(2017年5月 桐生市にて)
秋がやってくる まもなく秋が。
書棚の奥にもフロアにも
たくさんの本がある。
ベッドすら 本の上に浮かんでいる。
これは桑を食べつづけてやまない蚕たちの策謀なのか?
日常というぬかるみに足をすくわれながら
きみは重病人のようにうめく。
朝に晩に うーむとうめく。
モズの雄たけびが空を鋭角に切り裂く。
ほんとうはヨットをまねて
荒波をかいくぐり 風を切って軽快に帆走したいのだ。
本の波の上を 神話の中のバッカスとなってしゅるるる帆走する。
纜をひきしぼり ひきしぼり
そしてときおりころがり落ちてうめく。
モズの雄たけびが空を鋭角に切り裂く。
ころがり落ちるたび 妄想の裏舞台ではバッカスに近づいていく。
激浪に体当たりされた帆布はとうにぼろぼろ。
本を読むきみを日常のぬかるみが待っている。
あの本からこの本
足をすくわれながら帆走する。
本は容赦なく黒い虫のように集まってくる。
本の中にかならず忍ばせてある
忍ばせてある真実や真実の亡霊がこっちへおいで
こっちへおいでときみの心にささやきかける。
そっちへゆこう あっちへも。
秋こそ帆走の季節。
秋がやってくる まもなく秋が。
書棚の奥にもフロアにも
たくさんの本がある。
ベッドすら 本の上に浮かんでいる。
これは桑を食べつづけてやまない蚕たちの策謀なのか?
日常というぬかるみに足をすくわれながら
きみは重病人のようにうめく。
朝に晩に うーむとうめく。
モズの雄たけびが空を鋭角に切り裂く。
ほんとうはヨットをまねて
荒波をかいくぐり 風を切って軽快に帆走したいのだ。
本の波の上を 神話の中のバッカスとなってしゅるるる帆走する。
纜をひきしぼり ひきしぼり
そしてときおりころがり落ちてうめく。
モズの雄たけびが空を鋭角に切り裂く。
ころがり落ちるたび 妄想の裏舞台ではバッカスに近づいていく。
激浪に体当たりされた帆布はとうにぼろぼろ。
本を読むきみを日常のぬかるみが待っている。
あの本からこの本
足をすくわれながら帆走する。
本は容赦なく黒い虫のように集まってくる。
本の中にかならず忍ばせてある
忍ばせてある真実や真実の亡霊がこっちへおいで
こっちへおいでときみの心にささやきかける。
そっちへゆこう あっちへも。
秋こそ帆走の季節。