マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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山城町涌出宮居籠祭・二座の勧請縄かけ

2019年09月29日 09時33分54秒 | もっと遠くへ(京都編)
境内で大松明を作っている最中に始めた二座の勧請縄かけ。

二座は古川座と歩射(びしゃ)座。

歩射(びしゃ)座の勧請縄は前週に涌出宮付近にある小屋内で作っていたようだ。

できあがった勧請縄は涌出宮の倉庫に保管していた。

古川座の勧請縄は、座中の一老家もしくは十老家(※一年ごとに交替するが繰り上がるので同じ家にならない)の作業小屋で作られるらしい。

二座の勧請縄かけをする時間は特に決まっていないようだ。

おもむろに始まった勧請縄かけ。

長く太い勧請縄は歩射座の勧請縄。

数人が担いで運んだ場所は神社の境内地。

意外と気がつかない2本の樹木に架ける。

その場所は戦後に建之された2代目の神馬(しんめ)像がある処。



境内から見れば神馬像の後方に架ける。

大蛇になぞらえている、という歩射座の勧請縄は12房の垂れがある。

間隔が狭い形状だけに房を確認するのも難しい。

勧請縄の材料はヤブニッキ。

神社境内に自生するヤブニッキを伐採して作る。

勧請縄は餅藁縄を依って作り、ところどころにシデを付けていた。

中央辺りによじって作った瘤のような形は男根、と云われたが、どこにあるのか見つけにくい。

房の形態もわかりにくいが、2本の藁依りを垂らしたところにヤブニッキの枝。

うち一本は葉付きのヤブニッキ。

水平に取りつけているように見える。

また、房下も葉付きのヤブニッキ。

翌年に下げる勧請縄を燃やしたときはいい匂いがするという。

良い香りはヤブニッキが焼ける匂い。

機会があれば嗅いでみたいものである。

架け終わったら、予め作っておいた弓矢を勧請縄に括りつける。

曲げた弓も、真っすぐな矢もヤブニッキ。

矢羽根は紙片であろう。

矢の数は12本。

閏年の場合も12本のようだ。



矢は紐で弓に括りつけて外れないようにしていたが、スポっと抜ける矢もあって、目で本数は確認していた。

なお、弓矢は勧請縄の頭と尾、それぞれに括りつけていた。



古川座が与力座に預けた勧請縄がある。

この日の朝に勧請縄作りをしていた古川座。

一老家若しくは十老家(※毎年交互に替わる)で作業をして作り上げた勧請縄は、涌出宮に伺って与力座の一老に手渡す。



受け取った一老は、預かって本殿の裾に置いて一時保管していた。

時間帯は昼前。

大松明つくりを終えて、しばらくしてからだ。

与力座の数人が動いた。

一人の座中が担いだ古川座の勧請縄。



歩射座の大蛇よりは小さめの勧請縄。

大蛇に対して小蛇の名があるのか、聞きそびれた。



古川座の勧請縄は樹木に架けるのではなく、歩射座の勧請縄に被せる、いやそうでもなく巻き付けるような具合で架けていた。

古川座の勧請縄は、房などすべての材は樒を用いる。

また、弓矢は竹製。

座によって材は違っていた。



ちなみに、本日に架けた二座の勧請縄は、翌日に行われるすべての居籠祭を終え、片付けなどをする際に外して勧請縄を移される。

移し先は四脚門の本柱を渡す冠木の上。

参拝するすべての人が頭を下げて勧請縄を潜ることになる。

勧請縄は、一年間に亘って参拝者を清めることになるのだろう。

(H30. 2.17 EOS40D撮影)


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