リンカーン・ライム・シリーズやキャサリン・ダンス・シリーズが大好きですが、その上最新作は007を書いていて、どれだけ書くのと(秋に新作が出る)思っていたら、今度は単独のストーリーが文庫になった。ジェフリー・ディーバー自身の本に出てくる冷静沈着な犯罪者みたいな能力に思えます。
6月半ばに出たばかりなので、読み終わった方も少ないだろうから、内容は一寸だけ。文庫の解説にも少し書いてあるけれど、それをもっと端おると。
モンダック湖畔の別荘で週末をすごしていたフェルドマン夫妻が突然あらわれた二人の男ハートとルイスに襲われます。短い通報の確認に派遣された主人公プリンは二人の男の逆襲にあい、やっと脱出、武器もうしなって湖畔近くで夫婦の館からこれも逃れてきたミッシェルと出会い男二人からの逃亡を始めます。
この後この逃亡劇をディーバー自身は「『テルマ&ルイーズ』(91年のアメリカ映画)と『脱出』(72年・同)との融合」と言っているそうですが、まさにその通りです。
こうゆう事を本を読んだり、アルバムを聞いた後にさらりと言えたら気持ちよいですね。
読み終わってもう少しこっちを重たくしてもと解説者大矢博子氏が多分言いたかったことと同じことを考えますが、同氏と同じようにこれはこれで良しです。
もちろんディーバーですから、これはもうびっくりのあってディーヴァー読みましたという満足感ありました。
振り返ってみれば一番損な役回りの弁護士のエマ・フェルドマンの部分を一寸抜き出します。
「見てくれよ」夫は上階の客室に顎をしゃくると、オーガニックのどろっとした野菜ジュースの大壜を袋から出した。この終末に泊まっていくシカゴの友人が、最近になって液体ダイエットに凝りだし、胸の悪くなるような代物を飲んでいた。
エマはその原料を読んで花に小皺を寄せた。「どうせあの人専用だし。私はあくまでウォッカ一筋よ」
「きみのそういうところが好きなんだ」