このマルバルコウは、図鑑によると熱帯アメリカ原産で、観賞用に栽培されていたのが山野にひろがったものらしい。
蔓をのばし、ひとかかえもあるような花群をつくり、独特な朱色で道端を彩る夏の花。しかし、いまこの時期でも、元気に咲いて、散歩者の眼を愉しませてくれる。
形状はトランペット型。逆光で見ると、花の奥に、ぽつんと灯りがともったようで、小さな虫がもぐり込んでいたりする。
いったん覚えた名前なのに、忘れてしまって、さっき調べなおした(^^;)
ルコウソウ? 灯台草? ・・・なんて、あれこれ迷っていたのだ。
この花を図鑑写真的にではなく、耽美的に撮ってみたいと考えていたけれど、チャンスがなかった。耽美的に撮るためには、背景や光を選ばなければならない。
こちらの右に青いボケとなって写っているのはツユクサ。
どういうわけか、花も昆虫と同じように、図鑑的な写真にしてしまう。必要なものだけでフレーミングすることを「写真は引き算」などというが、「引き算」「足し算」はいつも悩ましい。
ケースバイケースで使い分けているつもりではあるのだけれど、迷ったときは、両方を押さえて、PCに取り込むとき、再度吟味したりする。
秋の深まりが急激に進行しはじめたふるさと群馬。
草を咬んでいるテンちゃんと、その背景の建物はわが家。右には農作業をしている父の姿がある。
どれも、ある意味では「いつ消えてなくなってもおかしくない風景」として、記録的に撮影している。どこへでもついてくるべたべたした日常は、ほんとうは揺れやすい秤の上に、危うく乗っている。
写真を撮りたい・・・という思いは、“この一瞬”を永遠化したいという願望のあらわれなのかもしれない。
昨年に引きつづき、コスモスをたくさん撮ったけれど、曼珠沙華をこういうふうにまとめて撮ったのは、これまでにない経験。
わが家では来週が稲刈り。
秋が深まって、空の美しさが際立ってきた。