深夜のバーカウンターに片肘をつき
ゆっくりと 舐めるように
マティーニを飲んでいた横浜の夜。
あれから二十数年が横をすり抜けていった。
「やあ お久しぶり
いまでも元気ですか?」
女友達の乾ききらない髪の感触が
危険な原色のイルミネーションとなって甦る。
ジンとベルモットのバランスの上にきみとぼくが乗っていてね
きみがジン ぼくがベルモット・・・
いや その逆だった夜もあった。
「ねえ 明日どこへいく?」
「さあ どこへいこうか」
マティーニが飲める街ならどこだっていいさ。
きみと二人だったころの風景。
ぼく一人だけの風景。
「やあ お久しぶり
いまでも元気ですか?」
元気だとしたら 大好きだった白クマアイスを食べているんだろう。
一杯飲んだあとは 決まってアイスを食べたがっていたから。
マンションの冷蔵庫に いつも半ダースはストックがあったし
ぼくもよくお相伴にあずかった。
舌先にしたたる 手のひらサイズの氷原。
「あ 髪がまだ濡れてる」
七月の蒸し暑い夜がつづくと
真夜中に目を覚まし
キッチンへいってアイスを物色したくなる。
そういう習慣はきみから感染したのだろう たぶんね。
ささいな出来事の集積が
いつのまにか きみとぼくの進路をへだてた。
遠くの空が明るくなってきたな
夜は明けていった 無情にも必ず・・・あっというまに。
「やあ お久しぶり
いまでも元気ですか? いま 一番やりたいことは何ですか?」
空想の中では ぼくはまだ凛々しき青年で
きみは華麗な女盛り。
「今夜もいくつかジョークを用意したよ
元気だったら戻っておいで」
スミレ色の笑顔 いまも健在だろうから。
七夕の夜に マティーニはお似合いだろ?
※ 写真は2014年7月 七夕まつりの一こま。
ゆっくりと 舐めるように
マティーニを飲んでいた横浜の夜。
あれから二十数年が横をすり抜けていった。
「やあ お久しぶり
いまでも元気ですか?」
女友達の乾ききらない髪の感触が
危険な原色のイルミネーションとなって甦る。
ジンとベルモットのバランスの上にきみとぼくが乗っていてね
きみがジン ぼくがベルモット・・・
いや その逆だった夜もあった。
「ねえ 明日どこへいく?」
「さあ どこへいこうか」
マティーニが飲める街ならどこだっていいさ。
きみと二人だったころの風景。
ぼく一人だけの風景。
「やあ お久しぶり
いまでも元気ですか?」
元気だとしたら 大好きだった白クマアイスを食べているんだろう。
一杯飲んだあとは 決まってアイスを食べたがっていたから。
マンションの冷蔵庫に いつも半ダースはストックがあったし
ぼくもよくお相伴にあずかった。
舌先にしたたる 手のひらサイズの氷原。
「あ 髪がまだ濡れてる」
七月の蒸し暑い夜がつづくと
真夜中に目を覚まし
キッチンへいってアイスを物色したくなる。
そういう習慣はきみから感染したのだろう たぶんね。
ささいな出来事の集積が
いつのまにか きみとぼくの進路をへだてた。
遠くの空が明るくなってきたな
夜は明けていった 無情にも必ず・・・あっというまに。
「やあ お久しぶり
いまでも元気ですか? いま 一番やりたいことは何ですか?」
空想の中では ぼくはまだ凛々しき青年で
きみは華麗な女盛り。
「今夜もいくつかジョークを用意したよ
元気だったら戻っておいで」
スミレ色の笑顔 いまも健在だろうから。
七夕の夜に マティーニはお似合いだろ?
※ 写真は2014年7月 七夕まつりの一こま。