少年の祖母「破壊行為をやめて」17歳射殺で暴動フランス全土へ…拡大背景に“SNS”
フランスで17歳の少年が警察官に射殺されたことへの抗議が暴動へと発展しています。 発生から5日目を迎えた暴動は、フランス全土へと広がっていて、パリ近郊の町では市長の自宅に火のついた車が置かれ、妻と子どもがけがをするなど、過激さはエスカレートするばかりです。
金指光宏記者:「まだ煙が上がっています。バス10台ほどが丸焦げになっています。まるで戦場で爆撃にあったかのようです」 事の発端は先月27日、検問を突破しようとした17歳の少年を警官が撃ち殺したことでした。場所は移民系や労働者階級が暮らす、典型的なパリ近郊の街。撃たれた少年も親が旧植民地の北アフリカ出身だったことから、抗議活動は瞬く間に広がりました。
フランス社会に根深く残る、差別の構図ととらえられたからです。 また、2017年に始まった警察官の銃使用の基準緩和も、不満の大きな要因となりました。交通取り締まり中の死者は、今年に入ってこれで3人目です。去年は13人が亡くなっています。 デモ参加者:「“黒人はこうだから”と決めつけてる」「“アラブ人はこう”とか、勝手に決めつけているの」
一方で、今回は抗議の枠を超え、早い段階で暴動に発展しました。その背景にあったのは「少年が17歳だった」「SNSでの自慢・扇動」です。 ダルマナン内相:「拘束者の平均年齢は17歳です。12~13歳の放火犯も拘束しています」 逮捕された3200人のうち、その多くは十代半ばのいわば中高生たちで、半数以上は初めての逮捕でした。そして、SNSでは暴動に参加してることを誇示し、何を破壊したかを自慢しあう、といった動画が大量にアップされました。賛同や扇動も相まって、過激な行いがエスカレートしていきました。
マクロン大統領:「TikTok等のSNSには、暴動が組織される様子と、暴動のまね事のような行為が投稿されました。一部の若者は、中毒になったゲームの世界へ、現実逃避しているかのように見えます」 射殺された少年の祖母は、現場でこのように話していました。 射殺された少年の祖母:「路上で破壊している人たちに『やめなさい』と言いました。口実を見つけただけ。破壊行為をやめない。やめてほしいです。彼らが壊す車やバス、学校にはなんの罪もありません」