雨の夜、妙齢のうつくしい女性がやってきて、
「さあ、わたしをどこかへつれていって!
おいしいワインが飲みたいわ。レアのチーズケーキが、とってもおいしいお店を知ってるの」と誘う。
胸元がたっぷりとあいたシルクの淡いピンク系のブラウス。
むっちりとした谷間にゆれる小粒のルビー(大きすぎるのは下品)が、キラキラと光って眼を射抜かぬばかり。
あー、その色香に足もとふ~らふら、ノックダウン寸前の三毛ネコさん!
な~んてこと、あったらいいな(笑)。
冗談はさておき――今日書きたいのは、雨の夜の風情。
デジタルになって、カメラはますます進化し、ユーザーはただシャッターを押すだけで、
夢のようなすばらしい写真が、だれにでも撮れるような時代がやってきた。
真っ黒なカメラに特大の白レンズをぶらさげたおじさんの隣で、ピンクの可愛らしい、ファッショナブルなデジカメをさげた小娘が、花の写真を撮っている。
おじさんはベテランぶって、講釈をたれたいのだが、横でちらちら眺めているわたしの眼には、おじさんの写真も、小娘が撮った写真も、まあ、大差がない仕上がりとなっている(;_;)
この数年、わたしがカメラの進化による恩恵をいちばん感じているのは、高感度特性の改善。
昔は(・・・いつも昔の話だ!!)、夜の写真には、三脚がつきものだった。
ペンタックスの67などというカメラに、何キロもあるような大型三脚。
そんな機材をつめこんで、夜中の一時、二時、勇躍四駆に乗り込んで、さあ日光だ、裏磐梯だ、富士山麓だ、谷川岳だ、志賀高原だ・・・と出かけていた。
若かったのだ、むろん。
ところが、最近はめんどくさくなって、通勤の途中、クルマのウィンドゥ越しに、
夜の風景に向かってシャッターを切っている。
カメラはすべてRICOHのCX4というコンデジ。
ISO感度=AUTO、そして上限を1600に設定している。
ノイズリダクションはたまにMAXにするが、大抵はこれもAUTOのまま。
この秋からは、パソコンの中でレタッチしなくても見栄えがよくなるよう、ときおり彩度を一目盛りあげて撮影したり・・・。
夜はほとんど人工照明が支配する世界。これにしずくがくわわって、外界はますます幻想的に、見る者のこころを騒がせる。
ん? ぜんぜん騒がないって? そーゆーのを、花より団子というんですぞ(~o~)
うそでもいいから「なんだか、胸騒ぎが」といいなさい(笑)。
というわけで「夜への階段」から近作をピックアップ。
写真への説明はいっさい省略。
条件によっては、ノイズが派手に出るから、どんどん捨てる。
アイレベルの制約がないので「えぃや!」とばかり、テキトーにシャッターを切り、あとからやや丁寧にセレクト。
夕景もいいけれど、雨の日のガラス越し・・・どこかに、魔法使いのおばあさんがひそんでいるような情景に出っくわすのであ~る。