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おいらはおいらがどこにでもいる凡夫にすぎないと気がつくまで
ずいぶんとあわただしく娑婆をうろつきまわった。
晴れたら晴れたで
降ったら降ったで。
悠々と歩いたり すごすご歩いたり。四角かった胸は
いまではすりへって角が丸くなっている。
だから よくころがる。
ころがりはじめたら なかなか止まらない。
悔恨はブーメランのようにもどってくる。
おいらの疲れた眼の放物線が
セクシーな女のお尻のラインに沿ってすべってゆくとき。
ありえたかも知れない“現在”が輝きをます。
なにか固いものにゴツンとぶつかって
ひびが入った空き瓶のようにおいらはころがる。
買うことができなかった分厚い本だったり
風にあおられて剥がれかかった「テナント募集」の看板だったり
リサイクルショップでチクタク時を刻む古い柱時計だったり
おいらのへそのあたりにころがっている毀れかけのケータイ電話だったり。
歩きまわらなかったらゴツンとぶつかることもないだろう。
そうすることもできないわけじゃないけれど。
悠々と歩いたり すごすご歩いたり。四角かった胸は
いまではすりへって角が丸くなっている。
凡夫のかなしさ 雑草のためいき。
「やれやれ・・・だな」とつぶやいて苦笑いする。
沈んでは浮かびあがる 一日の表面を今日の風がなぶっているね。
晴れようが降ろうが おいらはおいらさ。
見たり 聴いたり 味わったり。
一本の祈りの巨木を仰ぎみながら
あしたはわが庭の草退治に精を出そう。
そういう季節の到来なのだ。