意見は結果が出るまで控えていた。当然、東京都の「マネ」と橋下代表の思いつきと評価しており、今回の140万票で1万票差での否決には安堵した。
総意として、大阪市の解体は賛成しないが、現状の大阪市への不満が示された結果だ。さらに、都心部(北部東部:新大阪・梅田・本町・心斎橋・難波および天満・京橋・鶴見)の賛成とこれ以外の反対と二極化しており、特別区への利害や橋下代表の評価がくっきり分かれている。(もしかしたら、維新の会の勢力範囲かもしれない)またはコーホートによる世代間の志向や権益確保の指摘もあるが詳細データがない。
しかし、大阪というより関西の再生を考えるべきだ。大大阪の時代ははるか昔で当時の基幹であった繊維産業はSAP(製造販売)のユニクロなどに取って代わられた。神戸市は未だ産業転換・バブル崩壊・震災から復活の道半ばだ。京都は調子が良い。京都から、東京でなく世界に向かっており独自の技術と知的クラスターとイノベーションの花が咲いている。
二重行政というが、日本は前から、国、都道府県、市町村の三重構造だ。これを打破しようとしたのが政令指定都市で、都道府県に比肩する権限を付与し自律的な都市運営を狙ったものだ。大阪においても、大阪市のGDPは大阪府の大阪市以外(堺市以外は大阪府の管理エリア)のGDPより大きい。
橋下代表の発案ははじめ、関西州だったが、いつの間にか「二重行政」と「東京コピー」に変容した。但し、細分化すぎた大阪市の区は統合に賛成だ。
関西州を上位として、拠点の政令指定都市への権限移譲と産業クラスターの高度化、その他のエリアでの産業誘導の大局的な資源配分と利権調整をマクロの視点で運営する。メゾの政令指定都市は都市間競争の「都市経営」を担う。政令指定都市での「区」は統合の上、地方自治法改正案の「総合区」か、選挙で選ばれる区長にするのかは議論が必要だ。東京の区長選挙を見ていると、都の下に細分化した「市」があるようで、江東区ゴミ戦争のようなNIMBY(総論賛成各論反対)が発生した。
大阪市で必要なのは
①都市のコンパクト化
・中心部へのオフィス・大学・文化施設の資源集中による賑わいと生活アメニティの両立
・箱ものバブル期の開発のWTC,ATCはじめバブルの遺産の整理、カジノなどの箱もの志向からの断絶
・都心での居住の促進と医療、学校の再編、市場(いちば)の再生
②運営のスリム化
・職員削減、給与の適正化と評価
・受益者応分負担、ただ乗りの排除
・利用の少ない公共施設、サービスの統廃合
③都市政策の明確化
・都市観光など、ソフトを充実、箱ものからの脱却
・都心への大学回帰、智慧と起業の育成
・ロボットなど有力産業の育成、誘致、補助・投資
都市計画のセンスがあまりに欠けていた。府庁の建替えを強引にWTCに移転させ、コンパクト・シティの真逆で拡散させ、さらにカジノなど利権と箱物回帰が止まり一安心している。