今回の経済危機とは、一次的な金融破綻のみならず、その影響を声高に言う二次的なメディアの「アナウンス効果」により消費者心理、つまりは需要を冷やしている。そのため、「売れない」ので「低価格」、「お値打ち」、「節約」が風潮となりさらに三次的な低価格化で販売額が低下し需要が減少し、さらに低価格化という「アナウンス効果」で需要の更なる縮小というサイクルが見られる。<o:p></o:p>
オフィス市場はこの前の好景気に開発が進み新規大型開発が多い。今までの市場は2003年の大量供給時にも「集約効果(オフィスの面積削減と企業効率の向上)」により、賃料水準が高くても新規ビルへの移転が促進され、そこて空きの出た空室は、さらに「集約効果」を狙う企業の誘致が進むという好立地・高品質ビルへの集約移転の循環があった。<o:p></o:p>
今回の需要縮小は動きが異なる。まず、中心市街地(CBD)周辺部低価格でそこそこのビルへの移転が先ず発生し、次に、やや中心よりの部分でのお値打ちビルへの移転が発生するという、今までと逆の動きがある。その理由は供給問題よりも需要問題が大きいので、需要者の動向・価格選好性により動いていることだ。但しこれも経済動向により変容するものではあるが。<o:p></o:p>
東京では賃料水準の低下が言われているが、地方都市でも一部低下がある。但し、これは一時的なオーバーシュートと考えられる。現在の賃料では土地が0としても建物投資を回収できない水準まで下がっている都市もあるからだ。またワンルームマンションの方が投資利回りが高い場合もある。この場合、マンションが増え、マンション家賃と利回りの低下とオフィスの供給不足によるオフィスの賃料上昇と利回り上昇が中期的(10年程度)で見込まれる。つまりは優位性のあるオフィス立地の限定化と都心の住宅供給による都心居住の進展が見られると推察できる。都心で大通りはオフィス、裏側は住宅と公園という動きが推察される。<o:p></o:p>
このように、オフィス問題は利回りと用途から都心の変容を考えるきっかけになる。<o:p></o:p>