ長靴を履いたご夫婦に出合った。
それなら貸してあげると云って家まで取り戻ったKさんに感謝する。
距離はそれほど長くはないが急な山道の勾配はきつい。
同行しなければ山中で迷いようになる地に稲荷社があった。
そこには穴を掘って火を起こしている。
それも厄の人がこしらえたのだ。
社には幟が立てられている。
「正一位稲荷大明神」と「伊予良大明神」の二つだ。
朱塗りの鳥居はオトナ衆が建てたという。
ここは標高500m。
社が鎮座する山は隣村の苣原町との稜線。
下の谷は伊予良と呼ぶ小字である。
昔はこっちから登ってきたというが使うこともなく荒れたそうだ。
下の谷は原野で耕地だった。
田んぼもあったという。
かつて猟師がいた。
「ケンケンサンに願をかけてキジとかウサギを獲っていた」という。
社が古くなって屋形を建てたのは25年も前。
ケンケンサンはお稲荷さん。
コンコンサンに参るというのも親しみを込めたお稲荷さんの愛称であろう。
京都伏見から勧請を受けて祀った稲荷社はキトラ(亀虎)の方角。
村を見守る位置にある。
参る人は高齢者が多い。
急な山道を登る逞しさに生活ぶりに感動する。
この日は13人。
例年ならもっと多いのだがと話す長滝町の戸数は26軒。
お稲荷さんだけに御供はアカメシと呼んでいるアズキのメシに三角のアゲ。
さらにタマゴもある。
それは生タマゴやミヌキタマゴに半熟タマゴ。
特に決まりはないがそれも御供さんだ。
巻き寿司も見られるさまざまな御供は各家がこしられたご馳走だ。
お神酒を供えて手を合わせる。
参拝者が揃ったところで代表者が祝詞を奏上した。
急なにわか頼みだったが難なくこなした神主役。
サカキを振って祓いをする。
「しじゅう(始終)に(二)無事で過ごせるようにと厄の人を祓う。
村の豊作も願ったコンコンサン参りは下げた御供を口にする。
各家の美味しい味がする御供を食べながら談笑する。
竹で燗をしたお神酒もいただいて身体はほくほく。
アゲも焼けば焦げ目もついて美味しい。
ほどなく山の上の時間を過ごしたあとは生えているビシャコ採りに勤しむ男性たち。
お稲荷さんにも奉った樹木は持ち帰って家の神棚に供えるという。
そのビシャコは風がすく処はすくすく育つ。
風が通るからだという。
実がついているビシャコは商品価値がないとNさんは話す。
ほどなく過ごしたコンコンサン。
下りは滑りやすいので、一歩、一歩足元を踏ん張りながら下った。
雪が降ったときはお尻から滑ったと笑いながら下ってゆく。
(H24. 3.10 EOS40D撮影)
その山の一つに鎮座する稲荷社に参る人たち。
長靴を履いている。
前日に降った霙(みぞれ)雨がたっぷりと山に染み込んでいる。
急な山道はドロドロで泥濘状態。
昨年は大雪やったから登りも下りもたいへんやったと口々にいう村人たち。
山の上の稲荷社に参る。
お稲荷さんは初午に参るのが本来だが寒い日は厳しいからと3月の初午にしているという「コンコンサン」。
村の人はそう称している。
そんな山道を予め道造りをしていた厄の人。
初老と云う42歳の男性二人は、登りやすくするため、山道を階段状にしてロープを張っておいた。
これは決まりでもなく自主的な行動だとAさんは話す息子さんがこしらえたありがたい道造りだったのだ。
ありがいのはもう一つある。
運動靴でやってきた私は山に登ると聞いて諦めようとした。
そこへ長靴を履いたご夫婦に出合った。
それなら貸してあげると云って家まで取り戻ったKさんに感謝する。
距離はそれほど長くはないが急な山道の勾配はきつい。
同行しなければ山中で迷いようになる地に稲荷社があった。
そこには穴を掘って火を起こしている。
それも厄の人がこしらえたのだ。
社には幟が立てられている。
「正一位稲荷大明神」と「伊予良大明神」の二つだ。
朱塗りの鳥居はオトナ衆が建てたという。
ここは標高500m。
社が鎮座する山は隣村の苣原町との稜線。
下の谷は伊予良と呼ぶ小字である。
昔はこっちから登ってきたというが使うこともなく荒れたそうだ。
下の谷は原野で耕地だった。
田んぼもあったという。
かつて猟師がいた。
「ケンケンサンに願をかけてキジとかウサギを獲っていた」という。
社が古くなって屋形を建てたのは25年も前。
ケンケンサンはお稲荷さん。
コンコンサンに参るというのも親しみを込めたお稲荷さんの愛称であろう。
京都伏見から勧請を受けて祀った稲荷社はキトラ(亀虎)の方角。
村を見守る位置にある。
参る人は高齢者が多い。
急な山道を登る逞しさに生活ぶりに感動する。
この日は13人。
例年ならもっと多いのだがと話す長滝町の戸数は26軒。
お稲荷さんだけに御供はアカメシと呼んでいるアズキのメシに三角のアゲ。
さらにタマゴもある。
それは生タマゴやミヌキタマゴに半熟タマゴ。
特に決まりはないがそれも御供さんだ。
巻き寿司も見られるさまざまな御供は各家がこしられたご馳走だ。
お神酒を供えて手を合わせる。
参拝者が揃ったところで代表者が祝詞を奏上した。
急なにわか頼みだったが難なくこなした神主役。
サカキを振って祓いをする。
「しじゅう(始終)に(二)無事で過ごせるようにと厄の人を祓う。
村の豊作も願ったコンコンサン参りは下げた御供を口にする。
各家の美味しい味がする御供を食べながら談笑する。
竹で燗をしたお神酒もいただいて身体はほくほく。
アゲも焼けば焦げ目もついて美味しい。
ほどなく山の上の時間を過ごしたあとは生えているビシャコ採りに勤しむ男性たち。
お稲荷さんにも奉った樹木は持ち帰って家の神棚に供えるという。
そのビシャコは風がすく処はすくすく育つ。
風が通るからだという。
実がついているビシャコは商品価値がないとNさんは話す。
ほどなく過ごしたコンコンサン。
下りは滑りやすいので、一歩、一歩足元を踏ん張りながら下った。
雪が降ったときはお尻から滑ったと笑いながら下ってゆく。
(H24. 3.10 EOS40D撮影)