(撮影 2016年)
ゆあーんゆよーん
ゆやゆよんと ブランコはゆれる。
十歳の坊やだった中也をのせてゆれる ゆれる。
おや 水平線がかたむいているね。
牛が七頭 八頭と群れて
おいしそうに草を食んでいる。
中也はなぜ悲しいのか
そういう宿命のもとに生まれたからか?
自分から不幸を招き寄せたんだ と
友人たちがそう証言している。
ゆあーんゆよーん
ゆやゆよん とブランコはゆれて
ニヒルなハシブトガラスが騒ぐ。
母の雑巾となった少年が胸をそらす。
銀が金をうらやむ。
体育が苦手だったなあ そういう少年にとって世界とはこんなものさ。
「朝の歌」をつくったとき
運命に先回りされちまってね。
子どもにさきだたれた中也の悲しみを
そんな経験したこともない者がわかるはずない。
中也は中也という悲哀を生きた
生きざるをえなかった
ひとりの人間の名だ。
かなしいしょうねん なかはら。
なかはらの魂は
空中でゆれる。
いつまでたっても ゆれやまない。
冬の長門峡は流れる
その上に広がる雲ひとつない青い空。
見えないブランコがなかはらをのせてゆれている。
ゆあーんゆよーん
ゆやゆよんと ブランコはゆれる。
十歳の坊やだった中也をのせてゆれる ゆれる。
おや 水平線がかたむいているね。
牛が七頭 八頭と群れて
おいしそうに草を食んでいる。
中也はなぜ悲しいのか
そういう宿命のもとに生まれたからか?
自分から不幸を招き寄せたんだ と
友人たちがそう証言している。
ゆあーんゆよーん
ゆやゆよん とブランコはゆれて
ニヒルなハシブトガラスが騒ぐ。
母の雑巾となった少年が胸をそらす。
銀が金をうらやむ。
体育が苦手だったなあ そういう少年にとって世界とはこんなものさ。
「朝の歌」をつくったとき
運命に先回りされちまってね。
子どもにさきだたれた中也の悲しみを
そんな経験したこともない者がわかるはずない。
中也は中也という悲哀を生きた
生きざるをえなかった
ひとりの人間の名だ。
かなしいしょうねん なかはら。
なかはらの魂は
空中でゆれる。
いつまでたっても ゆれやまない。
冬の長門峡は流れる
その上に広がる雲ひとつない青い空。
見えないブランコがなかはらをのせてゆれている。