産業としての観光が注目。外国人の国内消費(宿泊、飲食など)の底上げが見込めるが、「観光客」と「地域」の利益相反がある。それにしても、アジア系を主体とした観光客の多さ、ガラガラというキャリー・バッグの音、スーパーやデパートの割引を待ち、夜中まで騒ぐという状態は、京都の街中が程度の悪い(順番待ちの順守がなく、芸舞妓の追っかけなどが横行するなど)テーマ・パークになったのかと思った。
京都では、宿泊者の4人に1人は外国人となり、ホテル建設で過剰供給懸念、簡易宿泊所、民泊の増加もある。さらに日本人観光客が減少。
これは、混んでいるから行きたくないという①「観光客(宿泊)」と日本人の「観光客(日帰り)」・「観光客(宿泊)」の対立ともいえる。また、観光シーズンと観光名所の平準化(時間)と分散化(場所)の指摘もある。
これらは、91年に「ウォーターフロントの計画とデザイン 別冊新建築」 ( https://docs.google.com/file/d/0By9_5eJBeiyQQS1xVVA4dkFRaW8/edit )にまとめたのと同じことが今になって言われている。
さらに、②「地域」の生活と「観光客」の観光が、生活の安寧、バスの利用、芸妓・舞子へのパパラッチなどいろいろな問題を生む。バルセロナなどでは、民泊による家賃高騰で、住民の郊外流出もあるという。京都では、ホテル開発ばかりでオフィスと住宅不足で、大阪や滋賀への流出がある。
さらに③「地域の企業」が開発で景観破壊や過度の集客を狙うという「地域の住民」を無視した営利行為の指摘は良い。
その他、入山料のような自然破壊や混雑緩和の方策と負担はこれからあるべきだ。
Destination Management Organization (DMO)のような第三者機関を入れて、地域の観光経営として、観光収益と満足度向上、地域との調和などを考えるのは得策だ。しかし行政の交通、都市計画、地域団体との調整が多岐にわたるため立案権限、実施権限などを明確に付与する必要がある。
と書いたらコロナ・ショックが来た。観光に波があるのはあたりまえだが、3月、4月の京都観光地はゴースト・タウンだ。今回の世界的なコロナ禍のような災害要因も経営のリスクとして内部留保を高める経営が必要だ。また、災害後に向けて、海外・国内とも高額消費観光客にターゲットを絞り、「混まない上質な」観光を目指す政策など官民連携の上( https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001366729.pdf )、用意しておきたい。