二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

悲観的なつぶやき 2021-003 (2021年7月15日)

2021年07月24日 | 俳句・短歌・詩集

引き戸のすきまからちらりと姿をのぞかせた
長いひげをたくわえた神様がきみの神様だろう。
あちらからきみが もっと不幸せになるのを見ている。
ゆっくりと斜面をずり落ちていくように
年をとって
きみはさらにつまらない人間になり

ムンクの叫びのようなひしゃげた顔をして
こころの底では世界を呪っている。
「終わりが近づいてきたね」
隣にいる人にそういってみる。
するとその人がまた隣の人に
同じことをいう。

「生まれてくる赤ん坊が少ないから
年寄りばかりふえたね」
アオゲラやコゲラがけたたましく木の幹を叩いている。
あれはお経をあげているのか せわしなく。
またどこか近くで成仏した年寄りがいるのだ。
あと千年ほどたったら

あと千年ほどたったら
そこらじゅう 墓場だらけになるだろう。
骨は再利用されるようになっているかもしれない。
・・・とさっきから空想にふけっていると
ブルーのストッキングをはいた女の子が
空から何人も何人も落ちてきた。

雨が降りはじめたのだ。

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