著者は京大の経済学博士が、都市計画を学んで書いたという本だ。
そもそも、今の日本の人口1.2億人を維持するのが適正かどうかを考えると、人口増加時代は、移民なども多く、職がないとか食糧がたりないという論があった。
今回、人口減少は都市やサーヴィス業、製造業、農村なども消費が減るため縮小とんなるのは当たり前だ。つまりは、どういう縮小が良いのか、切り取るとことはどこか、効率的方策はなにかが都市経営方策となる。また、高齢化と労働人口減少により、シルバーや女性の労働参加や、働き方のありかたも考え直す必要がある。
本著作には、データの間違いもあり、指摘しながら内容を記す
・都市の人的資本重視→当たり前の論
・人口減少で「ウサギ小屋」がなくなる→日本の住宅は決して狭くないのは常識
・地方自治体と政府の確執と革新のばらまきやプロジェクト推進、自己税源の確保は良い指摘
・イースタン・パラドックス(年収800万円で幸せは頭打ちになるなど)のため、都市には非物質的なものが重要というが、癒しのAmenityや顔見知りのSocial Capitalの重要性指摘は前からある→公園・緑地など都市公園が重要になるのは当然
・縮退都市計画という定義は面白い、ドイツの都心歩行者空間の成功は京都洛中にも通じる、つまりは歩行や自転車圏の都心であり、鉄道ターミナルからの脱却だ
・ドイツの電力・ガスなどの公益的事業体(シュタットベルケ)は、事業の囲い込みであり空間経済学から見ても無駄が多い。トランプの保護主義経済と同じで、税率は低いのが効率的だ。経済学者がこの原則を分かっていないのだろうか。京大なら藤田先生に教えを乞うべきだ
・投下資本への効果の計測は尺度の提案が欲しい。すくなくとも定性的に「こういう効果がある」と例示すべきだ、都市が「稼ぐ」とは何かとの定義もない
以上、革新地方自治体の分析は面白かったが、その後はドイツ礼賛で終わっている。都市計画的に都市の縮退と、人口の質の向上、生活の楽しみなど当方も考えなくてはと思った。でないと、このような本がどんどん出てくる
都市の評価として、住民を分析する欧米の著作はある。当方は、都市に成長するクラスターを誘致する方策を考えてみたい。例えば京大のiPSクラスター、京都の大学クラスターなどとその集積拡大や周辺関連の誘致だ。