どこを区切りにすべきかむずかしいけれど、写真がデジタル時代に突入してほぼ10年が経過したといっていいだろう。
銀塩フィルムカメラは、フィルム、印画紙ともども、いまや滅亡寸前・・・と思いきや、どうしてどうして、偏愛者の群れが大勢いるらしい。
わたしのように1950年代生まれのカメラ・マニアは、当然ながら、フィルム時代が長かった。少し上の、団塊の世代はほぼ第一線を退き、趣味的生活を謳歌している人がふえている。
カメラは写真を撮るための道具だが、その「モノ」自体に愛情を覚える男がいる。
ペットのようなものだから、役に立つかたたないかは、二の次。
シリコンクロスなどで研いたり、空シャッターを切ったり、ほんのときまたフィルムを装填して、のんびりまったり、儀式のように撮影をおこなう(笑)。
このあいだの日記でとりあげたように、わたしがこのところいささか熱くなっているのは、OLYMPUS OM-1。
1.一眼レフとしては、そのシステムすべてが小型軽量
2.ズイコーレンズのドライな切れ味(レンズも小型軽量)
3.オール金属製
4.メカニカルシャッター(電池いらず)
5.横走り布幕シャッターなので、シャッター音が小さい
6.全盛期のライカほどではないが、メカニカルな工作精度が高い
7.操作部が見かけによらず多いから、いじって遊べる
8.もう十分古いので、これ以上は古くならない
こういうところが、カメラ人類を悩ますOM-1のチャームポイントである(^^;)
あげていけば、まだほかにもあるだろう。
たとえば、この写真。左は巻き戻し用、右はミラーアップ用のクラッチ。
カチッと小さな音がして、90度回る。
OM-1には5種のバリエーションが存在するが、わたしのは、OM-1MDといって、
ワインダーが装着可能なタイプ。
シルバーとはいっても、いまどきのシルバー・ボディとは違って、クロームメッキの輝きが「本物」の質感をもっている。
スローシャッターのガバナー作動音がまたすばらしい。
セルフタイマーは機械式で、ジジジジと音をたてて、レバーが回転する。
フードは金属製で、手作り感覚がいい。
文字は昨今のカメラとことなり、プリントではなく、刻印し、ペイントしてある。巻き戻しレバーは大型で、工作精度が高く、パチンと元にもどる。
距離目盛り、被写界深度目盛りも、デジタル育ちにはほとんど縁がないだろう。
受け皿のような部品がついたこのシャッターボタン、ASA(いまのISO)ダイアルの繊細な物質感。金属カメラマニアは、こういうところにしびれる。
マイミクあっきいさんがOM-1のブラック・ボディーを買ったのに刺激され、昨日は前橋の中古専門カメラショップへ足をのばした。するとそこに、まさにわたしの出現を待っていたように、1台のOM-1ブラックが鎮座していた。ほとんどスレのない、すばらしい美品で\18,000。衝動買いしそうになったが、惜しいことに、巻き戻しクランクが整備不良だった。ときどきひっかかって、裏蓋が開かなかったりする。外観は多少よごれやスレがあっても、整備不良だと食指が動かない。
「愛玩の対象にばかりしていないで、そろそろ使ってよ」
「まあ、そのうち・・・」
「そのうちっていつよ。いつもそうやって逃げる!」
ニコンNewFM2やこのOM-1が、そろそろ夢に出てくるかな?
(T_T)
こんなおっかない顔をして。
オリンパスOM-1は昭和48年(1973)、はじめM-1として世に出た。
M型を擁するライカのクレームで頭にOLYMPUSのOをつけ、OM-1に改称し、そのシステムはOMシステムと呼ばれるようになった。
ある本を読んでいたら、Mは設計者マイタニの頭文字という噂があるそうである。
そうか!
オリンパスのマイタニ=OM。
このことに、なぜいままで気がつかなかったのか!(^^)!