いずれ長編、いわゆる代表作にもチャレンジしたいのだけれど、「読みたい!」という欲求がわかないので、相変わらず旅行記を読んでいる。
村上さんにしてはめずらしく、美文調、カッコつけすぎである。明らかに読者を意識している。ところどころ歯が浮いてしまう思いがする。
すばらしいのは村上陽子さんの写真がたくさん収録されていること。データはいっさいないけど、この時代(単行本の刊行は1999年)だからポジフィルムの撮影だろう。
シングル・モルトの聖地、アイラ島とアイルランドを訪ねての旅。
美しい土地に、美しいことば、美しいフォトをそえている。写真ページをふくめ、125ページ。とてもうすい本である。1時間で読める。
村上陽子さんは、春樹さんの奥様であろう。
《シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。そこで授けられた「アイラ的哲学」とは?『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか?蒸溜所をたずね、パブをはしごする。飲む、また飲む。二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、そして、たしかな誇りと喜びをもって生きる人々―。芳醇かつ静謐なエッセイ。》(BOOKデータベースより)
アイラ島なんて島、どこにあるのだろうと思って調べたら、わたしが持っている地図には、アイラ島はアイレイ島と書いてある。
わたしもウィスキー党。だけど日本のサントリーが好きで、ほぼ毎晩飲んでいる。スコッチが特別うまいと感じたことはない。水で3倍か、それ以上に割ったら、大抵のウィスキーは同じような味がする。酔えば同じ、安酒で十分なのだ(;^ω^)
村上春樹さんはここではいくらか感傷的になっている。「雨天炎天」とはまるで違う旅行記といっていい。どうしたの?
ほかの旅行記とは通奏低音が合わないため、それを認めて独立した一書にまとめた。むろん、そういう本であることを、ご本人も気がついている(^^♪
歯ごたえがあるような、ないような。奥様の目に映った村上春樹さんは、世界のハルキ・ムラカミではなく、どこかそのへんにいる、パッとしない、冴えないおじさんである。
でも、つまらなくはなかった。わたしには“一流志向”はないけれど、チャンスがいただけたら、スコットランドへいってみたい・・・とは思う。仕事でいけるなんて、うらやましいとしかいいようがない。
本書「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」を読み終えて、現在はエドウィン・ミュアの「スコットランド紀行」」(岩波文庫)を読んでいる。
これこそ目が覚めるような傑作といえるのは、わたしの場合イザベラ・バードの「日本奥地紀行」なのだが、旅行記に名をかりた文明批評、人間批評の“名作”が、これまで何冊となく存在する。それらと比較し、センチメンタルだと、わたしはかんがえる。「雨天炎天」が辛口だとすればこちらは甘口。そこが物足りなかった。
評価:☆☆☆☆
村上さんにしてはめずらしく、美文調、カッコつけすぎである。明らかに読者を意識している。ところどころ歯が浮いてしまう思いがする。
すばらしいのは村上陽子さんの写真がたくさん収録されていること。データはいっさいないけど、この時代(単行本の刊行は1999年)だからポジフィルムの撮影だろう。
シングル・モルトの聖地、アイラ島とアイルランドを訪ねての旅。
美しい土地に、美しいことば、美しいフォトをそえている。写真ページをふくめ、125ページ。とてもうすい本である。1時間で読める。
村上陽子さんは、春樹さんの奥様であろう。
《シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。そこで授けられた「アイラ的哲学」とは?『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか?蒸溜所をたずね、パブをはしごする。飲む、また飲む。二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、そして、たしかな誇りと喜びをもって生きる人々―。芳醇かつ静謐なエッセイ。》(BOOKデータベースより)
アイラ島なんて島、どこにあるのだろうと思って調べたら、わたしが持っている地図には、アイラ島はアイレイ島と書いてある。
わたしもウィスキー党。だけど日本のサントリーが好きで、ほぼ毎晩飲んでいる。スコッチが特別うまいと感じたことはない。水で3倍か、それ以上に割ったら、大抵のウィスキーは同じような味がする。酔えば同じ、安酒で十分なのだ(;^ω^)
村上春樹さんはここではいくらか感傷的になっている。「雨天炎天」とはまるで違う旅行記といっていい。どうしたの?
ほかの旅行記とは通奏低音が合わないため、それを認めて独立した一書にまとめた。むろん、そういう本であることを、ご本人も気がついている(^^♪
歯ごたえがあるような、ないような。奥様の目に映った村上春樹さんは、世界のハルキ・ムラカミではなく、どこかそのへんにいる、パッとしない、冴えないおじさんである。
でも、つまらなくはなかった。わたしには“一流志向”はないけれど、チャンスがいただけたら、スコットランドへいってみたい・・・とは思う。仕事でいけるなんて、うらやましいとしかいいようがない。
本書「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」を読み終えて、現在はエドウィン・ミュアの「スコットランド紀行」」(岩波文庫)を読んでいる。
これこそ目が覚めるような傑作といえるのは、わたしの場合イザベラ・バードの「日本奥地紀行」なのだが、旅行記に名をかりた文明批評、人間批評の“名作”が、これまで何冊となく存在する。それらと比較し、センチメンタルだと、わたしはかんがえる。「雨天炎天」が辛口だとすればこちらは甘口。そこが物足りなかった。
評価:☆☆☆☆