大阪府庁をWTCに移転させる計画案が橋下知事から出されている。移転の収支という目の前の赤字対策に惑わされている。この移転には様々な都市計画と都市政策における課題と問題点がありいよいよ大阪都心が凋落するリスクがある。それらを整理し、評価のうえで代替案を提案します。<o:p></o:p>
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まず、大阪府庁は天神祭りで有名な天神橋と大阪城の間に立地しており、地下鉄谷町線か京阪の天満橋が最寄で、大阪市の玄関口である梅田から12分です。WTCは市の西側にある埋立地の大阪南港にあり、梅田から33分かかります。東京の臨海副都心のような立地です。(yahoo路線情報から)<o:p></o:p>
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1.与件の整理<o:p></o:p>
①府と市のニーズ<o:p></o:p>
今回の移転では、橋下知事は関西州の州都を目指すということです。京都・兵庫などからのアクセス、州都のイメージが必要です。また大阪都心は最近、オフィスと住居(タワーマンション)が混在し、コンパクト・シティとなりつつあります。また、中ノ島リバーフロントを中心に、アメニティ施設やイベントの充実が計画され、都市としての快適性向上や観光誘致政策がとられています。<o:p></o:p>
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②大阪市からみた府庁の立地<o:p></o:p>
府庁の位置は、天神橋に近く、近隣には合同庁舎や日赤があり、周辺は中ノ島と北浜のオフィス街や天満(裁判所 等)と連携した官庁街です。認可関連のゼネコンや法律事務所が集積しています。また大阪城があり、難波宮の遺跡もあります。歴史と緑と水の接点でもあります。(地図 http://www.pref.osaka.jp/location/index.html)敷地は5.2haで、これは東京ドームくらいの広さである。<o:p></o:p>
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③州都として求められる機能<o:p></o:p>
州都としてなら、京都、兵庫、奈良、和歌山から便利の良い立地と都市機能集積が求められます。何も無い不便な立地は、人工都市で、その成熟には時間がかかります。また、今の大阪の活力では、新しい州都が核としてできると、経済がゼロサム状態であるため、既存の都市集積が弱体化するでしょう。また、州都は災害に強く、周辺に新しい産業を誘致、育成できる立地が求められます。<o:p></o:p>
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2.WTCへの移転の評価<o:p></o:p>
①WTCの価値の変動<o:p></o:p>
WTCの大阪市からの売却価格は、売り先が大阪府であれ、他であれ、最有効利用はオフィスであり、その賃料もよそくされるため、同一のはずである。大阪府であるなら安く買える訳ではない。WTCは、大阪市の含み損はサンク・コストであり、期待賃料が上昇しない限り回収はできない。しかし今、大阪市では梅田北ヤードをはじめ、ストックの15%相当の供給が見込まれており、WTCの賃料は下がりこそすれ、上がることは予測できない。<o:p></o:p>
また、大阪府は改修案、新築案より安いという、移転先の安値の物件として検討しているというスタンスであろう。またWTCは臨海部でもあり、自然災害リスクからすると府庁や州都の立地には疑問がある。<o:p></o:p>
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②利用者からの視点<o:p></o:p>
大阪府は安ければ良いという短期の視点である。またまちづくりなど広い視点も無く、あくまで府の財政再建の観点に絞っていると推察される。しかし、新庁舎を関西州都の庁舎とするなら、まず利用者(州の代表を集めるアクセス)やコミュニティ(いままで天満橋に立地しているオフィスや府庁関連の企業など)を重んじるべきである。<o:p></o:p>
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③都市の長期的育成<o:p></o:p>
大阪市は、東京と二眼レフ構造を目指していたが、いまや地方都市の代表(横浜の方が大きいが)に位置づけられている。州都でかつ、都市機能集積もあり、しかもアメニティ(歴史物、緑、安らぎ)のある都市づくりが都市間競争の中での都市経営として望まれる。府庁の跡地は、5.2haで643億円(4百万円/坪か)の売却を考えているようだが何を作るのであろう。まさか、高層マンションの林立を大阪城の横に立てるつもりではないだろうが。<o:p></o:p>
この場所は、大阪都心では稀有な緑の集積がある。建物より公園利用が望ましいと考える。中ノ島の水の軸から、大阪城抜ける緑の軸である。水の回廊にぶら下がる緑のペンダントのようなイメージである。<o:p></o:p>
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1. 代替案の提案<o:p></o:p>
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①府庁跡地の利用<o:p></o:p>
難波の宮の歴史公園かつ、NHKなどを利用した文化公園で、代々木公園のようなイメージで整備し、若者が集え、表現できる公園としたい。暗くてじめじめではなく、明るく広々とした「賑わいのある」公園である。<o:p></o:p>
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②容積移転(TDR)<o:p></o:p>
公園開発には資金がかかる上、土地売却資金も手に入らない。そこで、府の持つ土地の容積率を北ヤードの大2期に移転(TDR)してはどうだろうか。もともと、北ヤードには公園が必要とされていたが、その公園をより効果の上がる天満橋に移転する。そのかわり、北ヤードに州都を設置するのである。そうすると、州都としての利便性・集積は向上し、しかも良い立地にビルを持てる。大阪府の使用部分は極力減らし、その他の余剰容積は民間ディベロッパーに売却すれば相応の収入は見込める。ただ、北ヤード開発との取り合いが必要である。北ヤード1期の開発のキーテナント確保が難航していると聞く。府庁の利用も考えられる。<o:p></o:p>
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③WTCの活用方法<o:p></o:p>
大阪の都心にAクラスビルの大量供給が見込まれる中、WTCは立地面で劣位にある。ただ、周辺の住宅開発が進んでいること、乗り入れている近鉄の学園前などがあることから、高学歴のパート労働力の確保が見込めるため、コールセンターやバックオフィスにターゲットを絞るのが得策と考える。<o:p></o:p>
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④スポンサー、ファンドの設立<o:p></o:p>
大阪市と大阪府の整備費用や収支に課題があるならば、府庁跡の公園(緑化)事業にスポンサーをつける(CO2排出量を控除するとかのメリットをつける)、木のそれぞれに個人の出資を図る、全体整備に、緑化費用を割り引いたファンドを作り出資者を募る、などの方策がある。<o:p></o:p>
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橋下知事の政策は革新的なものが多いが、都市の計画にかかわる案件は、幅広く長期の視点がさらに望まれる。一回一回完了するプロジェクトのようなものでなく、連綿と続き、時流にあわせて変化していくのが都市計画であろう。<o:p></o:p>
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今回はえらく長くなりました。カレーうどんが書ききれません。<o:p></o:p>
oosakafuchou