二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

あの夏のいま 2021-05(7月21日)

2021年07月27日 | 俳句・短歌・詩集
  (ジョウビタキ♂ 2015年2月)



老いてよろよろと歩くアヒルのように
立ち居振る舞いを変えるたび
きみは顔をしかめながら近く
・・・ではなく遠くを眺めるように目をほそめる。
そうすれば二十歳のころのあの夏に帰れるとでもいうように。

親しかった友人が二人亡くなって
身辺ががらんとしてしまったな。
美人だった女の子も皺だらけで
犀のように角をふりふり突っかかってくる。
「あんたねえ もう少ししゃんとしたらどうよ!」

「悪かったね。もう何日もぶっつづけに二日酔いなんでね」
ドストエフスキーやカフカを読んだときの
あの強烈なテキーラみたいな泥酔感覚がなかなか抜けない。
日常の立ち居振る舞いをマヒさせるような酔い心地。
気がついたら

気がついたらすっかり年取っていてね。
「あんたねえ もう少ししゃんとしたらどうよ!」
自分でそういいたいくらいさ。
せめてアヒルじゃなくジョウビタキにあやかって
この夏の空をぴゅうと飛ぶことができたら

できたらねえ。

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