↑ 文春文庫 上巻1993年4月10日 第一刷
ここのところ昔に買った、司馬遼太郎氏の歴史小説を様々読んでいました。
以前それに関連して 堺屋太一氏 の文庫も買っていて一緒に出て来たので再読しました。
読み比べというわけではないですが、やっぱり司馬氏とは着眼点・対象への見方が違うというか、面白かったです。
元々自分は歴史上の人物の中で 徳川家康の次男で有るのに出生時から不幸な「結城秀康」のその後とか、織田信長の直系の孫「三法師君」の清須会議後とかが気になる性分でして。
華やかな歴史上の人物に隠れていても、なーんか気になる人がいるんですよね。
その中の一人 豊臣秀長 もあまり小説の題材などにはならなくても充分波乱万丈な人生です。
豊臣秀長というのは豊臣秀吉の弟で、異父とも同父ともいわれていますが母親「なか」は同じで、堺屋氏は同父ではないかという意見を取っています。
司馬氏も「豊臣家の人々」という作品集の中でこの人の一編を書いています。
幼い頃は小竹(こちく)と呼ばれ、秀吉に小一郎と名をもらって家来になり、20年後には従五位下羽柴美濃守となった 小一郎秀長の人生。
私には短い小品だけではなくもっと知りたいと思わされるものでした。
で、たぶんこの文庫を買ったと思うんです。
二編とも多少の経歴、小一郎が秀吉に呼ばれて家来になった時期とかは違っていますが、古文書に乗っている事実はほぼ同じ資料を見ていると思われ、それがこの人についての資料がいかに少ないかを物語っているようです。
稀代の軍師 竹中半兵衛 に「影になりなされ」と言われたように、一生を兄秀吉の補佐役として、決して兄より脚光を浴びることなく過ごしたこの人の人生は何だったのだろう。
堺屋太一氏もこの点に興味を持ったらしく又、通産省官僚という経歴を持った堺屋氏ならではの視点が随所に見られる変わった小説となっています。
司馬氏の長編小説にはちょくちょく全くの創作と思われる人物とかエピソードが入って、本当に小説らしいなと思うのです。
司馬氏の創作は女性に関することが多く、それは当時の女性の消息が余り表に出ないから作りやすい事とか、自分の読者に多いであろうサラリーマンへのサービスかなとか私は思うんです。
この 堺屋秀長 にはそう言った創作はあまり入っていません。
それは女性には読みやすいかも。
調整家、民政家としての 秀長 の才能については両者とも褒め上げていて、それは当時からの評判からしてそうなんでしょう。
自分では自慢など一切言わなかったこの人ですが、少ない記録からでもおのずと分かるようです。
堺屋編秀長ではそこら辺をじっくり掘り下げて書いているので、秀長という人の性格がとても詳しく分かるようになっています。
又、現代のサラリーマンにも参考になる、というような比較考証もあって単なる 歴史小説 とはちょっと違うところが 堺屋氏 らしいです。
30年以上前の著作ですが、今の我々にも充分参考になる経済小説としても読めそうです。
ここのところ昔に買った、司馬遼太郎氏の歴史小説を様々読んでいました。
以前それに関連して 堺屋太一氏 の文庫も買っていて一緒に出て来たので再読しました。
読み比べというわけではないですが、やっぱり司馬氏とは着眼点・対象への見方が違うというか、面白かったです。
元々自分は歴史上の人物の中で 徳川家康の次男で有るのに出生時から不幸な「結城秀康」のその後とか、織田信長の直系の孫「三法師君」の清須会議後とかが気になる性分でして。
華やかな歴史上の人物に隠れていても、なーんか気になる人がいるんですよね。
その中の一人 豊臣秀長 もあまり小説の題材などにはならなくても充分波乱万丈な人生です。
豊臣秀長というのは豊臣秀吉の弟で、異父とも同父ともいわれていますが母親「なか」は同じで、堺屋氏は同父ではないかという意見を取っています。
司馬氏も「豊臣家の人々」という作品集の中でこの人の一編を書いています。
幼い頃は小竹(こちく)と呼ばれ、秀吉に小一郎と名をもらって家来になり、20年後には従五位下羽柴美濃守となった 小一郎秀長の人生。
私には短い小品だけではなくもっと知りたいと思わされるものでした。
で、たぶんこの文庫を買ったと思うんです。
二編とも多少の経歴、小一郎が秀吉に呼ばれて家来になった時期とかは違っていますが、古文書に乗っている事実はほぼ同じ資料を見ていると思われ、それがこの人についての資料がいかに少ないかを物語っているようです。
稀代の軍師 竹中半兵衛 に「影になりなされ」と言われたように、一生を兄秀吉の補佐役として、決して兄より脚光を浴びることなく過ごしたこの人の人生は何だったのだろう。
堺屋太一氏もこの点に興味を持ったらしく又、通産省官僚という経歴を持った堺屋氏ならではの視点が随所に見られる変わった小説となっています。
司馬氏の長編小説にはちょくちょく全くの創作と思われる人物とかエピソードが入って、本当に小説らしいなと思うのです。
司馬氏の創作は女性に関することが多く、それは当時の女性の消息が余り表に出ないから作りやすい事とか、自分の読者に多いであろうサラリーマンへのサービスかなとか私は思うんです。
この 堺屋秀長 にはそう言った創作はあまり入っていません。
それは女性には読みやすいかも。
調整家、民政家としての 秀長 の才能については両者とも褒め上げていて、それは当時からの評判からしてそうなんでしょう。
自分では自慢など一切言わなかったこの人ですが、少ない記録からでもおのずと分かるようです。
堺屋編秀長ではそこら辺をじっくり掘り下げて書いているので、秀長という人の性格がとても詳しく分かるようになっています。
又、現代のサラリーマンにも参考になる、というような比較考証もあって単なる 歴史小説 とはちょっと違うところが 堺屋氏 らしいです。
30年以上前の著作ですが、今の我々にも充分参考になる経済小説としても読めそうです。