大御所が自転車での実査の上、各都市をモデル化している。
空間的に都市の構成要素、里程・道路元標( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%93%E8%B7%AF%E5%85%83%E6%A8%99 )、城、川、駅、県・市役所など公共施設、CBD、商店街をモデル化している
時系列は埋立や道路、河川の付け替え、明治維新、地震、戦災の都市計画に分け、都市の拡大や成長のあり方を分析している。
47都市を俯瞰しての都市の構造についてのまとめや類型化がないのが惜しい。
知見は:
・都市のへそが里程・道路元標、昔の高札場
・多様なアーケードのありかた、変容
・本町、上町が古い町、筋、通は多様(商家の正面や大通りなど)
・城と駅が核となる都市が多い
・名古屋(京間50間)、江戸(京間60間)、静岡(京間50間)の徳川の共通性
・京橋型(サブの通りが直行)、銀座型(平行:並木通りなど)
興味深い都市
大阪
・横軸(通)の都市が、縦軸(筋)に転換→熊野街道などは八軒屋から南だったが( https://www.osaka-asobo.jp/course_station/240.pdf )
神戸
・運上所(税関)と奉行所の位置比較(長崎、函館、横浜、新潟、神戸)
・居留地と雑居地の両立、横浜は関内が面的に拡大し周辺と同化
奈良
・上地令により興福寺の境内が奈良公園のもとに、円山公園が祇園社と安養寺の上地と同じ、他に、上野(寛永寺)、芝(増上寺)、浅草(浅草寺)、深川(深川八幡)、飛鳥山(王子権現の別当寺今輪寺)
・三条通が昔の軸、近鉄は10間道路の拡幅により建設
広島
・太田川の河口デルタ、三角州の集合体
・平和大通りは100mの幅員だが両端になにもない東西の軸
徳島
・大きなビーズ玉の集合都市:河口デルタ
・城のある島が内町、寺島川を埋め鉄道化、新町橋(伊予街道、讃岐街道の入口)から先が新町
・かつては藍で36都市の10番目、戦火で古い町並みが消失
松山
・山を囲む環状都市、昔の外側(とがわ)に沿ってL字型アーケード商店街(大街道、銀天街)
・JR駅は城山の周り、松山市駅、道後と3核構造
長崎
・埋立の進行と拡大:六町、内町、外町へ
私見だが:
・河川に近接し、山裾、高台や台地(名古屋など)の立地が多い(舟運でないと石や木材を運べないため)
・舟運、鉄道、道路のモーダル・シフトによる城に近い古い町、駅に近い新しいCBD(金沢など)の二極化
・スプロール、自動車利用による中心商業(旧来と駅前)の停滞、郊外SCの発達
・大体の都市には城がある、その城下町から離れて駅ができるが徳島は特殊