円ドルレートは1995年に80円割れした。一時リーマンショックで110円から90円に下げた。その後反転したが2009年現在84円なりつつある。世界の主要通貨はユーロがあり、2000年で80円台、そして2007年に170円台に高騰した。(年率10%を越えた値上がりになる)リーマンショックで160円から120円に急落し、さらに今回ドバイショックの影響も見込まれる。ドル・円・ユーロの基軸通貨で三角に鞘取りは行われている。ユーロの値上がりは行くところまで行った。(ブランド品、ドイツ車も値上がりした)、アメリカは金利も低下、産業も停滞と値上がる理由がどこにもない。しかも世界は金余りだ。石油先物にも突っ込めない状況だ。今回は経済の疲弊の少ない(その割には株価も上がっていない)日本に視点(買い)が移っているのだろう。 <o:p></o:p>
外貨レート(foreign exchange)理論について、まずは購買力平価(Purchasing Power Parity PPP) がある。分かりやすいのではビッグマック平価が有名。(The Economist The Big Mac index http://www.oanda.com/currency/big-mac-index )<o:p></o:p>
現在は90円位で、ドルが84円なら観光でアメリカに行くとマックは割安と感じることになる。逆に日本のマックは割高になる。(参考だが90年当時はドルが135円くらいで、ビッグマック平価は100円位で割高な感じだった。) <o:p></o:p>
この背景には、日米のインフレの差もある。アメリカは95年基準2009年で1.40倍(平均2.4%のインフレ)、日本0.99倍(かすかにデフレになっている:マックも値下がりした) という状況がある。つまりは円は1.4倍に評価されてしかるべきファンダメンタルがあり、ドルが100円が正しかったとしたら、1.4ドルが99円になったのだからドルは71円で相応なはずというのが単純計算だ。<o:p></o:p>
ここで金利平価(Interest Parity)という均衡金利説があり、その国の金利(10年国債等)からインフレを引いた実質金利と合理的予測(国のリスクや産業、購買力平価の差 等)を加えたもので2国間の金利差を比較しその裁定が行われるというものがある。ここで言う合理的予測(ratial expectations) は最近 そんなものは「建前」だと批判されている概念で、それより投機的な行動の経済が重要でないかとの「本音」の研究が進んでいる。つまりは金利が高い→リスクが高い要素がある→レートが下がって欲しくない政策がある(例えばドル安防止)とも考えられるからである。(端的には金利の高い社債はリスクが高いのと同じようなものだ)<o:p></o:p>
2000年頃の金利差は日米で4%(日本が2%でアメリカ6%)あったので均衡状態が続いていたが、今やほぼ同じである。これなら、日本とアメリカのインフレの差が2.4%であれば1.6%の上乗せがあり、アメリカと日本の信用が同じならばアメリカを買うことになり購買力平価ではなく金利平価で裁定されドルは安定していた。また、ユーロの上昇につれある程度ドルはペグされていたと考えられる。<o:p></o:p>
今回は、ドル金利が日本金利を下回りドルの金利平衡の優位性がなくなったこと、今まで積み重なってきた購買力平価の差が顕著になったことから、シナリオ相場ができて急な円高になったと考える。輸入は3ヶ月先レートで握っていたりするから、またも短期的な貿易赤字(輸出額の円ベースでの目減りによる)が発生しメディアは円高不況と書き立てるだろう。しかし、長期的には輸入も安くなり、円ベースの製品価格低下とデフレがあり、国際競争力が増すだろう。また、アメリカも今のレートでは日本製品が高くなりインフレを招くので円ドルレートの見直しをするべく対処があろう。(アメリカ経済は金融崩壊、自動車再建、インフレ、貿易赤字、財政赤字と大変だ つぎなる火種もある)<o:p></o:p>
今後のドルレートはビッグマック・レートが90円だが、今のアメリカの金利と貿易累積赤字(つまりは海外諸国の債権保有)を考えると当面はそれくらいかと思われる。中国が今や世界最大のアメリカの債権国家だがドル/元は最近変わらず、円/元レートは12.5円と円高だ。アメリカと中国の貿易依存関係が分かる。ということは製造業の国際競争が激化する見込みだ。<o:p></o:p>
この円高を解消するにはアメリカの金利上昇だろう。それができる時期を待つしかない。大騒ぎは禁物だ。<o:p></o:p>