天(あめ)の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ
「万葉集」(古典を読む21 岩波書店)で、大岡信さんは《さて巻の七を開いて巻初にこの歌を見出したときの新鮮な驚きは忘れがたい》と述べている。
わたしも同じである。
月の船ですよ、
星の林ですよ。
これを書いたのは柿本人麻呂!
これまで「万葉集」は、ぱらりぱらりと必要なところだけを、虫が食うように読んできただけなので、この歌は視野には入ってこ . . . 本文を読む
(2017年5月 前橋市)
里芋の大きな葉陰でだれかが
だれかを呼んでいる。
時はしぶきを散らし もんどり打って
ぼくたちのあいだを流れてゆく。
ひとときも休まず。
見えるものと見えないもの
大空を滑空する鳶
ふところをくすぐるキリギリス
急ぎ足で目のまえをかすめてゆくセセリチョウ
見えないものとはなんだろう。
それは存在するんだけど
ぼくたちは普段は意識しない。
おやおやあれは . . . 本文を読む