マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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滝倉・瀧の蔵神社歳祝いの米寿祝い

2023年01月05日 07時41分47秒 | 桜井市へ
村の伝統行事の数々を取材してきた桜井市の滝倉。

長谷寺の奥座敷とも呼ばれていた滝倉。

長谷寺からダムあがりの道よりも、天理の福住から、或いは西名阪国道・針テラスより南下し西へ。

福住からなら東の方角へ。

合流する地の旧都祁村の並松から南下。

38号線に沿って下る。

桜井市・小夫(おうぶ)の口からちょっと入った地が滝倉。

迷うことのない村の道。

のぼった三叉路を右折れ。

さらに左折れした地に瀧の蔵神社がある。

写真家のどなたも足を踏み入れたくなる見事な姿の一本桜がある。

県指定天然記念物の権現桜は雪が積もる日もあった。

大樹の権現桜を知る人は多いが、村の伝統行事を知る人は極端に少ない。

滝倉は、瀧ノ蔵の上の郷とも呼ばれる地。

年中行事は、実に多様であり、奥は深く、多彩な様相。

平成18年、この日も伺ったときも様々な行事を教えてくださった。

オコナイ頭屋渡し三日講毛掛けヨロコビ虫の祈祷

薬師さんの会式改名祝い十三仏地蔵参り

御分霊頭家入り祭御シメ入り頭屋祭

満願三日講鬼の葬式旧暦閏年の庚申さんのトアゲ

節句のヒシモチ御供物うるう年の塔場アマヨロコビ

先祖さんのタナ風鎮祭ツイタチゴハン華参り朔日参りの御供飯再訪華参り

かつてはこうだった、いう端午の節句カラスノモチ

そして本日は、歳祝いの米寿を祝う村の行事。

事前に話してくださった現一老のOさん。

88歳になられたご本人を村が祝う行事である歳祝いの米寿祝い。

神事の場は、瀧ノ蔵神社の拝殿。

祝いの宴は神社の参籠所内。

この年の1月4日に訪問した際、昼いちばんに行われる、と聞いていたので早めに着いていた。

大樹の権現桜に冬の様相を観ていたときに出会った村の女性。

この日の祝いに参席する、という。

瀧の蔵神社に向かう口にあたる小社に手を合わせていた。

鳥居下階段を上るところにある手水に手洗い。



鬱蒼とした樹林に囲まれている瀧の蔵神社。

目の前に迫ってくるようだ。

そのときだ。



風呂敷に包んだ御供餅にお神酒を持ってきたHさん。

たしか四老だった、と思うが・・・

拝殿を上り、祭壇前に供えていた。

先に来ていた、本日の参席者たち。



右手の場で暖をとっていた。

正月明けてからの顔合わせだろうか。

積もる話題に語らう場が温かい。

コロナ禍であってもしなければならない村の行事。

祝いの神事は、外すわけにはいかない米寿の祝い。

かつては2月1日に行っていた。

その日は、2月の小正月の日であったが、集まりやすい直前の日曜日に移された。

拝殿前、といっても近々の特設的でなく、拝殿との間の境内空間向こうに設けた場に建つ瀧ノ蔵神社。



目を揚げた位置。

石垣の上に威風堂々としたお姿の社殿。

神さん側から見れば、拝殿を見下ろすように建てた拝殿。

一同は、時間ともなれば拝殿に上り、席に就いた。

これよりはじめる儀式は、歳祝いの儀。

祓の儀に祓詞。

御扉開けに、おーぉぉぉぉ・・。

警蹕は、森林、深山の遥か遠くまでに届いているだろう。



粛々と行われる献饌。

祝詞を奏上され、玉串奉奠。



現宮司は、数年前まで祭主をされていたI宮司の娘さんだ。

十数年、一老を務めながら、亡くなられるまで祭主を務めていたI宮司の跡を継ぎ、この年、この月より宮司を務めることになった。

と、同時に、前二老だったOさんは、座を繰り上がり一老に就いた。

88歳になられたOさんは、本日の歳寿ぎに迎えられ、玉串を捧げた。

撤饌、警蹕、閉扉を経て、歳寿ぎ神事を終えた一同は、参籠所に移動する。



その間に風呂敷に包んだ御供も下げて、参籠所の縁に並べた。

例年であれば、この御供餅は、直会を終えた直後に御供撒きをされるのだが、コロナ禍の状況では、密を避けて手渡しに替えた。

御供桶に盛った餅の数々。

見ると、ひと際大きい餅がある。

その餅は、平らな形。この餅は「ゴヘイモチ(※御幣餅)と、呼んでいた。

続く営みは、直会(なおらい)。

区長の挨拶に続いて、米寿祝いのOさんも、挨拶。



「本日は、米寿の祝いに・・・」などと、朗々と語られた。

なんと、その場に座るだけでもありがたいのに、区長からひとこと挨拶を願われた。

「滝倉に訪れるようになって早や20年。当時はまだ50歳だった私も頭が真っ白の坊主姿。この年に70歳に、Oさんは88歳。これからも、いや、いつまでもお元気でおられるよう祈念します」と、挨拶した。

酒杯に乾杯した語らいの場。



宴のさなかに動いた。

数個ずつの御供餅を袋詰め。



席に置いていく配布。

コロカ禍の対応に配る手段に切り替えられた。

1時間ほどの歳寿ぎ宴も無事に終えた村の人たち。



歳寿ぎのOさんも、またお家に戻っていった。

帰る際、O夫妻からいただいた紅白饅頭。

内祝いのしるしに「よーきてくれた」と受け取った米寿祝い。

餅に、下げた神饌も。



神さんに捧げた昆布にスルメもありがたく頂戴した。



この場を借りて感謝申し上げる次第だ。

(R3. 1.31 EOS7D/SB805SH撮影)