都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

街並みと建物の評価

2008-08-17 09:10:42 | 都市計画

連日の暑さがつのります。五山送り火も迎え、そろそろ秋の気配でしょうか。炎天下のもと百日紅の花が咲き誇っておりますが、テニスコートに蜻蛉がまっておりました。<o:p></o:p>

エアコンの効く部屋に避難(という表現になるくらいの暑さ)して景観の本を読了しました。<o:p></o:p>

①「まちづくりと景観 」 田村明著→包括理論的でまとまりが素晴らしい。活用のために観点・分析の根拠とプロセスが明示されていたらとないものねだり<o:p></o:p>

②「美しい都市・醜い都市」 五十嵐太郎著→各誌連載のまとめで事例と観点(テーマパーク、監視カメラなど)が新しい<o:p></o:p>

③「失われた景観」 松原隆一郎著→景観と都市経営、行政・法律の観点を持ち込んでいる、巻末のリストは重宝します<o:p></o:p>

どの本も楽しめました。景観で観点は①「まちづくりと景観」にまとまっておりますのでここでは論じません。(お読み下さい)<o:p></o:p>

それに関連し先日、難波を歩いて気がついたことは「個別の建築」と「まとまりとしての景観」です。難波はご存知のとおり表現的で、看板にたこ、えび、かに、ふぐ、壁面にグリコのおじさん、観覧車、フリーフォールと多彩でそれぞれの自己主張が激しく、まるでゼリービーンズの大袋のように派手なモザイクになってしまっています。またキリンシティが解体されており、建築の移り変わりを感じました。<o:p></o:p>

この20年の建築を振り返ると<o:p></o:p>

      80年代:ポストモダン、「主張」のある形態<o:p></o:p>

      90年代:「透明」、ポストバブルで透明のカーテンウオール、エコも対応の真面目で優等生<o:p></o:p>

      2000年代:「コンピュータと」、構造の試み<o:p></o:p>

特に街並みにとって80年代は忘れ去られていたと思います。建築単体としての「自己主張」と「作品」の展覧のようなものでした。果たして建築は作品なのでしょうか?現在の建築学会の作品選集を見ても個別の建物が殆ど人の姿もなく掲載されています。これは、建築とは「そのもの単体で作品として外部の形態や内部空間、機能性が評価」されるという評価基準があるということでしょう。建築家は「作品」として認められたいでしょうから、その評価に沿って動くでしょう。(畏友 永井さんは「建築はFine Artではない!」という論点を頂きました)<o:p></o:p>

「作品主義」での評価があるなら「街並み主義」の評価を設定すれば思います。たとえば「街並み建築大賞」とか。<o:p></o:p>

その位置付けとして、縦軸は建築の設計の目的を表現と利用に分け、横軸は街並との異化・同化で区分しますと下記の評価マトリクスが考えられます。<o:p></o:p>

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街並み<o:p></o:p>

設計の目的<o:p></o:p>

C 異化(街並みから突出)<o:p></o:p>

D 同化(街並みと一体化)<o:p></o:p>

A<o:p></o:p>

表現・提案主体<o:p></o:p>

1.   街並み誘導型施設(水族館など)<o:p></o:p>

2.   目立つ建物<o:p></o:p>

4.街並み一体型施設(街並みへの提案、新しい街並み要素の付加など)<o:p></o:p>

B<o:p></o:p>

利用・連帯主体<o:p></o:p>

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3.迷惑建物(色など)<o:p></o:p>

5.修復・保存・転用<o:p></o:p>

6.デザイン・モデルの提案・実施<o:p></o:p>

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1.   は新しいまちづくりのための先導施設です。大型面的再開発ではタワーや水族館などがよくみられます。<o:p></o:p>

2.   目立つ建物は、ポストモダンの建物を考えて頂くとよろしいかと思います。京都の北山通りくらい色々並んでいるとそれはそれで面白いのですが。今の銀座もこれに近い、建築展示場のようです。<o:p></o:p>

3.   普通の建物なのですが、色や看板で街並みの迷惑になっているものです。コンビニやファストフードの均一的建物もこの一種かも知れません。<o:p></o:p>

4.   よく考えられた建築で個性と街並み(まちづくり)や賑わいづくりに寄与している素晴らしい事例です。例えば京都三条のタイムズ1,2があります。このように新しい小路や親水空間の提案がある設計が望まれます。建築・街並みの両面から賞賛されるべきでしょう。<o:p></o:p>

5.   今までの街並みの資産を再活用する手法です。これらをもっと表に出して称えるべきと考えます。<o:p></o:p>

6.   街並み誘導のためのデザインガイドとその実践例も焦点をあてたい分野です。<o:p></o:p>

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これらの建築の選定については、バイアスや公平性のため、住民の評価、コミュニティの参加、行政との協同など評価軸を決め、ピア相互のレビューなどで決定するシステムが望まれます。<o:p></o:p>

詳細は引き続き、ご意見賜われば幸いです。<o:p></o:p>

コメント
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