
目が覚めると昨夜の夢のカケラがいくつもくっついていて
それが髪の毛みたいにパラパラとフロアに落ちた。
そうか こんなにいろんな夢の中をさまよっていたのだ。
使いふるした小さなベッドの上で。
その中に気になるぼんやりした 老人のうしろ姿もまじっていた。
ん?
ああ 親鸞さんだったかも知れないな そのうしろ姿。
そんなことはよくあることで
すぐに忘れてしまって もう二度と思い出しもしない。
几帳面に「夢の記録」をつけている人もいるかも知れないけど
たとえば明恵上人のように。
親鸞さんはうしろ姿でなにか語っていたが
かつて読んだ「歎異抄」を ぼくが思い出していただけかもしれない。
夢の中で。
ほかにどんな夢があったのか なかったのか
時間がたつと忘れてしまって
もう二度と思い出せない ってこともありうる。
そのようにしてあのときあそこで別れた無数の人と同じように。
夢の中にだって雨が降るし
野良猫もいる。
白いフリルのスカートをはいた女が通る。
カサコソと枯葉のような音が聞こえるがあれはなんだろう。
なんだったろう と目覚めてから考える。
夢の奥は行き止まりだからぼくらは引き返すことしかできない。
たぶん・・・いややめておこう。
履歴書の摘要欄に付け加えることはなにもない。
「この町は夢の中にしか存在しない町だ」と独り言をいう。
夢の中で。
そういえば こうして実在しているとおもっているぼくという人間も
だれかの夢の登場人物のひとりなのかもしれないな。
ありうることさ。
酔生夢死ってことばもあるじゃない?
蚊がぼくの右腕に止まって血をすいあげる。
それをピシャリと叩いてつぶす。
それもだれかに夢みられた 夢の中の出来事。
・・・だろう?
それが髪の毛みたいにパラパラとフロアに落ちた。
そうか こんなにいろんな夢の中をさまよっていたのだ。
使いふるした小さなベッドの上で。
その中に気になるぼんやりした 老人のうしろ姿もまじっていた。
ん?
ああ 親鸞さんだったかも知れないな そのうしろ姿。
そんなことはよくあることで
すぐに忘れてしまって もう二度と思い出しもしない。
几帳面に「夢の記録」をつけている人もいるかも知れないけど
たとえば明恵上人のように。
親鸞さんはうしろ姿でなにか語っていたが
かつて読んだ「歎異抄」を ぼくが思い出していただけかもしれない。
夢の中で。
ほかにどんな夢があったのか なかったのか
時間がたつと忘れてしまって
もう二度と思い出せない ってこともありうる。
そのようにしてあのときあそこで別れた無数の人と同じように。
夢の中にだって雨が降るし
野良猫もいる。
白いフリルのスカートをはいた女が通る。
カサコソと枯葉のような音が聞こえるがあれはなんだろう。
なんだったろう と目覚めてから考える。
夢の奥は行き止まりだからぼくらは引き返すことしかできない。
たぶん・・・いややめておこう。
履歴書の摘要欄に付け加えることはなにもない。
「この町は夢の中にしか存在しない町だ」と独り言をいう。
夢の中で。
そういえば こうして実在しているとおもっているぼくという人間も
だれかの夢の登場人物のひとりなのかもしれないな。
ありうることさ。
酔生夢死ってことばもあるじゃない?
蚊がぼくの右腕に止まって血をすいあげる。
それをピシャリと叩いてつぶす。
それもだれかに夢みられた 夢の中の出来事。
・・・だろう?