フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月17日(火) 晴れのち曇り

2008-03-18 02:55:48 | Weblog
  8時半、起床。朝食はとらずに、9時半に予約している歯科医院へ。本日で今回の治療は終了。以前にも指摘されたことだが、頬の内側の瘢痕から無意識のうちに歯を食いしばっていることがうかがえるとのこと。これは歯や歯茎にはあまりよいことではないという。睡眠中はコントロールができないが、パソコンで作業をしているときなどにそうなることが多いそうなので、アラームをセットしておいて1時間おきくらいにポカンとした口をするようにするといいそうだ。口を開けてポカンとするのか。あまり知的な仕草ではないな・・・。
  医院を出て、そのまま駅の方へ買物に。東急ストアーでグレープフルーツジュースを購入。「富士そば」で桜海老の掻き揚げそばを食べる(季節限定ものに弱いのである)。栄松堂で以下の本を購入。

  永瀬清子『短章集』(詩の森文庫)
  菅野仁『友だち幻想 人と人との<つながり>を考える』(ちくまプリマー新書)
  辻信一『幸せって、なんだっけ 「豊かさ」という幻想を超えて』(ソフトバンク新書)
  『HERS』創刊号(光文社)

  帰宅して、明日の午前中の基礎講義の収録のための準備(既存のものを見直し、台本と使用するフリップを作成する)、ならびに午後の現代人間論系進級ガイダンスの準備(資料の作成と説明手順の確認)。はるが書斎にやってきて、窓のところで顔を拭いている。

        

  昼食は自家製の焼きソバパンとポテトサラダパン。3時半頃、ジムへ。5.6キロのウォーキング&ランニング。ランニングのスピードをいつもの時速8キロから8.5キロに上げてみた。とくに何も変らない。これから徐々に上げていって時速10キロまではもっていきたい。
  ジムの後はルノアールで読書。今日購入した雑誌『HERS』創刊号を読む。大判300頁が全部グラビアである。ずっしりとした重量感。これで950円とは格安である。もちろん広告の頁が多い。50歳前後の女性を読者に想定したライフスタイル雑誌で、特集タイトルは「これからの10年、どうしますか?」である。女性誌を読むのは私の仕事(ライフストーリーの社会学)の一部である。雑誌は読者の欲望を反映すると同時に、読者の欲望を刺激する。反映し、かつ刺激(助長)しなければ雑誌は売れない。表紙は女優の原田美枝子。1958年生まれで、今年50歳になる。凛として美しい。彼女のインタビューから。

  「20代のころの私は、それはもう、生意気で、振り返りたくないんです(笑い)」
  「何でもできる気でいたんですね、だから、30代は「ごめんなさい」と言わなければ、前へ進めなかった。ときどき、昔仕事でご一緒した方に会うと、「あのころ、原田さんによく怒られました」なんて言われて、もう、恥ずかしくて・・・。20代は“私は私”とやりっぱなしだったから、30代は謙虚になって、それを掃除しながら前へ進むという感じでした」
  「30代までは、子育てと仕事で体力も気力もギリギリの状態。40代も、思い返せば、あっという間でしたね」
  「でもね、私、これから先は、“ご褒美の時間”だと思っているんです。30代、40代は、オフの時間もなんだかんだと忙しかったけど、最近、オフの日にダラけている自分に「体まで緩んじゃう、まずいな・・・」と思って、たまたま映画『どろろ』で馬に乗るシーンがあって、それで乗馬を始めたんです。最近まで仕事以外では趣味らしい趣味もなかったけれど、これからは、仕事以外でも楽しいことがあってもいいかなって」(32頁)

  この雑誌がイメージする50歳(50代)というのは、人生の「見晴らしのよい場所」である。がむしゃらでやってきた時期が過ぎて、「自分を振り返る場所」である。原田美枝子のようにずっと仕事をやってきた女性にとっては、仕事以外の楽しみを見つけることが課題となり、反対に、家庭のことに追われてき1た女性にとっては、社会とつながる仕事を始める(戻る)ことが課題となる。有名無名をとりまぜて雑誌にはそうした女性たちの成功事例が多数紹介されている。一言でいえば、充実した生への欲望に満ちた雑誌である。そうした欲望は、当然のように、化粧やファッションや住宅や料理の記事と結びついている。ライフスタイル雑誌は男性向けのものもあるが、それと比べると、50歳(50代)の女性が充実した生を生きるためにはそれなりの資産がないといけないようである。