二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

とるにたらない暗がり(ポエムNO.4-01)

2020年08月04日 | 俳句・短歌・詩集
   (夕景 2013年9月)



金ではなく銀
銀ではなく銅 その他の卑金属
・・・に近い暮しの底の静けさ。
がらんとして 昨日からだれも

だれも通らない道が
ゆるやかにカーブし
いたるところに陥没があり
黒い泥水がたまっている。

一冊の汚れた聖書のような本が
道のかたわらで風にぺらぺらめくれていて。
われらがやらかしてきたこと
その罪状のすべてが克明に記録されているんだ。

無罪の人はいない
あなたもわたしも。
特別な存在ではないし
小石のような無数の一人。

銅だとしたらたいしたもの
きみの後ろ姿を「おやおや」といいながら
だれかが拾いポケットに入れるだろう。
おやおや

こんなところでなにしている?
トナカイやアザラシ ゾウが順番待ちしている。
絶滅の。
そんなことすら知らないで

知らないで
自分が無罪だと思っているうつけ者。
汚れた聖書のような本は
年々分厚くなってゆく。

だれも通らない道が
ゆるやかにカーブし 
神様がかぶる帽子の下の理不尽な暗がりへとつづいている。
ちっぽけな とるにたらない暗がりのなかへ。

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