さて、教育と雇用問題ですが階層間の問題は「教育格差が日本を没落させる」に詳しい。(ここではアメリカとの比較のため大学・大学院を事例とします)<o:p></o:p>
教育問題には格差に加え、大学教育と企業での教育の両方に問題があると考えて、大学「法人化」以後 中井浩一 と池田信夫Blogから知識を得て考えた。<o:p></o:p>
中井さんの指摘に「会社教」、「終身雇用」、「護送船団方式」、「閉鎖的ムラ社会」の肯定、意義の動きもある。もちろん公立大学の独立行政法人化にともなう変革も書かれている。<o:p></o:p>
アメリカのビジネスの大学院教育では、専門の大学を卒業し、数年の経験のあと、個人の資質を高めるのはMBAなどがある。内容はコア(ファイナンス、マーケティング、オーガニゼイショナル・マネージメント 等)があり、経営の基礎と考え方の様式を学ぶ。その上で、ケースタディやディベートで「どう問題を解決するのか」を実践的に(あくまで模擬であるが)学ぶ。また企業に入っても、研修や相互の教育プログラムが用意されている。あくまで、個人の能力を高め、組織を引っ張っていくやり方である。<o:p></o:p>
今までの日本は企業が大学の教育を補完した。大学で遊んできた新人を、長い目で、先輩と一緒にOJTで育ててきた。しかし、今はサービスのマニュアル化に倣い、マニュアルを求めそれに沿って仕事をするという、ルーティン・ワークの手法がとられ、しかも短期に結果を要求されるので、新人の教育には手が回らない状況である。まさしく「米の作り方(物事の考え方の基本)を教えようとすると、自分がデスマーチになる」。それならどうすればよいだろうか。<o:p></o:p>
また、池田さんは「すりあわせ型」産業(ようは製造工程管理でトヨタの看板方式のようなもの)は「モジュール化」すると言う。ますます「マニュアル化」が進みそうだ。(つまりは産業の転換だろう)<o:p></o:p>
大学ついては、専門能力の育成と起業の育成が課題だ。専門の能力の育成はまずは大学だ。特にビジネスの実地として、ケーススタディや都市計画ならワークショップなど「実際の場の体験と教訓」を学び、「自分の判断」をできるようにすべきだ。(大学生を大人として労働力として考えるべきだ)<o:p></o:p>
次に、起業にはなにが必要なのか、なにがリスクなのかを教える、MOT(製造業のマネージメント)などの教科も更に積極的に取り入れてはどうか。また、交友の実体験談も良いだろう。大体、眠い、出ないは面白くないか役に立たないからであろう。実地に自分のためになる授業なら盛況となるはずだ。<o:p></o:p>
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企業の対応方策として企業内教育と新分野開拓がある。第一に、経験と体験のフィードバックのある職場をつくることだ。企業内教育のため、当初の1~2年間は政府が「見習い試用期間」として補助を出してはどうか。または、大学生のインターンシップを受け入れるのも一策だ。そこで初めは、少ない専門知識だけで「まねと度胸」で学べる。さらに、同僚(ピア)との意見交換と経験者からの実地教育がある。こうなれば、企業と人の両方が伸びる、このような企業が選ばれ、伸びるだろう。(オフィスの中でも気取らない会話(Informal Communication)が大切なのは、トム・アレンにより解明されている。むしろがやがやしているかつてのホンダは偉大であったのだ) アメリカの真似ではなく、アメリカの教育手法(なんと言っても大学生はアメリカのほうがよく学ぶ:自分に対する投資と思っている)、とかつての日本企業の社内教育を合体してはどうだろう。<o:p></o:p>
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さらに今までの「管理」、「改良」、「ムラ」路線から「差異」のあるものを大切にし、新分野を開拓する企業の育成を政策的に補助し、揺籃すべきだ。具体的には研究・開発費用の損金算入、低利の安定した融資が考えられる。本当に「次世代産業委員会」を設置し、緊急に対応すべきだろう。(まさかトヨタまで最高益から赤字になるとは)民間に任せてばかりの政策も限りがあり、いまは国策が必要とされている。企業においても専門能力とチャレンジを行える組織体制と中期的戦略が欲しい。(昨日と同じ明日ではなさそうなので、四半期ごとの業績評価のために過去の遺産を食い潰すのではなく、未来の資産を創造する方策だろう。)<o:p></o:p>
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変化の時代には、「よそもの」、「わかもの」、「ばかもの」が大切という。今後の産業転換期を向かえ、小さな差異より、大きな考えを育てる力強さが欲しい。よい子より「変」な方に、総合力より専門能力を伸ばすのが良いのではないだろうか。<o:p></o:p>