二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

使い古したハンカチ一枚、その他(ポエムNO.2-65)

2015年08月03日 | 俳句・短歌・詩集
(先ごろ売買によって手に入れた土地でつぎのものを拾得したのでリストを作成します。
所在地は群馬県前橋市、面積302.09㎡、地勢平坦、地目は宅地。
わたしは“捨て値”といえるような安い代価でここを手に入れました。二十年まえまで、ここには家屋があったといいます。しかし、つぎの拾得物からいったいどのような家族像、人物像をみちびき出したらいいのでしょう?)

使い古したハンカチ 一枚。
疵があるとはいえまだ十分置物となる、直径三十センチの地球儀 一ケ。
なにか用途のはっきりしない箸のようなもの 六ケ。

ときどきうめき声をあげる実盛の首 一ケ。
インクがなくなっている三色ボールペン 二ケ。
紐がきれて役にたたない淡いピンクのブラジャー 一ケ。

開けることができない黒い木の小箱。中になにが入っているか不明 一ケ。
七個の蝋燭が燃えている巨きなデコレーションケーキ 一ケ。
生きてはいるが飛ぶことのできないアカゲラ 一羽。

笑ったまま表情がかたまってしまったチェシャー猫 一匹。
泥だらけになった松尾芭蕉の俳句集、角川文庫 一冊。
二キロほどの重さがあるカンラン石の原石 一ケ。

他人の夢にやたら首を突っ込みたがるイルカ 一頭。
十数年まえにみた記憶がある高倉健の映画のパンフ 一冊。
アルベール・カミュの汗拭き(タオル地) 一枚。


ほとんどは地表にあったのですが、気になって引っぱると、いもづる式に、土中から出現したものもあります。まだきっと埋まっているでしょう。
これら大半は「普通ゴミ」だけれど、もしかしたら、不燃ゴミ、あるいは資源ゴミがまじっているかもしれません。
引き取って下さるなら、ただで差し上げるので、名乗り出て下さい。
(以上)

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