猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

「若尾文子映画祭 青春」 見に行ってますよ。Ⅵ

2015年08月22日 22時05分58秒 | 映画
   ↑ 「初春狸御殿」の立てカンバン 左は雷蔵 2人とも若い。

       ↓ 雷蔵の立て看板と一緒に



       ↓ エレベーターの写真 「女は二度生まれる」



「若尾文子映画祭 青春」夏シリーズも最後になります。
この夏は 文子さん と新宿に遊んでもらいました。

「青空娘」 製作年 1957年 上映時間 88分

あらすじなどはこちら → 青空娘 | Movie Walker

源氏鶏太氏が雑誌“明星”で連戴、ラジオの連続放送劇にもなった小説が原作。
1957年製作という事で、カラー映像で溌剌とした20代前半の 文子さん が見られます。
映画最初の高校卒業時のセーラー服姿はやはり少し大人っぽく見えますがね。

一人だけ伊豆の田舎でおばあちゃんに育てられていた 有子。
おばあちゃんが亡くなる寸前に、東京にいる母親が生みの親と違うことを知らされる。
東京の父親一家に引き取られることになったが、本当の母親(三宅邦子 )は父親の元恋人で今はどこにいるかも分からない。
愛人の子として案の定本妻(沢村貞子)からは女中扱いされ、他の兄弟からも邪険に扱われる。
和風シンデレラ物語なのだが、この間のディズニー映画「シンデレラ」のように現代のシンデレラは言うときは言い、行動するときはするのです。
明るくメゲナイ文子シンデレラ。
次男の腕白中学生とはけんかした後仲良くなり、先輩女中(ミヤコ蝶々)と出入りの魚屋(南都雄二)とも友達になって家事手伝いをくるくるとやっている。

腹違いの姉照子(穂高のり子)のボーイフレンド(婚約者候補 川崎敬三)に気にいられて照子の怒りを買い、生き別れの母親(三宅邦子)を探そうと家出をした有子。
東京に出てきていた恩師の 二見(菅原謙二) のアパートに行くと二見には会えたがあいにく出張に出かけるのでその間待っていてくれと言われ、一人でいると彼女と言う女性が現れ(嘘)と、何か二見とは上手くいかない。

最後はハッピーエンドになるだろな~とは思いますけど、それまではやはりハラハラドキドキ楽しいです。
本妻役の 沢村貞子さん の演技が鬼気迫るものあります。
嫌われ役なんだけど、くどくどうるさいおばさんなんだけど、自分が彼女の立場ならそうなるよな~という現実味が凄いです。
セリフの力だけでなく、やはり演技の上手い人が演じると違って見えるという事なんでしょう。

「しとやかな獣」 製作年 1962年 上映時間 96分

あらすじなどはこちら → しとやかな獣 | Movie Walker

この映画祭で私がもっとも見るのを楽しみにしていた映画です。
期待にたがわず面白かったけれど、思っていたのと違う場面と展開で凝った造りの映画でした。
まず、場面はほとんど団地の狭い一戸内で起こっていること。
舞台劇のようです。
それでいて登場人物はそこに住む父親・母親・娘(姉)・息子(弟)以外に狭い一室に押しかけるプロモーター社長、経理の女子事務員、歌手、流行作家や税務署員まで盛りだくさん。
いい年した姉弟はテレビのロカビリーで踊りだすし(笑)

カメラワークが凄い凝ってます。
団地の窓の外から。
戸棚の奥からカンヅメ越しに。
外廊下の下の窓から。階段の上下。
入り口ドアの真上から。帰っていく人の頭を。
屋上の斜め上から。
今ならドローンで撮影したような絵柄ばかり。
本当の団地の俯瞰描写もあるけど、この部屋丸々一戸撮影所内に作ったとしか思えない。

最初は主演であろう文子さんの、したたかな悪女振りが見られると期待していたのです。
途中までは期待通りでした。
団地に住む一家も相当したたかな小悪党ぶりなんですけど、その上を行く悪女っぷり。
いえいえ、彼女は夫に死なれて一人で子供を育てるのに必死なのです。

けれど、見ている人はラストで哀れみの微笑を浮かべる人物を見たとたん、あっこの人が題名の人だわ、と気が付くのです。
自分では何もしない、この人が。
とても洒落た映画でした。

「女系家族」 製作年 1963年 上映時間 111分

あらすじなどはこちら → 女系家族 | Movie Walker

監督は三隈研次。
若尾文子・京マチ子・高田美和・鳳八千代 ・田宮二郎・二代目中村鴈治郎・浪花千栄子・北林谷栄など出演の文芸作品。

山崎豊子原作の週刊文春連載作品を映画化したもの。
山崎豊子さんといえば、デビュー作の生家の昆布屋をモデルした親子二代の商人話「暖簾」を始め、雷蔵で映画化された「ぼんち」など、大阪船場の商人世界の話が多いのだが、この「女系家族」もそう。

三代にわたる女系の家筋 (女の子に入り婿を取る 相撲の世界もそうね) で、暖簾を誇る商店の主人が亡くなった。
後を継ぐべき長女は結婚して家を出てしまい、あげくに出戻っている。
そのため次女は婿を取り家の商売を継ぐ気でいる。
三女はまだ若く現代っ子で遊び歩いてばかり。
しかも後に分かったことだが、入り婿で死んだ妻に頭が上がらないはずだった主人には 妾(若尾文子) がおり、そのお腹には主人の子供がいる。
ここまででも遺産相続がもめるのは必定である。
当事者、本家、親戚が見守る中、大番頭宇市が遺言書を開けたが皆の納得が行くはずもない。

各人が各人の味方を探して暗躍し、山林に分け入ってまで遺産の内容を知ろうとする。
宇市に頼って見せながら、なかなか尻尾を出さない文子さんの 妾 も始めしおらしく途中からはしたたかさが垣間見えるように。
陰影のある映像が多く、老舗の建物の重厚さなど見所が多くあります。
最後10分くらいのどんでん返しの映像のキレが見事な映画でした。

この「若尾文子映画祭 青春」は好評のため冬に再上映されるそうなので、今回見られなかった「卍」とか「越前竹人形」なども見たいと思っています。




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