マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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上三橋須佐之男神社天満さんの御供作り

2010年05月12日 07時24分22秒 | 大和郡山市へ
県内の盆地部では5月のゴールデンウイークに苗代作りが行われている。

農耕作業の光景はこの時期に集中している。

苗代が作られた直後は、寺社で祈祷され、拝受したお札を田んぼの水口に立てる。

今年も豊作になりますようにと祈りを込めて挿すお札。

このお札の形態は実に様々である。

上三橋町では東の外れにある須佐之男神社の祭事で神職によってお札を祈祷する。

御幣と呼ばれているお札は紅白の2色だ。

祭典の前に作られる。

公民館に早朝から集まってきたのは総代と当屋にアト、サキと呼ばれている手伝い役の前年当屋と翌年当屋の四人。

天満宮御供箱から取り出した御供の土台。

藁を敷き込んだ御供の土台は「天」、「牛」、「春」と記されて、それぞれに3個ずつある。

「天」は天満さん、「牛」は牛頭天皇社とも呼ばれる須佐之男神社、「春」は春日さんで、鎮座する三社の記だ。

この土台に5段(4段)のモチを置く。

小判の形をしているからコバンモチと呼ばれている。

その上に半紙を広げて2尾のカマスを載せる。

傍に1束のミズナを置く。

土台の周りは串に挿したモチと杉葉。

杉葉で覆われるとコバンモチ、カマス、ミズナが隠れてしまった。

杉葉の間に紅白の御幣を挿していく。



キリモチと呼ばれる串挿しモチは5枚だ。

モチは5升搗いた。

1升で8軒分。

上三橋は40軒だから5升搗く。

コバンモチは5段と4段がある。

5段は四つで20個。

4段は五つで20個。

合計40個になる。

キリモチは40本作る。

紅白の御幣もそれぞれ40本。

杉葉も40枚の計算である。

崩れないように紐で括った九つの御供が出来上がったら御供箱(※)に入れて神社へ運ぶ。

配置は三社の並びの順に入れられる。

かっては錫製の徳利も供えていたそうだ。

皆に見て貰おうと公民館に持ってきた当屋。

「五寸錫御造酒徳利一對」、「文政六年天満大自在天神如月中旬永之」と箱に墨書されている。

文政六年といえば1824年。

上三橋の行事は昔からちっとも変わっていないと仰る当屋の家族。

墨書記録から200年以上も前から続いていたのだとあらためて認識された。

(H22. 4. 3 EOS40D撮影)


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