二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

神田神保町の夜桜

2008年03月17日 | Blog & Photo
昨日は新幹線で東京へ、そして京葉線に乗り継いで、新浦安へ向かった。
まもなく仕事で福岡へ発つ息子に逢うためであった。
昼飯を食べ、しばらく引越を手伝った。

それから神田へいくことになった。
写真に夢中になっていたころは、神田から足が遠のいていた。

日曜の神田、古書店界隈は閑散としていて、本屋も半分以上閉まっている。
神田古書店界隈はいったことがないという息子と三時間ばかりぶらぶらした。別れてお茶の水駅に向かおうとしたら、
神保帳交差点に、桜が咲いている。
「まさか、こんなところに・・・。造花かな」
早咲きだが、ほんものにまちがいない。

色鮮やかなイルミネーション。夜の街角で、
一種異様な存在感を放っていた。

「ほんもの」であることに、軽い衝撃があった。

郊外ではなんということもない桜が、
逆にシュールに見えた。
・・・なんたることだろう。




買ったのは、結局つぎの三冊だけ。
・「蓼喰う虫」谷崎潤一郎 岩波文庫
 谷崎は好きな小説家の部類には入らないが、
 新聞連載時の小出楢重の挿絵が復刻されていて、これがすばらしい!
 木村荘八挿画の「墨東奇譚」(岩波文庫)とたぶん、双璧をなす。
 1928~29年(昭和2~3)「大阪毎日」「東京日日」に連載。
 「近代挿絵史に残る傑作」と編集部が註している。

・「続 飯島耕一詩集」飯島耕一 思潮社現代詩文庫
 わたしが学生時代に出会った詩集のひとつ。 著者は大岡信らとシュルレアリスム研究会を旗揚げし、「ゴヤのファースト・ネームは」で、1971年高見順賞を受賞。うつ病からの恢復期に書いた代表作で、タイトルとなった「ゴヤのファースト・ネームは」や「前橋へ」は、個人的な思い出がつまっている。

・「西行論」吉本隆明 講談社文芸文庫
 「源実朝」とならぶこの批評家の古典論の代表作。
 小林秀雄以降のわが国の古典批評の地平を、独力で大きく拡げたもので、
 わたしは数年前、図書館で拾い読みしただけであった。
 桑原武夫の「第二芸術論」以降、短歌・俳句などの短詩は、
 現代の文学としては、片隅に追いやられているが・・・。



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