事務所に置いてあるPCのスピーカーを新調したので、このあいだYouTubeで、サントリーのなつかしのCMを、たてつづけに見ては、ため息をついていた。
なぜため息かって?
それはご想像におまかせします(笑)。
数年前から、憑き物が落ちたようにぱったりTVは見なくなってしまったけれど、21世紀のはじめころまでは、民放がやっているTVドラマや、スポーツ中継をけっこう見ていた。
そんなときは、たいていウィスキーの水割り片手にして――。
子どもたちは高校生ですでに親離れし、妻は帰宅が遅いので、好きな番組を長時間、気が済むまで見ていられた。わたしも当時はまだ“仕事人間”の営業マン、年がら年中数字に追われて、気持ちがいささかすさんでいたなあ(^^;)
そんなとき、二杯か三杯のウィスキーと、サントリーのCMに、一瞬間だけ、こころ慰められるものを感じていた。
恋は遠い日の花火ではないシリーズ。
http://www.youtube.com/watch?v=lRles3YnBEc&feature=related
田中裕子、サントリーオールド。
結婚するまえの小雪さんも好きだったな♪ 「すごいハイボール編」おまけ付き(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=aGntlh3J3W8&feature=relmfu
大原麗子、サントリーレッド、少し愛して長~く愛してシリーズ。
http://www.youtube.com/watch?v=f2MsT_KHJ0M
菅野美穂、サントリー角瓶&ハイボール。
http://www.youtube.com/watch?v=wk48x3XRPrI&feature=related
いつかも日記で取り上げたことがあったように、サントリーのCMにはすぐれたフィルムが多くて、見はじめるときりがない。
YouTubeには、80年代のCMも投稿されている。
だけど、ひとつ探しているCMがあって、それが見つからない。
なんらかの原因で削除されたんだろうか?
現在では、どんなCMが評判なのか、まったく知らないけれど、いずれは(たぶん今年中・・・)辛抱しきれず、きっと地デジ対応TVを買うことになるだろう(笑)。
さてさて、35mm×24枚のフィルムを5本まとめて現像し、CDに焼いてもらったので、アルバムに、気に入ったものだけ、いくつかアップした。
トップにあげたのも、その中の1枚。
さらに2枚追加しておこう。
デジタルの信号は、すべてを0か1に振り分ける。
しかし、denimroadさんや市橋織江さんに触発されて戻ってきた「フィルムの味」が、この0と1のあいだに、中間領域が存在することを、思い出させてくれた。
市橋さんの重たいRZ67がとらえた、ロングショットのすばらしさ! 写真集「Gift」はそういう市橋さんの処女作にして最高傑作。
《ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり》
(「方丈記」冒頭)
こんなにリアルに見える世界も、数十年、あるいは数百年という“ロングショット”の中では、すべて幻なのかもしれない。
だから、藤原新也さんふうに、すべて「幻世(まぼろよ)の景」と、ここではいっておこう。