デパート業界の損益分岐点は今のところ85%くらいで、現状対前年比10%は売上減少している。さらにポイント・アップなどで荒利低下とその他売上歩合の低下などでさらに厳しい状況であろう。その上、競合は増えるのに、床面積は増えるという問題がある。<o:p></o:p>
基本から問う。デパートはモノの集まる商店なのか(発祥はフランスのボンマルシェで博覧会がテーマであった)、商業プロデューサーなのか(西武等の志向)、それとも不動産賃貸業なのか(現状)。<o:p></o:p>
デパートは増えすぎた立地と規模、歴史と矜持のある良い店のみが残るだろう。その他のユニクロなどSPA(製造一貫値頃ファッションかな)や専門大店が入っているのは、もはやデパートではなくショッピングセンターのデパート付きだろう。その根拠を分析する。<o:p></o:p>
デパートの位置付けを「行動・利用」の需要面と「商業競合」の供給面から分析する<o:p></o:p>
行動・利用から考え、日常・非日常に分け日用品の買物、お出かけの買物、都心買いまわり、旅行・観光 真で分類するとデパートは中間に位置づけられる。かつては遊園地とデパートは行楽地であるが、今や日常に近い。デパ地下がその代表だろう。<o:p></o:p>
次に、商業競合(マーケティング) 特化(Speciality:テーマ、差異とする)、量(Scale:規模)、種類(Scope:品揃え)、、提案(Service顧客への評価・要望対応)での分析を考えた。<o:p></o:p>
かつてのデパートは特化(Speciality)はないものの、があり、提案(Service)があった。ちなみにテーマ性のあるブルーミーのようなデパートもある。<o:p></o:p>
1 特化(Speciality)ではセレクトショップやブランド・ブティックがある。スタッフの提案(Service)もある。また、特化(Speciality)型の量(Scale)と種類(Scope)では専門大店(ヨドバシ、イケア)がある。提案(Service)もあるが実物だ。特化しているか否かの違いはあるがデパートとの直接の競合がある。また、秋葉原の電気街などかつてはラジオ部品、オーディオ部品の専門で小さなお店と店主が集まっていて、専門・特化・量を実現していた。(ポーターの分析の通り「差異」は強い)<o:p></o:p>
2 量(Scale)、種類(Scope)ではショッピングセンターが優位だ。但し、一体施設としての提案(Service)は少ない。<o:p></o:p>
3 提案(Service)と種類(Scope)では専門店(伊東屋や東急ハンズ)がある。ないものはないや取り寄せますという姿勢で専門能力のあるスタッフが資産だ。<o:p></o:p>
4 提案(Service)では老舗の個店もある。品物は少ないが取り寄せや一品ものも作ることができる。<o:p></o:p>
5 量(Scale)と種類(Scope)で製品などに特化(Speciality)すればネットがある。但し、提案(Service)は「製品評価」に頼るしかないのと実際に手に取れないのが難点だが知識さえあれば利用できる。<o:p></o:p>
と考えるとデパートは特色がなく、幅広く、規模と種類をあつめて、スタッフの提案が競争優位性であった。また、行楽地としての位置付けはもはやない。だからといって、再度「遊園地化」を狙うのは難しい。となると本業の物販への回帰と施設の一体運営という優位性の活用である。そうすると、テーマを持つ特化(Speciality)か提案(Service)かどちらかであろう。大きなセレクトショップ化か複合した専門店(スタッフ)の集合体である。つまりは施設の企画・運営ソフトか人的資源のいずれかの充実が課題となる。もはや珍しい店や催事では人はこない。デパートも特色を出すという「差異」を考え、専門性のある人材を「宝」として活用する時期であろう。<o:p></o:p>
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「デパートにはかつて夢があった」という70年代位のアメリカの著作を89年に読んで、バブルのなかでも将来を危惧していたが、今やその時期が来た。<o:p></o:p>