TVなどで「外人観光客」誘致などと聞くと違和感がある
外人の反対は日本人であり、外人とは非日本人のニュアンスを感じる。30数年前MITの学生であったときはInternational Student(s)と呼ばれた。アメリカに住むと母国はともかく、人種間の軋轢はあるもののアメリカ人となっていた。
外人ではなく、国際観光客やインターナショナル観光客と呼べば良い。国内居住の方は、国際市民、インターナショナル市民と呼べば良いと思う。
菅元首相が「円安をてこにインバウンド(訪日外国人客)事業を」( https://news.yahoo.co.jp/articles/7b7d6e9066575f8c6a44aab37b3807a22d2161cb )と相変わらずの発言だがマーケティングが分かっていない。
観光とは少ないとホテルなどの設備稼働率が悪く、多いとオーヴァー・ツーリズムの弊害が出る。このコントロールが必要だ。つまりは、定常的に消費単価の高い太客を狙うのが賢明だ。
DBJも2016年の「量」の必要性( https://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/kansai/pdf_all/kansai1608_03.pdf )から脱却した。
ホテルのセグメンテーションによるラクジュアリー・ホテルのポジショニングとターゲットとする高収入層を分析し、近年の観光変化を踏まえた需要予測を提示している。
このターゲット狙いの「高級(1泊10万円以上)」ホテルも関西では京都を筆頭に整備が進みつつある( https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF067VL0W2A600C2000000/ DBJレポート: https://www.dbj.jp/upload/investigate/docs/04a553256fc37c9cc760c851be286385.pdf )
このターゲットに対し、長い滞在、高級な体験(地元の食事、文化・歴史の体験、特別な見学(貸切や早朝)など)を用意するのが「混まずに」、「いつも賑わい」、「世界から集める」という東京ディズニー・リゾート(TDR)につながる手法だ。
なお、「いつも賑わう」と「人を集める」については1991年の新建築別冊にて当方がMITでの研究成果として分析している( https://drive.google.com/file/d/11iQaW8FH0qO1tCP6tYxbuMx0s0OGYxL4/view )
国際観光客誘致もやっと「量」から「質」に転換した。さらに、MICEに絡み、同伴配偶者のイヴェント立案など更なる消費単価と満足度の上昇を図る観光企画が重要だ。今後のリピーター確保にもつながる。エコノミー・クラスを満席にする「量」より、ビジネス・クラスを選んでもらえ、満足して支払う顧客の開拓の「質」が重要なのと同じだ。
観光は水商売に近い人気を重んじ、しかも、「わざわざ時間と金を費やす」しても「体験」したいという根源を忘れてはならない。なお、安物や混雑で疲労すれば悪い評判が尾を引く。
これからは、街中でも「国際観光客」や「インターナショナル・ツーリスト」として認識し、「外人」と呼ばないのが良いと思う。
我が国の一般人より日本文化の造形が深いインターナショナル研究者などごまんといるし、日本語も達者だ。古典や古文書も読めるぞ