前々の記事でコメント戴いた sknysさん に教えられて、1971年7月号の COM を引っ張り出した。上村 一夫氏の作品が載っているらしい。
「初恋漬」 24ページの短編であるが、内容は甘い題名に似つかわしくなくなかなか衝撃的。初恋漬とは、茄子を砂糖漬けにしたものらしい。
戦後すぐの日本。ジープのアメリカ兵を追って子供たちが走る。ガムに花火をもらって喜ぶ 「ポンプキン・ボーイ」 のヒロシ。私より12歳上の知り合いはリアルでこれと同じことをしてチョコをもらっていたそうな。戦後は遠くなりにけり。
ところで ポンプキン・ボーイ ってアメリカさんに言われていたけれどどういう意味 ?
隣に建つ漬物工場の倉庫に住み着いた父と娘の親子。娘は父親に虐待されているらしくいつも泣き声が聞こえてくる。その娘と倉庫の中で花火をするヒロシ。父親は大きな桶の陰で酔いつぶれて寝ているらしい。
その夜台風が来て、朝起きてみると漬物工場は形もなく押しつぶされ、父親はつぶされて死んでおり、娘は影も形もない。ヒロシの妹がつぶやく。
「……あの娘が殺したんだ……」
二百十日の太陽が眼を射った。
短いけれど女の子の色っぽさとかガムを噛む様子の描き方とか伏線の張り方も心に残る作品。
この号に乗っている他の漫画でひときわ強烈な光を放っているのは…。藤子不二雄氏 (当時の表記は不二雄のみ) の 白い童話シリーズ の中でも怖かった 「禁じられた遊び」 同名映画を少しひねったような内容だが、藤子不二雄A(本来は丸の中にA)氏の絵柄によるおどろおどろしさが恐ろしい。
このシリーズは他の作品も毎回怖くて当時の COM の中では異彩を放っていたな~。そうだ、COMの記事では今度このシリーズを書いてみようかな。
古レコードも写真に撮らなくちゃと焦るトミー。